2019年2月22日 PJA NEWS) 特集:選挙に行こう!2019 (1)

選挙に行こう!2019(1)在外投票率は2%未満!衝撃の低投票率

日本の国会の議論で、衝撃の数値が指摘されました。

2018年11月19日(月)、日本の衆議院の倫理選挙特別委員会で、質問に立った立憲民主党の落合貴之議員の質問です。

落合議員は若い議員ながら、2世議員などではなく、親から貰った地盤も何もない中で、前回の衆院選では東京の小選挙区でライバルの自民党有力候補を破って当選し、現在は国会の経済産業委員会の野党筆頭理事も務める注目の議員の一人です。

この落合議員から投票環境の整備について質問がされたのですが、そこで、いかに日本の選挙で投票がされにくい環境となっているのか、在外投票の投票率が低くなっているのかが指摘されました。

(質問する落合貴之衆院議員<立憲民主党>
衆議院資料より)

落合議員からの質問内容の概要です。

「日本の投票でも、2017年の選挙の折には、期日前投票で1時間半以上などの長時間を待たされるなどの事例が発生しており、投票がしにくくなっている。投票時間は約35%の投票所で繰り上げがされ、早い時間に投票が締め切られてしまっている。地方では投票所が年々減少しており、ある新聞社の調査によると、前々回と前回選挙を比べると約900か所近く投票所が減ってしまっている。

海外の有権者が投票する在外投票については、約100万人の有権者が海外にいるにもかかわらず、在外選挙人名簿の登録率が低く、その登録をしているのがわずか10万人程度。そして2017年の選挙で投票した人は、わずか約2万人しかいない。これは海外在住の有権者数をベースに見ると、投票率はわずか2%程度しかなくなってしまっている。

安倍政権もグローバル化を進める中で、多くの有権者が海外在住となっている。そんな中で、こんな投票率の数値ではいけないだろう。もっと抜本的な対策が必要ではないか。」

筆者としては、これらの指摘のうち在外投票率がわずか2%というのは、驚くべき低い投票率です。総務省などで発表される在外投票の投票率では20%台ぐらいが多い印象でしたが、これはあくまで在外選挙人名簿の登録者数で見た数値で、有権者数で見ると在外投票は2%という低い数字なんですね。

石田総務大臣は、このうち在外投票についての答弁では、現在は出国時に登録できるように制度改正している事、今後はインターネット投票なども提言をもらって検討をしている事、その上で総務省としては外務省と連携し、ホームページや広報誌などを含め、内外への周知・啓発を実施している事を答えた上で、この投票率を上げる事が必要であるという認識を説明しました。

(答弁する石田総務大臣
衆議院資料より)

PJAニュースでも在外投票の投票率について調査した所、2017年10月時点で海外に在留する18歳以上の邦人は107万9418人、そのうち国政選挙に参加するための在外選挙人名簿の登録数は同年9月時点で10万506人と1割に満たず、前回の2017年衆院選での投票率を計算すると、投票率はわずか1.96%。2%にすら満たない数字でした。

グローバル化が進む現在、有権者でも仕事の都合などで、海外に在住する人が増加している事は強く感じます。タイは特に在留邦人が多い国ですから、ひとしおです。その中で、海外在住の有権者のわずか2%も投票していないというのが、今の日本の選挙の現状なのです。

この低投票率では、もはや民衆の意思を国政に反映するという民主主義の根幹が崩れてしまいます。投票率が著しく低い選挙では、特定の組織による組織票が影響力を大きく増すことになり、民衆の意思とは関係のない政治が行われてしまいますから、これは民主主義の危機というべき数字です。安倍内閣もグローバル化を積極的に!と訴えている中で、在外投票の投票率が、こんな数値ではいけないでしょう。

PJAニュースでは、上記質問をした落合議員に取材しました。

落合貴之衆議院議員(立憲民主党)
(写真:PJAニュース
議員会館にて)

落合議員は次のようにコメントしました。

「民主主義の根幹が揺らいでいます。これは在外投票の投票率がわずか2%であるだけを指しているのではなく、私がこの質問で指摘した通り、期日前投票をする人が増えたものの、投票所の混雑で2時間以上待つ事例も多く出てきていることや、人口減少地域を中心に、前回の衆院選では投票所が約900か所も減り、更に投票できる時間を短くした投票所が35%もあることなどにより、投票環境の問題が起きているのです。」

「投票環境の根本的な問題点は、社会の変化に投票システムがついていっていないことです。
これらを解決するためには、ネット(モバイル)投票は検討の価値がありますし、私はインターネット投票には賛成です。」

落合議員はこのように語り、その上で、インターネット投票法案を作成し準備している事を語りました。石田総務大臣の回答では、インターネット投票は在外投票を対象としていますが、そうではなく、海外のエストニアの事例のように、国中の人が使える内容を検討しているとしています。

海外在住の邦人の皆様は、まず在外選挙人名簿への登録を!

このような低投票率では、国民の意思が反映されません。これを防ぐには、在外邦人も含めて、国民一人一人がきちんと情報を集め、考えて、選挙に行くという事が、必要となっています。

現在、今年の2019年夏に参議院通常選挙が予定されています。そしてロシアとの北方領土交渉などによっては、衆参同時選挙の可能性も一部で指摘されています。この選挙を、タイに住む邦人が在外投票で行うには、まず在外選挙人名簿への登録が必要です。

この登録方法は、実はとても簡単です!

以下のリーフレットの通り、登録する有権者が用意するのは主にパスポートのみで、他には在留届を出していない人は、居住している事を証明する書類が必要です。そして在タイ日本国大使館や総領事館へ行って、申請書などをもらい、そこに記入して提出します。

これだけです。

(在タイ日本国大使館より、在外選挙人名簿登録、在外投票方法リーフレット)

そこからおよそ3か月ほどで、大使館などから住所確認の連絡を受け取り、その確認後に「在外選挙人証」が受け取れます。これで在外投票ができるようになります。

ご本人がお仕事などでお忙しい事もありますから、ご本人でなく、同居家族の方が代理して申請する事もできます。

その場合は、申請書などは外務省の以下のウェブサイトからダウンロードできますので、記入済みの申請書などを作って、一緒にパスポートや、在留届を出していない人は居住している事を証明する書類を用意して、代理の同居家族の方が日本国大使館や領事館に行って手続きをすれば、後は同様です。

(外務省)在外選挙関連申請書一覧
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/senkyo/shinseisyo.html

在タイ日本国大使館も、在外投票の実施のための在外選挙人名簿の登録を呼び掛けていますから、是非登録を皆様、されて下さい。

(詳細は、上記のリーフレット末尾に記載の在タイ日本国大使館領事部へお問い合わせください。)

ただ、手続きは早めにしておくことが必要です。

今年の夏の参院選は現状、有力なの日程は2019年7月4日公示、7月21日に投開票と言われています。これに間に合わせるためには、在外選挙人名簿登録には3か月程度はかかる見込みですので、できれば来月の3月のうちを目途に、上記の在外選挙人名簿登録を実施しておくことがいいでしょう。

ダウンロード版は以下です。是非、多くの邦人の方に伝えて下さい。わかりにくい点やご不明な点は、リーフレット末尾に記載の在タイ日本国大使館に御相談下さい。

(ダウンロード用PDF)
20190222_zaigaitouhyoul

(在タイ日本国大使館<バンコク>地図)

(PJAニュース特集 選挙に行こう!2019)

在外投票率が実質で2%未満になってしまっている現在、これでは国民の意思を反映した政治が実現する事も出来なくなってしまっており、日本の民主主義の土台が揺らいでしまっています。

これには日本の国民自身が、選挙に行き投票によって、国民の一人一人の意思を示す事が必要となっています。

「悪い政治家をワシントンへ送るのは、投票しない善良な市民達だ。」

(ウィリアム・サイモン(*) 米国のニクソン大統領の折の米国財務長官、1927年11月27日 – 2000年6月3日)

上記のウィリアム・サイモンの言葉の通り、民主主義の国家において、国民が選挙で投票をする事は、民主主義を機能させるために非常に重要な事です。

PJAニュースでは特集「選挙に行こう!2019」として、この投票の必要性を考える記事を連載で書いて配信していきます。次回は、在タイ日本国大使館に取材した結果などを元に、在外投票を呼び掛ける日本国大使館の記事を配信の予定です。在タイ日本国大使館も投票を呼び掛け、さまざまな尽力をしています。

是非とも海外に在住の邦人の皆さまも、皆様の意思を日本の国政に反映するために、それぞれの一票を選挙で投票してください。そのために、在外選挙人名簿登録をしていない皆様は、是非日本国大使館や領事館で、在外選挙人名簿への登録をしてください。

(*)ウィリアム・サイモン(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%A2%E3%83%B3

※本PJAニュースの取材に、各方面の皆様に御協力いただいております。皆様に、深く御礼申し上げます。

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