プラユット首相、選挙日程変更無しと表明、タイ政局の動きのまとめ
選挙予定が、いよいよ来月後半に近づいているタイの政治関連のニュースです。
前回の政治関連記事は、以下の過去記事をご覧ください。
PJA NEWS過去記事 (2018年12月29日)
NACC(国家汚職防止委員会)への弾劾を求めるキャンペーンが始まる
上記の12月29日のPJA NEWSでお伝えした、タイ国内のNACC(国家汚職防止委員会)の弾劾を求める運動が、2018年の年末から始まっています。
以下の通り、2018年12月31日の大晦日のタイ大手英字メディアのBangkok Postが伝えています。
Bangkok Post)Bid to impeach NACC gathers pace (2018年12月31日)
Bangkok Post)NACCの5人への弾劾を求める署名が順調に集まっている
https://www.bangkokpost.com/news/politics/1603202/bid-to-impeach-nacc-gathers-pace
報道によると、運動を提唱した一人である活動家が経営するバンコクのドンムアンにあるコーヒーショップで署名活動が始まっており、12月30日(日)の午後6時の時点で、既に1,229名分の署名が集まりました。NLA(国民評議会)に送る目標である2万人分の署名は、2019年1月中旬には集まるのではと主催者は語っています。
なお、上記のBangkok Postの記事の写真を見ると、署名に並ぶ人の列の写真が掲載されていますが、その写真下のキャプションを見ると、このNACCへの弾劾は、プラウィット副首相の腕時計問題について違法性が無いと投票した5名について弾劾を求めるのではなく、NACC全体への弾劾を求める署名であると説明されています。つまり、弾劾の対象を5名だけではなく、NACC全体へとした上での署名活動が行われています。
このような批判や運動が続く中、選挙が本当に2019年2月24日に実施されるのかどうかの最終確定がしていない為に、本当に2月24日に選挙が実施されるのかどうかという話題がタイメディアでも多く報じられてきました。
選挙日程が遅延するかもしれないとする理由としては、投票用紙のデザインが決まらず印刷が遅れるのではないか、国王陛下の戴冠式の日程とずらす為に選挙日程が調整されるのではないか、とする憶測などが報じられていました。
しかしながら、PJA NEWSでも1月1日に既報の通り、タイの王宮庁は元旦に、ワチラロンコン国王陛下の戴冠式は5月4日と発表しました。
PJA NEWS過去記事)ワチラロンコン国王陛下から新年のお言葉と、戴冠式の発表(2019年1月1日)
また、投票用紙も1月2日にデザインが最終決定され、発表されました。
以下のタイ現地英字メディア大手のBangkok Postが報じています。
Bangkok Post)Election Ballot Paper unveiled (2019年1月2日)
Bangkok Post)選挙投票用紙のデザインが決定され公表
https://www.bangkokpost.com/news/politics/1604202/election-ballot-paper-unveiled
報道によると昨日の2019年1月2日、選挙管理委員会は投票用紙のデザインを決定して公表しました。
実際のデザインは、上記のBangkok Postのリンク先記事に掲載されています。
各政党の政党番号、政党のロゴ、政党名などが並ぶ投票用紙のデザインとなりました。
そして本日のタイの大手英字メディアのNationが、プラユット首相が選挙日程を変更しないと明言した事を報じています。
Nation)No change in road map to election, Prayut assures (2019年1月3日)
Nation)プラユット首相、選挙日程を変更しないことを明言
http://www.nationmultimedia.com/detail/politics/30361519
(プラユット首相:写真はタイ首相府より)
プラユット首相は1月2日の記者会見で、国防省からあった「国王陛下の戴冠式の5月4~6日の日程を鑑みて、選挙日程は戴冠式後に変更してはどうか」という提案について、これを却下し選挙日程を変えない事を明言しました。
プラユット首相は、(選挙日程変更の)提案は個人的な提案としてもらったもので、国政に影響はしないとして、提案を却下した事を語りました。
合わせて、選挙の実施日程は選挙管理委員会の決定事項にあたると説明しました。
このようにプラユット首相は2月24日に選挙の実施予定である事を語っています。
ただ、選挙日程はいまだ最終的な決定となっていない状況は続いており、今後の動きに注目が集まっています。
また年末には、タクシン派のプアタイ党(タイ貢献党)は、タイ民主党に合流・連立を呼びかけ、数の論理における優位性を増そうとしましたが、民主党のアピシット党首は提案を拒否した事が、タイ現地大手英字メディアのBangkok Postで昨日報じられています。
Bangkok Post)Abhisit rejects Pheu Thai coalition offer (2019年1月2日)
Bangkok Post)アビシット党首、プアタイ党(タイ貢献党)との合流・連立を拒否
https://www.bangkokpost.com/news/politics/1603850/abhisit-rejects-pheu-thai-coalition-offer
(プアタイ党(タイ貢献党) 写真はプアタイ党より)
2月24日の選挙に向けて各党とも動きが活発化しており、その一部が表出するようになってきました。
タイが民主化に向けて動く中で、選挙がどのようになるのか、その推移に注目が集まります。
一般意思は、つねに正しく、つねに公の利益を目指す
(ジャン=ジャック・ルソー 1762年刊行「社会契約論」第2編第3章「一般意志は誤ることができるか」より)
18世紀初期にジュネーブ共和国に生まれ、主にフランスで活躍した政治哲学者であるルソーの「社会契約論(*)」の中に出てくる有名な言葉で、筆者も好きな言葉の一つです。
ルソーのこの考え方は、明治初期の日本にも大きな影響を与えました。
作家の島崎藤村も1909年(明治42年)の3月に「ルウソオの『懺悔』中に見出したる自己」を発表し、ルソーの「懺悔録(告白)」に多大な影響を受けた事を記しています。
このルソーが語った理想論の通りに、一般意思が反映されるはずの、国民の為の”民主政治”の実現。
これからのタイで、これがどのような形になっていくのか、注目が集まります。
(*)社会契約論(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E5%A5%91%E7%B4%84%E8%AB%96
ジャン=ジャック・ルソー(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/?curid=12178
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