2019年2月8日 PJA NEWS)

タイ総選挙 各政党が公約を発表 タクシン派はEECに消極的

タイの総選挙の続報です。

昨日の2019年2月7日、バンコクでタイの大手英字メディアBangkok Postが主催するフォーラムが開かれ、各政党が公約を打ち出しました。

同Bangkok Postが本日伝えています。

Bangkok Post)Party big guns lay out promises (2019年2月8日)
Bangkok Post)各政党が公約を打ち出す
https://www.bangkokpost.com/news/politics/1625334/party-big-guns-lay-out-promises

報道によると、プラユット首相を単独での次期首相候補とする親軍政派政党のバランプラチャーラット党(国民国家の力党)は、社会福祉カードの配布者の拡大を公約。現在の1450万人から、200~300万人増加させるとしています。

経済政策としては、現在の軍政による”Pratha Rath”経済政策に基づいて人々に機会の平等を促進し、人々の能力を高めるために尽力するとしています。また社会政策としては、人々がより安全に暮らすことができるように政策を実施するとしています。

その上でEEC(東部経済回廊)については、政権の中心的政策としてハイテク技術への投資を推進するとしており、BOI(タイ投資委員会)などによる、投資の促進のための優遇政策も引き続き推進するとしています。

選挙後のスタンスとしては、他の政党とも同じイデオロギーを共有し、人々が望むのであれば、協力していく用意があるというスタンスを説明しています。

一方、タクシン派のプアタイ党(タイ貢献党)は、家計内債務がGDPの17%にまで増加しており、中小企業における不良債権も増加している事を指摘し、格差の拡大の問題を指摘しています。その上で同党のビジョンは、人々に機会の平等をもたらすこと、そして生活の質の向上と活力ある社会としています。

この実現のために、タイは外国のブランドの生産拠点となるだけではなく、独自のブランドを作り高付加価値化を実現する事が必要であり、そのためには権力の分散と、機会の平等を実現するとしています。また、アセアンなど各国への輸出支援政策が必要であり、加えて汚職の根絶への取り組みが必要であるとしています。

一方で、EEC(東部経済回廊)計画については見直しが必要だとしています。レムチャバン港はあまりタイの輸出に寄与しておらず、スワンナプーム空港を拡充する方が効果的だという見解を打ち出しています。また、バンコクの人々に多くの雇用機会を作る事の方が、EEC計画よりも、より多くの有能な人々を惹きつけ、より多くの雇用を創出するだろうとしています。これにともなって現状の高速鉄道計画(*)も見直しが必要としています。

選挙後のスタンスとしては、クーデターを支持する政党とは協力は難しいとしています。

(*)参考過去記事)タイ高速鉄道で唯一実現性の高いEEC路線、政治と現実に隔たり (2018年11月1日)
https://pattayaja.com/2018/11/01/pja-news%E3%82%BF%E3%82%A4%E9%AB%98%E9%80%9F%E9%89%84%E9%81%93%E3%80%81%E6%94%BF%E6%B2%BB%E3%81%A8%E7%8F%BE%E5%AE%9F%E3%81%AB%E3%82%BA%E3%83%AC/

報道では、他にタイの民主党や新しい未来党の公約や方針も紹介しています。

報道されている概要は上記のような内容です。

(写真はイメージ)

本日の各政党の首相候補の発表を受けて、3月のタイ総選挙は実質上、ウボンラット王女を首相候補とするタクシン派と、プラユット首相を首相候補とする親軍政派とで争う選挙となる事が見込まれています。

日本人の視点で見ると、親軍政派が次期政権となると、特に日本が注力しているEEC(東部経済回廊)開発計画はより促進される事が期待されますが、タクシン派が次期政権となると、EECよりもスワンナプーム空港の拡張などに注力ポイントがおかれる方針が打ち出されいると見る見方もあります。

一方で、両政党とも機会の平等を訴えているのは印象的です。機会が平等になれば、本当に力を持つ人間が、会社でも公的機関でも登用される社会になりますから、より優秀な人間が活躍する事ができるようにすることを目指す方針となっています。

加えて今回はタクシン派の政党の方が、汚職撲滅を訴えているのも違いとして印象に残りやすくなります。

これは政策を現在担当していない立場だから訴えやすいというのもあるでしょう。タクシン派としては、軍政の汚職問題を訴えることで親軍政派との違いを印象付けることができますから、これも選挙戦への影響が大きくなる可能性があります。

 

各政党とも首相候補を本日公開し、各党の公約や方針が打ち出されたことで、いよいよ選挙戦が本格的に展開していきます。

「結果の平等はともかく、機会というものは誰にでも平等であると固く信じている。」(米アップル社創業者 スティーブ・ジョブズ)

機会を活かせるかどうかはひとそれぞれですが、機会が広く、できるだけ平等に与えられる社会というのは、才能ある人間が登用される強い社会になると思います。タイもそのように変わっていくことが、選挙でも大政党の公約となって期待されています。

PJA NEWSでは、タイ総選挙については引き続き今後も続報の予定です。

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