タイメディア「ブルーカラーに救済措置が急務!」
今日のタイのメーデーの祝日の2019年5月1日の朝、タイの大手英字メディアのBangkok Postがコラム記事で、タイのブルーカラーに救済措置を求めるコラムを掲載しました。
Bangkok Post)Relief urged for blue-collar workforce (2019年5月1日)
Bangkok Post)ブルーカラーへの救済措置が急務
https://www.bangkokpost.com/news/general/1669836/relief-urged-for-blue-collar-workforce
上記記事ではタイ労働調停委員会(Thai Labor Reconciliation Committee:TLRC)による調査結果を引用し、タイのブルーカラーの労働者の約95%の大部分は多額の債務を抱えている点を指摘した上で、ブルーカラーの賃金の引上げと、生活に必要な費用を削減する救済措置が必要と説いています。
同TLRCの議長によると、ブルーカラーの労働者が債務を問題として認識している率で見ると約98%に上っているとしており、ブルーカラーの労働者も以前は時間外労働の残業代などで稼ぐ事ができたものの、現在は機械化や自動化、そして経済停滞により賃金が切り詰められている為、難しくなっている事を語っています。
そして、最低賃金の引上げが追い付かないスピードで、生活に必要なコストは増大を続けています。
TLRCの議長はコメントで「雇用企業の40%以上は賃金を上げる意思がなく、政府は業績に基づいて最低賃金を引き上げる事を制度化するなど、対策が求められる」と語っています。また、「現行政府は、賃金調整制度を変更する以外のことは、全て万能法である暫定憲法44条を使用しており、労働者問題を根本的に解決することを真剣に考えていない」と語っています。
報道されている概要は、上記の通りです。
元々貧富の格差が大きいタイでは教育においての格差も大きく、ブルーカラーの労働者などだと、債務を抱え込みやすい傾向が強くあります。
そこに現在は残業代の削減などもあり、なのに都市部の土地価格などは急速に上がっているため生活費は上昇を続けています。
Bangkok Postの今朝の上記記事は、その窮状を伝え、社会全体が良くなるように提言を行う趣旨の記事で、興味深い記事です。
筆者としては、タイだけではなく、日本も含めて世界的に格差が拡大する傾向にあるのですが、これにより貧富の差が固定化してしまうと、労働へのモチベーションが低下してしまう悪影響が懸念されると思います。
歴史上も、多数の中間層が成長した時代に繁栄をする傾向が強くあります。戦後の日本などは、まさにそうでした。
これは、多数の中間層が「仕事を頑張れば、もっと良い生活ができる」とモチベーションを高められる事で、労働のモチベーションが全体的に高まり、その結果として国の生産力が向上し、繁栄するものです。
ところが貧富の差が固定化し、貧困層は頑張っても借金から逃れる事もできないとなると、希望がなくなり労働意欲は減退してしまいます。
加えて、豊かになった層も、格差が固定化し、自分たちは努力しなくても、嫌な仕事をしなくても豊かな生活ができるようになると思うと、こちらも労働のモチベーションが落ちてしまい、結果として格差の拡大と固定化は、国力そのものの低下をもたらす事が多いのです。
それを防ぐために、国としては単に「救済」だけを考えて、生活保護を増やすとか、貧困層だけの福祉の提供を増やすとかの一時的な救済策を講じるだけではなく、富の再配分を進めて貧富の格差の固定化を防ぎ、かつ労働者全体のモチベーションを高めるような内容となるように、国の政策を立案する事が大切だと思います。
ちなみに経済学の分野でも、古典的な経済学では労働者のモチベーションを指標化はしていませんが、このモチベーションの高さを図る新指標を作り、それを上げる為の施策として考えれば、より有効な施策が出来るのではないかと思います。
そんな考えを思わされる、今朝のBangkok Postのコラム記事でした。
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