PJA NEWS)
2018年11月29日
プラユット首相、独メルケル首相に来年2月の選挙実現を約束
ドイツを訪れているタイのプラユット首相はメルケル首相との会談の中でタイの民主化を促され、来年2月のタイの選挙実施を約しました。
以下、本日のタイ現地英文メディアのBangkokPostが伝えています。
Bangkok Post)Merkel urges prayut to bring back democracy (2018年11月29日)
Bangkok Post)独メルケル首相、泰プラユット首相に民主化回復を促す
https://www.bangkokpost.com/news/general/1584014/merkel-urges-prayut-to-bring-back-democracy
(写真:ドイツ連邦政府)
上記で報道されている内容の概要は、以下の通りです。
独のメルケル首相は訪独中のタイのプラユット首相に、タイを民主化に導くよう促しました。
メルケル首相は、ベルリンでプラユット首相との会談を実施する前に、「タイは非常に困難な時期を迎えています。ドイツ首相としては、可能な限り早くタイが民主主義の復帰の道を歩み続けるようにプラユット首相に促します」と述べていました。
プラユット首相はこれを受けて、「タイは2019年2月の選挙の実施に向けて進めています、私は選挙を公正かつ透明なプロセスにします」と約しました。
しかしながら、プラユット首相は「民主主義」という言葉は一度も使いませんでした。
一方、プラユット首相はその後、ドイツ在住のタイの専門メンバーたちとの会合に向かう折に、メルケル氏の世界的な貢献を褒めたたえるコメントをしました。
この会合で、プラユット首相はドイツ在住のタイ人に「選挙に注目して、今後20年のタイの国家戦略を支援してくれるよう」呼びかけました。
しかしながら、この会合が行われる前日、ドイツの首都ベルリンのブランデンブルク門には、ドイツ在住のタイ人が20~30人集まり、プラユット首相に抗議してプラカードを掲げていました。抗議者は反独裁を歌ったラップ”Prathet Ku mee”(*)をかけていました。この曲はYou Tube上のみで、既に4100万回以上再生されています。
(*)筆者注記;Prathet Ku meeについては、以下の過去記事をご覧ください。既に再生回数は4100万回を超えているということです。
2018年10月31日 PJA NEWS
PJA NEWS)タイで政権批判のラップが大きな話題に(日本語字幕動画付き!)
2018年11月2日
PJA NEWS)プラユット政権、官製ラップをお披露目(動画付き)
プラユット首相は本日、29日の木曜日に帰国の予定です。
プラユット首相は、ドイツ在住のタイ人の専門家たちとの会合において「(プラユット)政権のこれまでの4年間を経て、2019年2月にはタイ社会を安定させる事を実現して、選挙に向かいます」と述べ、その上で「誰もが考え方を変える必要があります。中身のない話に耳を傾けないで、慎重に投票してください。」と語りました。
会談の詳細は、政府のスポークスマンによって伝えられました。
プラユット首相は、タイ政府はこの4年間で、400の法律を公布し、経済も大きく改善したと語りました。
その上でスポークスマンは、プラユット政権より前は0.9%だったタイのGDP成長率も、EEC開発計画などのおかげで4.3%まで向上している事を語りました。
また、プラユット首相は「(批判をされた)貧困層に与えられたタイの社会福祉カードは、貧困層の方々への侮辱でもないし、選挙での投票を目論んだものでもありません」と語りました。
加えてプラユット首相は「今後20年にわたるタイの国家戦略は、その期間があまりにも長すぎるとは、考えないでほしい」と語りました。
「変化の激しい世界で前進する必要があるのです。」とプラユット首相は語りました。
またプラユット首相は、ドイツの大手国際企業各車の経営幹部と水曜日に会談し、タイに投資してくれるよう進めました。
ここまでが、報道されている内容の概要です。
EUの中核的な国のドイツ首相から促され、タイのプラユット首相も来年2月の選挙を約しました。
このドイツとタイのトップ会談のニュースは、ドイツのメディアでも大きく報じられています。
以下は、ドイツ連邦政府側の報道発表です。
(以下はドイツ語のウェブサイトとなります。英文版はまだアップされていないようですので、ドイツ語版を紹介します。)
ドイツ連邦政府リリース)https://www.bundesregierung.de/breg-de/aktuelles/strategische-gemeinsamkeiten-ausbauen-1555114
上記を見ると、ドイツ側はタイの民主化への動きを称賛するポイントと、ドイツとタイの経済的な連携の強さをアピールするポイントを伝えているのがわかります。
タイの報道では上記のBangkokPostの記事のように、プラユット首相が「選挙」という言葉は使ったものの「民主主義」という言葉を使わなかったことを強調していますが、この点は全体を読む限り、そこに他意があるとも思えない内容だったので、そこまで強調する必要があるのか?と疑問になる表現の仕方でしたね。
勿論、ドイツの連邦政府の発表でも、多くのドイツメディアでも、このプラユット首相の言葉選びをポイントとしている動きは見受けられません。
このような事情から、今日のPJA Newsではタイニュースを日本語で伝えるという位置づけから、来年2月の選挙を約したポイントを表題にしました。
写真もドイツ連邦政府発表の写真の以下を見ると、タイの民主化への動きを優しく見守るメルケル首相という印象が強い写真が選ばれているのがわかりますね。
会談の発表の様子(写真:ドイツ連邦政府)
タイメディアで”民主主義”という言葉が使われたかどうかが重視されるのは、タイ国内では”選挙”という民主主義の手段を表す言葉よりも、国民が主権を持つという”民主主義”という言葉の方が、より重要視される傾向があるので、それに合わせた報道の仕方でしょう。
加えてタイ国内の議論を聞いていると、来年2月に選挙を実施しても、その選挙で選ばれる範囲は決して大きくはないので、その意味で”選挙の実現”の約束ではなく”民主主義”の実現”という言葉が重要になるという面もあります。
外国人の視点で見ると、言葉の選び方の議論で時間を使うよりも、その民主化の中身を議論するのに時間を使うべきでしょうし、EUの大国であるドイツにも来年2月の選挙実施をプラユット首相が約したわけですから、その民主化の中身を作る事に注力する報道にした方が、より建設的な流れになるのではと思います。
日本としても、タイが一刻も早く民主化へ向けての道を進んでくれるよう促しています。
その来年2月の選挙まで、もう残り3か月もありません。
これからのタイの民主化への動きに、ドイツも含めて世界的な注目が集まっているのが、タイ国内にも強く伝わる今日のニュースです。
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