PJA NEWS)
2018年11月28日

Rangsit大学の調査では、「首相になってほしい人」の一位は別の結果に!

今日の現地メディアBangkokPostが、来年2月に予定されている選挙を見据えたRangsit大学の世論調査において、「首相になってほしい人」の首位は、一昨日に同種のNIDA世論調査結果のプアタイ党Suradat氏とは違い、プラユット首相だと発表されたことを報じています。

Bangkok Post)University poll finds prayut most favoured candidate for pm
Bangkok Post)大学調査では、首相にふさわしい人のトップはプラユット首相
https://www.bangkokpost.com/news/politics/1583842/university-poll-finds-prayut-most-favoured-candidate-for-pm

現地メディアによると、報道されている概要は以下の通りです。

Rangsit大学により8000人に対して行われたタイ全土の世論調査の調査結果では、首相になってほしい人の一位がプラユット首相(パランプラチャーラット党)で、2位のSudarat氏(プアタイ党)は大きく引き離された結果となりました。

Rangsit大学の社会イノベーション学部の学部長によると、Rangsit大学の調査は先週土曜日(11月24日)に実施され、タイ全国の350の選挙区で調査員が質問し、8000サンプルの回答を得たものだということです。

学部長によると、首相になってほしい人の1位はプラユット首相で27.6%、2位はプアタイ党のSuradat氏で18.16%、3位は民主党のAbhisit氏で15.55%、4位は新しい未来党のThanathorn氏で9.68%でした。

調査結果によると、タイ中央部、東北部、南部、バンコクの4つのエリアの全てでプラユット首相がSuradat氏を上まわり1位でした。

このRangsit大学の同テーマの調査は本年4回実施されており、5月はトップはプラユット首相、6月はトップはAbhisit氏、10月は再びプラユット首相で、Suradat氏は2位もしくは3位でした。

同種のテーマでは最近NIDAの世論調査結果が発表されており、それによるとSuradat氏が一位、プラユット首相が僅差で二位でした。

ここまでが、報道されているニュースの概要です。

 

一昨日からPJA NEWSでもお伝えしている通り、同様の世論調査のNIDA(タイ国立開発行政研究院)による今年4回目の世論調査結果では、タクシン派のプアタイ党(タイ貢献党)の幹部であるSuradat氏が「首相にふさわしい人」で一位となり、プラユット首相が二位に落ちた事から、タイ世論で大きな反響が起きています。

そこ中で発表された、Rangsit大学の世論調査の結果という事ですが、この大学の調査結果については調査の中身は勿論、調査手法すら、詳細な情報がまだPJA NEWSでも見つけられていません。

 

しかしながら、報道されている上記の英文ニュースの記事を見ると、11月24日のみで8000人に聞いたという事は、調査手法は”インターネット調査”をして、一気に一日で8000サンプルの回答を集めたということでしょうか。

しかしながら、元記事の表現だと調査員がタイ全土の350の選挙区で尋ねたと書かれているので、これは街中で聞く、街頭インタビューのような形で聞いたのでは?という表現です。

そうすると、たった一日で、いったいどれほど多数の調査員をタイ全土に派遣して、8000サンプルの調査をしてきたのでしょうか?

そうすると疑問になります。通常このような調査は、全体を後で推し量れるように性別、年代、学歴、職種など、ある程度の割り付けを実施してリクルートをしなければいけません。そうすると適切な回答者のリクルートは実査を進めているうちにどんどんと難しくなってきて、1会場あたりで1日で回収できる回答の数は少なく、ましてやたったの一日で8000ものサンプルに聞くというのは現実的ではありません。

ましてや、1大学がそんな膨大な数の調査員を抱えているとは思えません。そんなに雇用したら、その一日以外の普段は何の仕事をしているのでしょうか?

しかも、これをタイ全土でやったという事なんで、今日の報道の英文記事を読んだ印象だけだと、インターネット調査でなければ、まず実現不可能だと感じる設計です。

そうすると、調査の内容も勿論ですが、まず調査手法から確認が必要ですし、どういう層からサンプリングしたのか、なぜ8000サンプルも集める事が必要だったのか?など、調査についての情報が出なければわかりませんから、この調査結果についてもなんとも言えません。

ただ、このようにNIDAの調査結果の直後に、今度は大学の調査結果が違う結果だと発表されていると、タイの選挙予測調査結果の信ぴょう性自体が疑問になってしまいそうですね。

 

民主主義国家で選挙が正常に行われている国だと、選挙予測の調査結果の精度は、通常は選挙が行われて開票された後に、その開票結果に近いかどうかで明確にわかるため、調査精度は是正され向上していくものです。

選挙調査結果は上記のように、開票時に答えがはっきりわかる種類の調査なんで、そこで的外れとわかる調査結果予測を出してしまうと恥ずかしいという調査担当者の事情もあります。特に日本人だと、的外れな予測を言って恥ずかしい思いをしたくないという事もあって、精度は高まりやすいという面もあります。

タイの場合には、民主化も遅れていて選挙がされておらず、そのような予測精度の向上などもないため、このようにNIDAの世論調査の報道の直後に、「今度は大学の世論調査では全然別の結果だった!サンプル数も8000もとった調査では、プラユット首相がダントツの一位だ!」という調査結果が現地メディアで報じられてしまうようでは、そもそもこの調査結果が信用されなくなってしまうのではないかとも思います。

加えて今日の報道を読んで気になるのは、ニュースで報道されている大学の学部長の結果の発表の説明でも、わざわざ「Suradat氏が全てのエリアで2位であり、1位となったエリアはない」と強調されている点などが、Suradat氏が1位と報じられて衝撃が走っている中に合わせた説明となっている印象を強くしてしまっている点です。

プアタイ党 Suradat氏 (プアタイ党ウェブサイトより)
彼女が首相にふさわしい人の首位かどうかで、タイの政界、世論がわいています。

同じバンコクポストの連日の報道で、こんなニュースになるというのが、タイの実情を理解しやすく面白いニュースと思います。

このような中で、タイの民主化への動きがどのようになるのか、ますます注目が集まります。

加えてタイの調査結果というのは信用を前提とせず、調査の中身や手法をきちんと確認してから考察をしないといけないということを感じるニュースですね。

参考過去記事)

11月26日 PJA NEWS) タイの選挙予測調査結果、衝撃の首位入れ替わりに!
https://pattayaja.com/2018/11/26/pja-news%e6%9d%a5%e5%b9%b4%e3%81%ae%e3%82%bf%e3%82%a4%e9%81%b8%e6%8c%99%e4%ba%88%e6%b8%ac%e8%aa%bf%e6%9f%bb%e7%b5%90%e6%9e%9c%e3%80%81%e8%a1%9d%e6%92%83%e3%81%ae%e9%a6%96%e4%bd%8d%e5%85%a5%e3%82%8c/

11月27日) PJA NEWS 選挙予測調査結果、プラユット政権に衝撃!
https://pattayaja.com/2018/11/27/pja-news%e9%81%b8%e6%8c%99%e4%ba%88%e6%b8%ac%e8%aa%bf%e6%9f%bb%e7%b5%90%e6%9e%9c%e3%80%81%e3%83%97%e3%83%a9%e3%83%a6%e3%83%83%e3%83%88%e6%94%bf%e6%a8%a9%e3%81%ab%e8%a1%9d%e6%92%83/

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