PJA NEWS)2018年12月7日

タイは世界一の格差社会!?Credit Swiss調査結果発表

スイスの銀行であるCredit Swissによる各国の収入格差などを調査した本年度の調査結果で、タイはロシアやインドを抜いて世界一の格差社会となった事が、昨日のタイ現地メディアのBangkok Postの記事で報じられています。

Bangkok Post)Report:Thailand most unequal country in 2018
Bangkok Post)2018年度、タイは世界で最も酷い格差社会の国に
https://www.bangkokpost.com/business/news/1588786/report-thailand-most-unequal-country-in-2018

報道によるとCredit Swissは世界の40か国において、収入格差の大きさなどを調査しており、その2018年度の調査結果が発表されました。

Credit Swissが発表している調査結果のデータブック資料は、以下からダウンロードできます。

“Global Wealth Databook 2018” Credit Swiss (ダウンロード)

同調査結果によると、2016年度は格差社会の酷さで3位だったタイが、2018年度は上位のロシア、インドを抜いて、世界一の格差社会と評価されました。

調査結果によると2016年度、タイは人口の1%の富裕層(約50万人)が、タイの富の58%を保有していましたが、2018年度は66.9%に達しました。

一方、2016年に格差社会の酷さで一位だったロシアは、2016年は同数値が78%でしたが、2018年度は57.1%に低下しています。

また、2016年に格差社会の酷さで2位だったインドは、2016年は58.4%でしたが、2018年は51.5%で4位に低下しています。

結果、2016年度は格差社会の酷さにおいて3位だったタイが、2018年度ではロシア、インドを追い抜いて1位となりました。

 

調査結果のデータブックを見ると、各国ともに国レベルの統計情報における収入資料を元に算出しているのがわかります。

その数値が正しいという前提で、トップ1%の人間を”富裕層”と定義し、その富裕層が国の富をどれだけ占有しているかを計算し、調べた調査結果ですが、結果的にタイの格差の酷さが強調される発表内容となりました。

PJA NEWSでは過去記事でも何度か報じた通り、タイの収入格差は非常に大きく、かつ富の再配分が少ない為に、貧富の差が生まれながらに固定化してしまいやすい為、まるで中世の貴族社会のように、生まれながらの富裕層への不満がたまりやすい傾向があります。

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現在、タイの政府は今後の相続税の導入や、すでに実施した固定資産税の導入など、「生まれながらの金持ち」との格差を是正するための、富の再配分に繋がる施策を国際標準に近づける為に講じているのですが、相続税などは国際標準と比較すると、あまりにも税率が低く、かつ控除金額も大きいため、実効性は少ない内容になっています。

 

外国人の目線で見ると、人が努力して資産を得られるのなら労働意欲が刺激されるのですが、そうではなく、生まれながらにして金持ちと貧乏というのが固定的になってしまうと、貧困層の労働意欲は失われてしまいます。

加えて、格差社会が行き過ぎると、富裕層もまた、もう働く必要がないし、簡単に資産を増やせると、働く気がしなくなると思ってしまうので、富裕層の働くモチベーションまでも低下してしまいます。

世界的な視点で見ると、特に第二次世界大戦後あたりの資本主義国では、このような背景から多くの国で富の再配分が進み、大部分の人が働く事へのモチベーションを高めるよう施策がされてきたわけですし、歴史的には、このような平等性を実現するために、貧富に関係なく一人一票の普通選挙の仕組みが浸透してきました。

タイの場合は貧富の差だけでなく、富裕層は法を犯しても罰せられることが少ないという、法の下の平等もない事への不満もあり、庶民の不満がたまりやすくなっているという事情もあります。

そのような貧富の差の是正の取り組みが、タイの民主化とともに求められています。

「人は、生まれながらに、貴賤貧富の別なし。ただ、良く学ぶ者は、貴人となり、富人となり、そして、無学なる者は、貧人となり、下人となる。」(福沢諭吉「学問のすすめ」初編、1872年<明治5年>2月発刊)*

明治初期に、新しい”あるべき社会”の姿を考えぬいた福沢諭吉の言葉を思い出させられる現状です。

 

*「学問のすすめ」における、この言葉について

福沢諭吉の「学問のすすめ」(全17編)では、その初編の冒頭に記載されている「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という言葉が有名ですが、この言葉は原文では直後に「といへり」と書かれており、福沢諭吉の言葉ではなく、引用で紹介されている言葉です。この言葉は、アメリカの独立宣言から引用されているとする説が有力です。

この引用の言葉の紹介の上で、その直後に福沢諭吉の考えが説明されていますので、福沢諭吉自身の考えを表す言葉は、上記の言葉がより適切だと考えます。

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