誤解が広がる日本(1)タイ現地メディア、韓国側主張のみを垂れ流す
以下の過去記事で、日本の旭日旗が「使ってはいけないシンボル」だという、誤ったニュースがタイで流れている事をPJA NEWSで取り上げました。
PJA NEWS過去記事)BNK48のナチスシャツ騒動、タイで旭日旗問題へ飛び火 (2019年1月29日)
https://pattayaja.com/2019/01/29/bnk48%E3%81%AE%E3%83%8A%E3%83%81%E3%82%B9%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%84%E9%A8%92%E5%8B%95%E3%80%81%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%81%A7%E6%97%AD%E6%97%A5%E6%97%97%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%B8%E9%A3%9B%E3%81%B3/
日本の旭日旗は、帝国主義を表すシンボルでは全くありません。この主張は韓国が最近になって主張しているものですが、その韓国の主張がタイに浸透しつつあり、タイで日本の誤解が広がってしまっています。
現在、タイの一部現地メディアでは韓国側の言い分の多くが、日本側の主張が伝えられることもなく、そのままで垂れ流されてしまっており、旭日旗の問題に限らず、従軍慰安婦問題や徴用工問題などの多くで日本の誤解が広がっている状況にあります。
例えば従軍慰安婦問題についても、タイ現地の大手英字メディアの一つKaosod Englishでは以下のような、韓国のライターの方が書く韓国側の主張が、一方的に垂れ流されてしまっています。
Kaosod English)SOUTH KOREANS MOURN DEATH OF FORMER WWII SEX SLAVE (2019年1月30日)
Kaosod English)韓国国民が、第二次大戦で性奴隷にされた女性の死を悲しむ
http://www.khaosodenglish.com/news/international/2019/01/30/south-koreans-mourn-death-of-former-wwii-sex-slave/
(記事の概要)
第二次大戦時に日本により性奴隷にされた一人のキム氏がガンで亡くなり、韓国の多くの人が悲しんでいます。
韓国のムンジェイン大統領は、ソウルの病院に設置されたキム氏の祭壇を訪れて、キム氏は「人間の尊厳を取り戻す」ために活躍したこと、韓国国民に「真実を明らかにする勇気」を与えたことを語りました。
専門家によると、何千人ものアジアの女性たちが、日本軍により最前線の売春宿に送り込まれ性奴隷とされたということです。
韓国の慰安婦問題の活動家によると、キム氏は14歳の時に自宅から日本軍に引きずり出され、1940年から1945年まで日本軍の性奴隷とされて、中国、香港、マレーシア、インドネシア、シンガポールの日本の軍事施設で、日本兵との性行為を強いられてきました。
韓国政府は2018年11月、日本によって設立された、日本軍の性奴隷の犠牲者を償うための財団を解散する計画を発表しました。実行されれば、2015年の日韓合意を覆すことになります。韓国では、多くの国民が日本政府による10億円の補償額では足りないと考えています。そして日本政府は韓国を植民地化していた時代の法的責任を認めていません。
日本政府は、戦時補償の問題は1965年の日韓基本条約で解決済みであり、その際に日本は韓国に8憶ドルを超える経済援助や融資を実施したと主張しています。日本の河野外相は「韓国の決定は、国際社会におけるもっとも基本的な規律にそむく」とし、韓国の財団解散を非難しています。
筆者:キム・トンヒョン
(ここまで記事の概要)
おわかりいただけますでしょうか。
この記事をタイの人が読むと「日本軍が人狩りのように女性を自宅から捕まえて強制連行し、日本軍の性奴隷にしたのだ」と信じられてしまう内容です。
同Kaosod Englishでは、上記記事に続いて以下の記事が配信されました。
Kaosod English)WOMAN ENSLAVED BY JAPAN’S MILITARY MOURNED NEAR PROTEST SITE (2019年2月1日)
Kaosod English)日本軍により性奴隷にされた女性の葬儀、抗議の場所で追悼
http://www.khaosodenglish.com/news/international/2019/02/01/woman-enslaved-by-japans-military-mourned-near-protest-site/
(記事概要)
<韓国:ソウル>第二次大戦時に、少女の頃に日本軍により性奴隷にされ、日本軍の売春宿に入れられた女性の死を追悼するために、韓国のソウルの日本大使館周辺には何百人もの人が集まりました。
追悼者は黒い服を着て、黄色い蝶をかたどった紙を持って追悼しました。葬儀の列は、何千人もの日本軍により性奴隷とされて最前線に送り込まれた少女達を追悼する従軍慰安婦像の前で止まりました。
日本大使館の近くのこのシーンは、5日間続いた葬儀の集大成というべきシーンでした。亡くなったキム氏は、日本により「慰安婦」と抽象的に呼ばれた、「性奴隷」にされた女性たちの苦しみを日本に認めるように求めてきました。
日本の指導者たちは繰り返し謝罪や反省の言葉を口にしてきましたが、多くの被害者女性は、より完全な謝罪と、日本の東京からの賠償を求めています。
しかし存命の被害者は減り、韓国人女性で被害を受けた239人のうち、今存命なのはわずか23人だけです。
92歳でガンで亡くなったキム氏は、この日本への抗議運動の最愛の指導者で、ソウルの日本大使館の向かいに設置された慰安婦像で行われる毎週の抗議集会の折に、よく慰安婦像の近くに座っていました。
彼女の死は韓国中に悲しみをもたらしました。韓国のムンジェイン大統領は、彼女が「真実に立ち向かう勇気」を韓国に与えてくれたと語りました。
キム氏の遺体を載せたリムジンがゆっくりと慰安婦像に近づいた後、キム氏の亡くなった年齢に合わせて伝統的な追悼の作法が行われ、そしてキム氏に感謝し、日本に賠償と懺悔を要求すると書かれて、キム氏の葬儀がされました。
キム氏の葬儀の間、多くの人々が泣き、反日スローガンの「日本は正式に謝罪しろ!」、「日本は正式な賠償をしろ!」といった言葉を叫んでいました。
キム氏は韓国の陽山市で生まれ育ち、14歳の時に日本軍により自宅から引きずられていき、1940年から1945年の間、中国、香港、マレーシア、インドネシア、シンガポールの日本の軍事施設で、日本兵との性行為を強いられてきました。
キム氏は、1993年の国連世界人権会議や2016年の国連人権理事会で、性奴隷にされた経験を証言しました。
キム氏は、結婚したり子供をもうけたことはありません。
1991年から1993年にかけての日本政府の調査によると、日本軍が性奴隷としたという公式文書はありませんが、多くの女性が意思に反して慰安婦となったとして、日本の謝罪に至りました。
<この後には、上記記事と同様の日韓基本合意などの日本の主張が続きます>
著者:キム・トンヒョン
(ここまでが記事概要)
上記のように、完全に韓国側の主張のみで書かれているわけですが、これがタイメディアのKaosod Englishで、日本からの説明も反論もされずに、垂れ流されてしまっているのです。日本側の主張で書かれている論点は、日本軍が性奴隷としたという公式文書の証拠など無い事などが、わずかに書かれている程度でしかありません。
当然ながら日本としては、まず日本軍が女性を拉致して性奴隷にしたなんていう事実はありませんし、勿論そんな事を日本軍が命じた公文書や証拠などもありません。そもそも韓国などアジア諸国で少女を強制連行なんてことを当時の日本政府がすれば、現地からの反発はすさまじくなるのは当然であり、それをする理由もありませんでした。
むしろ当時の日本の公文書で記録が残っているのは、日本軍の規律が乱れてしまって現地の人たちから反発を受けないように、当時の日本軍は非常に軍の規律に厳しく対応していたという事実です。特に現地の人への盗難や乱暴を禁止しており、違反者には重罪を課していました。
問題となっている日本軍の「慰安婦」は女衒業者によるものですが、悪質な業者が女性たちを酷い環境に置き、酷い仕打ちをしているのを見て、日本軍は悪質業者から女性たちを保護していたという記録しか公文書にはありません。
この慰安婦などの問題について現在の日本政府の公式な説明内容は、以下の外務省の「歴史問題Q&A」にわかりやすく掲載されています。
<日本国>外務省)歴史問題Q&A
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/qa/
日本政府としての対応の姿勢は上記の問2の回答の、以下の通りです。
「こうした歴代内閣が表明した反省とお詫びの気持ちを、揺るぎないものとして、引き継いでいきます。そのことを、2015年8月14日の内閣総理大臣談話の中で明確にしました。
他方、戦争とは何ら関わりのない、将来の世代が、謝罪を続けねばならないような状況を作ってはなりません。これは、今を生きる、現在の世代の責任であると考えています。」
(外務省 歴史問題Q&Aより)
この点は筆者も、まさにその通りだと思います。戦争において戦禍などもあって多くの一般市民に甚大な犠牲が出てしまった、そのことへの反省やお詫びをしっかりと表した上で、戦争に関わりもない将来の世代が謝罪を続けなければならない状況は作ってはいけません。
この問題について、タイメディアで報道されている上記記事では、日本の「慰安婦」という表現すらも抽象的な表現だとして、亡くなったキム氏は14歳の時に韓国の陽山の自宅から日本軍に連れ去られ、最前線で日本兵との性行為を強制された「性奴隷」だとし、そのような日本軍による被害者女性が数千人単位でいるのだとまで書かれています。
このような韓国側の一方的な主張が、タイのメディアで垂れ流されているのです。
(写真 2019年2月15日 日韓外相会談 外務省提供)
メディアでは、確かに提携する海外の媒体や記者などの記事を掲載する事は一般的にあります。PJA ニュースなどでも多く取り上げているタイの大手英字メディアのBangkok Postでも、見ていると日本人の方が書かれている記事もあります。
しかしながら、歴史問題となっている点について韓国側の意見のみが垂れ流されている中にある現在、ここで日本側がきちんと説明と反論をタイにおいてもしなければ、これでは日本の誤解がどんどんと広がって行ってしまうでしょう。
日本の旭日旗すらもタイで誤って報道され、「日本の帝国主義のシンボル」で使ってはいけないマークだとされている現在、日本はもっと積極的に、日本の主張を海外へ届ける努力が必要とされています。
タイは世界でも有数の親日国です。そのタイにおいて、このように日本の誤解が広がってしまっていることは大きな問題です。。
そしてタイで、このような日本の誤解が広がっている事例は他にもあります。これについてPJAニュースでは、「誤解が広がる日本」の連載として続報の予定です。
参考)日本の旭日旗を、日本の帝国主義のシンボルで使用してはいけないと伝えるタイのニュース
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