タイ高速鉄道、中国政府との協議が”脱線”!先行き不透明に
昨日のPJAニュースで報じた、タイ政府が中国政府と計画しているタイ高速鉄道について続報です。
PJAニュース過去記事)タイ高速鉄道、第一区間3.5キロの工事進捗率は4割!https://pattayaja.com/2019/03/04/%E3%82%BF%E3%82%A4%E9%AB%98%E9%80%9F%E9%89%84%E9%81%93%E3%80%81%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%8C%BA%E9%96%93%E3%81%AE3-5%E3%82%AD%E3%83%AD%E3%81%AE%E5%B7%A5%E4%BA%8B%E9%80%B2%E6%8D%97%E7%8E%87%E3%81%AF4/
タイ政府は中国政府と計画しているバンコク~ナコーンラチャシマを結ぶ総延長約253kmの高速鉄道の建設について、既報の通り交渉は大詰め段階を迎えたとして、2月27日から3月1日まで北京で中国政府とタイ政府による協議を実施し契約締結を目指していました。
しかしながら昨日の2019年3月4日(月)、タイのアーコム運輸大臣は、北京での交渉は難航して合意や契約には至らなかったことを語りました。
タイの大手英字メディアBangkokPostが今朝以下のように伝えています。
BangkokPost)Train talks derailed by contract fees (2019年3月5日)
BangkokPost)中国政府との鉄道協議、資金面の問題で”脱線”
https://www.bangkokpost.com/news/transport/1639114/train-talks-derailed-by-contract-fees
報道によると、タイのアーコム運輸大臣は昨日の3月4日月曜、北京で2月27日~3月1日に行われていた中国政府とタイ政府の協議では合意には至らなかったことを語りました。
北京でのタイ中政府協議では、バンコク~ナコンラチャシマの総延長約252.5kmを建設するための14の個別契約について協議が実施されましたが、中国政府側と合意には至らなかったため、来月以降の契約を目指すとしています。
交渉において、タイ政府が支払う建設費は元々の70憶バーツから450憶バーツへと大幅に上方修正されていますが、中国政府側は450憶バーツよりも多くの建設費を要求しており、折り合いがつきませんでした。
また建設後の保証期間についても、タイ政府側は国際標準である2年間の保証を要求していますが、中国政府側はわずか1年とし、この保証期間を延ばすなら追加の費用がかかるとしています。アーコム運輸大臣によれば、タイ政府側は中国政府側に「本当に中国の高速鉄道が高品質ならば、どうして保証期間を伸ばす事が問題になるのですか?」と質したといいます。
加えて、中国から購入する車両の種類なども未決定であり、決定する必要があると語っています。
建設予算については、タイ政府は中国政府から382憶バーツの融資を受ける計画があり、仮に中国政府が450憶バーツに合意するなら、この融資で建設予算の約85%を賄う事ができる、この融資は金利は3%以下の低金利になる可能性があるとしています。
加えてアーコム運輸大臣は、今月閣議で770憶バーツの予算が決定される可能性があり、高速鉄道サービスは2027年に開業される可能性がある事を語りました。
一方、タイの高速鉄道ではドンムアン空港からスワンナプーム空港、ウタパオ空港を結ぶ、いわゆる「EEC路線」が実現性が高いとして注目が集まっています。これについてはCPグループが率いるコンソーシアムとタイ国営鉄道(SRT)との交渉が行われていますが、まだ最終的な決定には至っていません。
報道されている概要は上記の通りです。
タイ政府が中国政府と進める高速鉄道計画とは、以下の路線です。
PJAニュース過去記事)タイ高速鉄道で唯一実現性の高いEEC路線、政治と現実に隔たり (2018年11月1日)
https://pattayaja.com/2018/11/01/pja-news%E3%82%BF%E3%82%A4%E9%AB%98%E9%80%9F%E9%89%84%E9%81%93%E3%80%81%E6%94%BF%E6%B2%BB%E3%81%A8%E7%8F%BE%E5%AE%9F%E3%81%AB%E3%82%BA%E3%83%AC/
中国との交渉では、路線はタイの地方都市ノンカイへの路線であり、巨額の赤字が見込まれた。
このためタイ政府は、中国政府に6割の負担を求める共同出資で特別目的会社(SPV)をタイに設立し、共同開発をする提案をして中国側の負担を求めたが(2016年)、中国側はこの共同出資の提案を断った。
その後はタイ政府は低利での融資なども含めて中国政府に提案したが、中国側は低利融資も断り、交渉は長らく紆余曲折を経て難航した。2017年7月、タイのプラユット政権はやむなく上記の一部区間であるバンコク~ナコンラチャシマの総延長約253キロ、全6駅、総投資額見込み1,794憶バーツを、タイ政府の投資で建設する計画を閣議で承認。中国技術による高速鉄道を、タイの投資で建設する計画となった。
タイと中国の交渉は同年、わずか3.5キロの一部を先に建設することでようやく合意に至り、2017年末に起工式も開かれたものの、その後の進捗は非常に遅く、今後の見通しは不透明だ。
本路線の第一区間のわずか3.5キロについては昨日のPJAニュースの通り、今だに建設進捗率がわずか4割程度の模様です。
そしてバンコク~ナコンラチャシマ路線は、中国政府との交渉が大詰めと報じられて契約が締結するかと注目されていましたが、今回は合意には至らず「脱線」しました。
今朝のBangkokPostの記事を見ると、このタイ中の鉄道建設協議が「脱線(derailed)」したという英文の表現が面白いので、日本語も原文に近い訳にしました。
タイの高速鉄道のうち実現性が比較的高そうなのは、現状は3空港を結ぶ、いわゆる「EEC路線」でしょうか。
PJA(パタヤ日本人会)のあるチョンブリ県も通る路線ですので、この路線への期待も高くなりますね。
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