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PJA NEWS)バンコクで人肉レストラン!?フェークニュースで問題に





2018年11月6日
PJA NEWS)バンコクで人肉レストラン!?フェークニュースで問題に

一週間ほど前から、バンコクで人肉を提供したレストランが摘発されたというニュースが流れていました。

以下は米のNewsweekのニュースですが、このバンコクの人肉提供レストランのニュースを報道していたものです。

Newsweek:Restaurant served murdered victim body vegetarians (2018年10月31日)
ニュースウィーク:(バンコクで)レストランが人肉をベジタリアンに提供していた!
https://www.newsweek.com/restaurant-served-murdered-victim-body-vegetarians-1195447
(上記が更新された場合に備え、以下に11月2日付けのウェブ魚拓を記載します。)
https://megalodon.jp/2018-1102-0556-12/https://www.newsweek.com:443/restaurant-served-murdered-victim-body-vegetarians-1195447

上記のNewsweek記事で報道されている内容は、概要で書くと

バンコクのベジタリアンレストランで、お客さんがベジタリアンメニューなのに肉が入っている事を見つけたが、その肉は人間の肉だった事がわかり、大変な騒ぎとなった。シンガポールメディアのAsian Oneによると、タイ警察が捜査に入った所、同レストランのキッチンで61歳の被害者の遺体が発見された。

という概要です。

ただ、上記記事ではその後に、これまでも”人肉提供レストラン”などのニュースはたびたびあったが、信用できないニュースもあったことを指摘しています。
一例として、今年の初めに日本の東京で人肉を提供するレストランが出来たとインターネット上で大きな話題となったが、これはフェークニュースで、日本政府までもが対応してフェークニュースだと断定した事があった事も合わせて伝えています。

記事によると、東京の人肉提供レストランのフェークニュースには、ワシントンの日本大使館が対応して否定し、このフェークニュースは2016年頃からネット上のサイトで拡散したデマ話が元ではないかとする見解をしていました。

このようにして、米ニュースなどでも取り上げられて海外にも広く伝わった”タイのバンコクの人肉提供レストラン”というニュースですが、やはりフェークニュースだったということがわかり、タイ現地メディアも多くのメディアがフェークニュースである事を報じています。

このニュース、もともとタイ国内では、単なる殺人事件として報道されていました。
以下に10月23日付けのタイ現地メディアのNationの記事を紹介します。

Nation)Dead customer found in septic tank as shop owner vanishes (2018年10月23日)
ネーション)店の客の死体が浄化槽タンクから発見される。店のオーナーは行方不明
http://www.nationmultimedia.com/detail/breakingnews/30357012

報道では、バンコクのラートクラバンの食料品店で遺体が発見された事などを、タイ警察の見解も合わせて伝えています。

この報道では、ベジタリアンレストランではなく”食料品”と報道されていますし、人肉提供なんて話は全く書かれていませんでした。

では、この事件は一体どこから”人肉提供レストラン”というニュースになったのでしょうか?


それぞれのニュースのソースをたどっていくと、確認できる範囲では、上記ニュースの5日後の10月28日に、シンガポールの中国語メディア”早晩全新”(ザオバオ)が報じたニュースでした。

ザオバオ)2018年10月28日報道記事(現在は差し替えられています)
https://www.zaobao.com.sg/znews/others/story20181028-902767

上記のザオバオのニュースは本記事執筆時点の11月6日の段階で消されており、上記サイト上には11月3日の更新として”店から遺体が発見されたものであり、タイ警察はレストランで人肉提供はされてなどいないと発表した”という内容に差し変わっています。
誤報の謝罪等は書かれておらず、
上記記事のコメント欄には批判のコメントが多く集まっています。

このザオバオのニュースで”人肉提供”というニュースがされた事が、フェークニュースの元となったようです。

このザオバオの記事の翌日の10月29日、同じくシンガポールの中華系メディアであるAsian Oneが、同様にバンコクで人肉提供レストランという趣旨のニュースを報じました。

Asian One)2018年10月29日報道記事(現在は差し替えられています)
http://www.asiaone.com/asia/diners-make-grisly-find-bangkok-vegetarian-eatery

上記の記事も、本記事執筆時点の11月6日の段階で消されており、上記サイト上には11月2日の更新として”タイ警察はレストランで人肉提供などされていなかったと発表している、タイの現地メディアのカオソッドは、そもそも店は当時まだ建設中でありオープンすらしていなかったことを報じている”という趣旨の内容に差し替えられています。

このAsian Oneの訂正記事にも、誤報の謝罪等は書いていません。

そして、上記のAsian Oneのニュースなどを引用して、10月31日には米のNewsweekも”(バンコクで)人肉提供レストラン”という内容を報じました。

Newsweek:Restaurant served murdered victim body vegetarians (2018年10月31日)
ニュースウィーク:レストランが、人肉をベジタリアンに提供していた!
https://www.newsweek.com/restaurant-served-murdered-victim-body-vegetarians-1195447

これが冒頭のNewsweekの記事というわけです。
Newsweekは他のシンガポールの中国語媒体と異なり、本記事執筆時点の11月6日においても記事を消していません。

他にも英国でもメディアが引用して報道したりするなどし、各国で”タイ・バンコクの人肉提供レストラン”として報道され、大騒動のニュースとなっていったというわけです。

タイ現地では、バンコクで人肉提供レストランというフェークニュースが世界的に広まってしまっている事が大きな話題となり、タイ警察も捜査の上で、これを明確に否定しました。

11月2日、タイ現地メディアでも以下のように”Fake News”と明確に書かれて、報じられています。

Coconut:2018年11月2日
“Fake News” widely reported story bangkok restaurant owner serving murdered man customers is false, police say.
”フェークニュース”として拡散したバンコクで人肉提供レストランの話は虚偽。警察が語る
https://coconuts.co/bangkok/news/fake-news-widely-reported-story-bangkok-restaurant-owner-serving-murdered-man-customers-is-false-police-say/

記事では、フェークニュースとして広まってしまっている内容や、それがフェークニュースであり人肉提供は虚偽である事、それをタイ警察が発表している事などを報じています。

このような11月2日のタイ警察の発表や報道を受けて、上記のシンガポールの中国語メディアの2記事は消されてしまい、訂正されたというわけですね。

私どもPJA NEWSでも、この人肉提供レストランのニュースはNewsweekの報道などもあって知ってはいたものの、根拠となる箇所の描写が不自然なこと、タイのニュースと整合性が取れない事などから不審な点が多く、これまで紹介はしていませんでした。
やはり、これはフェークニュースだったというわけです。

 

タイ警察の発表によれば、殺人事件は事実の通りなんで、それは重大事件です。

しかしながらメディアとしては”レストランで人肉提供!”なんてセンセーショナルな内容を書くなら、さすがに事実確認をまともにしないといけないでしょう。

少なくとも、警察なども含めて出来る限りの事実確認をしてから報道をするべきです。

ニュースが各国で報道される事で、タイの国のイメージへの悪影響もありますし、店だって、現地メディアなどでは詳細な住所まで書かれているわけですから、店や同地域のイメージへの悪影響もあります。

NewsWeekが報じる通り、今年も”日本の東京に人肉提供レストランがオープン!”なんてフェークニュースが広まり、ワシントンの日本大使館が否定のために対応しなければいけない状況に追い込まれていたりしたわけですから、このようなフェークニュースというのは日本だって、他人事では全くありません。

また、このようなニュースが広まるようになった背景には、メディアの取材する力が世界的に落ちてきているという問題もあるように感じます。

これはシンガポールの中国語メディアだけでなく、それこそ日本のメディアでも全体的に感じる事ですが、インターネットなどの無料で見られる情報媒体が一般的になるにつれて、新聞、雑誌などの有料媒体は収入が減少してしまっています。テレビ媒体も、ネット広告が盛んになる中で広告収入が減り、いずれの媒体も取材予算を十分にとる事が出来ず、事実確認や取材・調査が不足してしまう問題が起きやすくなっているのを感じます。

変わってネットメディアも出てきているのですが、ネットメディアは広告収入ぐらいしか収益がないため、もともとの取材予算が少なく、まともな取材をした取材記事を書いたら赤字になるのが一般的です。

だからこそ、センセーショナルな見出しをつけて、確認もまともにしていない”人肉提供レストラン”というようなニュースを流したくなるわけです。

この記事だって、シンガポールの中国語メディアは、おそらくバンコクで警察に取材をするどころか、そもそも現場に関係者を行かせて事実確認することすら、やっていないでしょう。

それをしていれば、普通は人肉提供という事実があったのかどうかの事実確認ぐらいはできるはずです。

このような事情から、不十分な取材や調査を元にした、タイのバンコクを舞台にしたフェークニュースが、それこそ米のNewsWeekにまで載って、世界的に広まってしまうという現実を目の当たりにすることとなりました。

民主主義社会では、国民が正しい情報を元にして政治家を選ぶことができるようにするため、国民の知る権利を守る事は民主主義の根幹です。

この知る権利を行使するためのメディアの在り方なども考えさせられるタイのニュースです。

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