日本の高齢者向けサービス住宅をモデルに、タイ政府検討
今年の1月末から2月初旬に、タイ政府はソムキット副首相をはじめとした高官が日本の関西を訪れていました。
以下の過去記事の通り、2019年1月31日(木)には帝国ホテル大阪でソムキット副首相はじめ、タイ投資セミナーでの講演もされていました。
写真:PJAニュース)
この翌日の2019年2月1日、ソムキット副首相をはじめとするタイ政府高官は京都の嵐山にあるサービス付き高齢者向け住宅の「グランメゾン迎賓館 京都嵐山」を視察に訪れ、日本の高齢者向け住宅に興味を持たれていました。
このような視察を契機に、タイ政府は高齢化社会を迎えつつあるタイで、日本をモデルにした高齢者向け住宅を実現する検討をしています。
タイ大手英字メディアのBangkok Postが今朝、次のように報じています。
Bangkok Post)Japan’s elderly housing a guide (2019年4月13日)
Bangkok Post)日本の高齢者住宅をモデルに
https://property.bangkokpost.com/news/1661076/japans-elderly-housing-a-guide
報道によると、タイ政府はタイ社会が高齢化する中で、日本の高齢者住宅をモデルにした検討を進めています。
タイのソムキット副首相は2019年2月1日(タイメディアでは”最近”と書かれていますが、訪問日は2月1日ですので、詳細な表記に差し替えました。)に、日本の京都府の嵐山にあるサービス付き高齢者向け住宅の「グランメゾン迎賓館 京都嵐山」を視察し、このような日本の高齢者住宅のモデルをタイの高齢者住宅でも実現できるように、タイ企業も開発のために研究するべきだという考えを語りました。
参考)グランメゾン迎賓館 京都嵐山(ウェブサイト)
https://grand-maison.jp/homelist/arashiyama/
<タイ用心の方々が当施設を視察に来られました>
https://grand-maison.jp/news/17524/
この「グランメゾン迎賓館 京都嵐山」は、高齢化が進む日本では、多くの高齢者が「老人ホーム」には入りたくないと感じている調査結果を受けて、高齢者が快適な環境、サービスを研究して作られたサービス付き高齢者向け住宅です。
ここでは、高齢者はホテルに滞在しているかのような施設、サービスを受ける事ができ、25平米強の客室に、1人でも夫婦でも滞在して、美味しい食事などもとる事ができます。各客室には緊急ボタン、インターホン、バスルーム、小さなキッチンが備え付けられています。
また、介護が必要な高齢者のために、バスルームには介護のための装置・機械が備え付けられています。
入居者女性のナマタニ・アカニさん(88歳)は、この施設に4年入居しています。
彼女は、この施設はサービスも良いし、息子や親戚なども気軽に訪問もできるし、この施設に一緒に泊まる事だってできるので、ここでの生活は幸せで快適だと語っています。
彼女は4年前に夫をなくされて、ここに引っ越しをしました。年金と保険を使って、月額30~40万バーツ(*)で、ここで生活しています。
(*)<Bangkok Postの記事では”300,000-400,000 baht a month”と、月額30~40万バーツと書かれて報道されていますが、同施設の料金体系を見ると、実際は30~40万円ではないかと考えられます。>
ソムキット副首相は、タイが高齢化社会となっている事を受けて、高齢者向け住宅などを実現するために関係する政府機関は民間と協力していく事が必要だと語っています。
タイでは2007年に、人口の10%以上がおおむね65歳以上の高齢者である高齢化社会になっています。この65歳以上の高齢者の割合は2015年に14.2%にまで上昇しており、高齢化は今後も急速に進んでいくと考えられています。
ソムキット副首相は高齢化社会について、タイでは特に低所得者の高齢者が住居が不足している事が、懸念される事を語りました。
「高所得者の高齢者に向けては、既に民間企業が裕福な高齢者や外国人向けの住居を作っているため、大きな心配はしていません。」(ソムキット副首相)
一方でタイ財務相は、財務省が管轄する貧困者向けの社会福祉カードに登録している約1140万人のうち、約900万人が高齢者である事を語っています。
報道されている概要は上記の通りです。
タイに住む外国人の目線で見ると、タイの社会は富の再配分が少なく、貧富の差が大きくなりやすいことから、老後の生活でも格差が大きくなりやすいという面も感じます。
タイのソムキット副首相が、より高齢化した社会を先に迎えている日本のビジネスを参考に関係機関に検討をするよう指示した事が伝えられていますので、この検討がどのように実現していくのか、注目が集まりそうです。
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