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PJA NEWS)バンコク:空港で、サウジ女性を国連が保護、第三国出国へ





2019年1月8日 PJA NEWS)

バンコク:空港でサウジ女性を国連が保護、第三国出国へ

バンコクのスワンナプーム空港で1月5日、サウジアラビア女性のラハフ・ムハンマド・クヌン(18歳)さんがパスポートを取り上げられ、移動までの間、同空港内の宿泊施設に拘束される事件がありました。

女性は、家族からの虐待から逃れる為にオーストラリアに逃れる途中に、バンコクのスワンナプーム空港にトランジットで訪れたとみられています。

女性はトランジットでバンコクのスワンナプーム空港に訪れた際、サウジアラビアの大使館員にパスポートを取り上げられたと人権団体に説明しており、以下のようにツイッターに書き込んでいました。

女性はツイッターで、自身はサウジアラビアの家族から逃げてきたもので、サウジアラビア大使館は同国に帰国させようとしているが、帰国させられれば家族にきっと殺されるとツイッターに書き込んで、助けを求めていました。

本事件は各国の報道で報道されています。その中の一つの、今日の日本の産経新聞の以下記事などによると、在タイサウジアラビア大使館の館員は「彼女は帰りの航空券やホテルの予約券を所持していなかったため、タイ当局に拘束された」と述べて、大使館の関与を否定している事が伝えられています。

産経新聞)タイ空港で拘束のサウジ女性、国連が保護 (2019年1月8日)
https://www.sankei.com/world/news/190108/wor1901080002-n1.html

パタヤでも、パタヤの大手英字メディアのPattaya Oneが以下のように昨日に取り上げています。

Pattaya One)Australia-bound Saudi teen held in Bangkok (2019年1月7日)
Pattaya One)オーストラリアに向かうサウジの少女が、バンコクで拘束される
https://pattayaone.news/en/australia-bound-saudi-teen/

助けを求める18歳の女性の発した多くのツイートは世界的に大きな反響を呼び、各国のメディアが取り上げるニュースとなりました。

またバンコクにある各国の大使館の中でも、在タイドイツ大使館の関係者が以下のようなツイートをして反響を呼んでいました。

以下はドイツ語で、概要としては「私たちは、このRahaf Mohammedさんの件について懸念を持っており、タイや各国大使館などと連絡を取り合っています。」という趣旨の内容が書いてあります。

このように反響が拡大する中、女性は在タイサウジアラビア大使館ではなく国連の保護を求めたことから、昨日の1月7日に国連が女性に面談し、国連が女性を保護しました。

タイ警察によると、女性は望まない結婚から逃れようとしているとしています。

また女性は人権団体に「(サウジアラビアの家族からは)髪の毛を切っただけで6か月も部屋に閉じ込められた」などと語っています。

タイ現地英字メディアのカオソッドEnglishの以下の記事によると、昨夜の2019年1月7日の夜から、女性は国連の保護のもとにあり今後は第三国に出国する予定となりました。

Kaosod English)SAUDI WOMAN LEAVES BANGKOK AIRPORT UNDER UN CARE (2019年1月7日)
Kaosod English)サウジ女性、国連の保護下でバンコク空港から移動
http://www.khaosodenglish.com/featured/2019/01/07/saudi-woman-leaves-bangkok-airport-under-un-care/

上記記事はタイのイミグレーションの高官の話として、国連が適切な第三国を見つけるのに5日ほどかかるのではないかという見解の上で、既にタイのイミグレーションの管理下を離れ、国連の保護下にあり、スワンナプーム空港から移動した事が語られています。

同高官のコメントによると、タイ当局は今後も女性の安全確保のために追加のセキュリティーを提供する事、もし彼女の家族がバンコクに来れば、彼女が会いたがっているかどうかをまず確認する事、タイとしては後ほどサウジアラビア大使館と、状況について協議する予定である事を説明しています。

(写真:Pattaya Oneより)

上記のような経緯で、18歳の女性のツイッターが大きな反響を呼び、各国の報道で取り上げられる大きなニュースとなっています。

本ニュースでは18歳の少女が、サウジアラビアの家族の虐待から逃げて来たという極めて社会的に弱い立場にあり、その少女が異国のタイのバンコクの空港で必死に助けを求めた事で、多くの人の持つ”弱い立場の人を助けなければいけない”という道徳心を打ち、反響が世界的に拡大しました。

これは現在の”正義”の感覚などを思い起こさせてくれるとも思える、興味深い事件となっています。

「強者が弱者を虐げないように、正義が孤児と寡婦とに授けられるように」

(バビロニア王国 ハンムラビ王(紀元前1792~1750年)の法典「ハンムラビ法典(*)」あとがきより 紀元前18世紀後半)

この言葉は世界で2番目に古い法典であるハンムラビ法典のあとがきに、おそらくハンムラビ王自身の願いとして書かれた言葉です。

紀元前18世紀から弱者を救済するべきという感覚を、モラル、正義として語った言葉で、これはおそらく人間の不変の感覚でしょう。

このような正義、モラルを人間は不変に持ち続けており、これによって一人の少女の助けを求める声が、瞬時に世界的なニュースになるという事を実感するニュースとなりました。

加えて本ニュースは特にツイッターが波及において重要な影響を及ぼしていますが、ツイッターはあえて文字数を制限する事で、要点が端的に伝わりやすく、英語においてネイティブでない人などが発信しても、即時に広がりやすいという特性があるのが面白い所です。

これもインターネットの影響力が増した現代において、メディア媒体の利点特性の作り方として特徴的な面を形成していると思います。

 

本記事執筆時点では、まだ女性の第三国の移動先も選定がされていませんし、少女の主張は多く報じられていますが、たとえばサウジアラビアの家族側やサウジアラビア大使館側の話などは詳細が出ていませんので、本件は今後どのような展開があるかはわかりません。そもそも、少女の話がどこまで本当なのかも、まだ十分に確認されていません。

本件については、また続報があればPJA NEWSでも取り上げていきたいと思います。

(*)ハンムラビ法典(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%A0%E3%83%A9%E3%83%93%E6%B3%95%E5%85%B8

ハンムラビ法典は、現存するものはフランスのパリにあるルーブル美術館が所蔵しています。

ハンムラビ法典は「目には目を、歯には歯を」(タリオの法)が有名で、これはハンムラビ法典の196、197条にあるとされていますが、実際のハンムラビ法典では、これは同じ身分の人同士の話であって、身分が異なる場合は罪の重さが異なるとされていました。

上記の言葉が誤解を招きやすいものの、実際のハンムラビ法典の趣旨は、犯罪に対して報復や厳罰を加えることを主目的にはしていません。

実際のハンムラビ法典では財産の保障や、奴隷階級であっても一定の権利を認め、条件によっては奴隷解放を認める条文が存在しており、女性の権利(女性の側から離婚する権利や夫と死別した寡婦を擁護する条文)が含まれています。紀元前18世紀において、このような法典を作ったハンムラビ王が、どれほど先進的であったのかを窺い知る事ができる法典ですね。

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