2019年9月13日 PJA NEWS)

タイ)PACC、レイモンランド開発のUnixxでの贈収賄疑惑を捜査

追記)PACCのコメントを追記しました。

以下の、タイの不動産デベロッパーで、日本の大手デベロッパーである東京建物と共同事業を行っているレイモンランド社が開発したパタヤ南部のコンドミニアム”Unixx”で、違法短期賃貸が摘発されたニュースに続報です。

PJA NEWS)パタヤ 大型コンドUnixxで違法短期賃貸の大規模摘発 (2019年2月9日)
https://pattayaja.com/2019/02/09/2609/

パタヤ南部のサウスパタヤのプラトゥムナックにある高層タワー・コンドミニアムのUnixx South Pattayaは、タイの不動産デベロッパーであるRaimon Land Public Company Limited(タイ証券取引所上場)により開発されたコンドミニアムで、PJAの事務所も入口にあるコンドミニアムです。

このコンドミニアムでは、開発したRaimonland社が入口ロビーにSalesOfficeを開設し、これを2016年に同社経営陣が日系不動産会社に最優先利用権を約していましたが、同社は2018年にこの履行をせず問題となっていました。その後は同SalesOfficeにタイ法人のEzi Trip Stay Co.,Ltd.社が以下の看板を掲げ、コンドミニアムでの違法な短期賃貸を実施していました。

(Ezi Trip Stay Co.,Ltd.の看板、2018年9月撮影)

コンドミニアムの住民たちは、違法な短期賃貸を止めるように求めてきましたが、このレイモンランド社などによるオフィスは違法賃貸を続けており、今年の2月6日に摘発され、逮捕されました。

ここまでが、前回記事の概要です。前回記事では住民のイスラエル人の方が録音した録音記録なども、多くの注目を集めました。

この事件の後、このEzi Trip Stay社は経営するタイ人の男が、自分の事をレイモンランド社の社員だと偽り、名前も偽名で偽って「Ezi Trip Stay社が逮捕された事実をメディアに言うな、名誉棄損で訴えてやる」と周囲を脅す脅迫事件が発生しました。この脅迫事件では、レイモンランド社は大手企業であり、タイ警察を自由に動かせるという趣旨で脅迫されており、この被害者はタイ警察に被害を届け、脅迫事件が発生するに至りました。

その後、同社らは違法賃貸をまた再開し、むしろさらに大規模に実施しはじめました。
以下は住民たちにより撮影され提供された写真で、違法短期賃貸の観光客でコンドミニアムが溢れているのがわかります。

(Unixxのエレベーターホールの様子
違法短期賃貸利用客で込み合ってしまっている)

同社は逮捕摘発された後、問題のレイモンランド社セールスオフィス跡地の前で、堂々と以下のように営業をしています。

(摘発直後のEzi Trip Stay社の前で
利用客へタクシー手配をする同社従業員の男)

このような状況から、Unixxは周囲では中国人やインド人の観光客だらけのコンドミニアムだと言われるようにまでなっています。住民たちは、観光客が騒ぐ中で静かな生活もできず、子供たちは怖い思いをしたり、エレベーターが異常に込み合って不便になったり、共用設備が酷く汚されたりしており、さらにその管理費用も住民が管理費として支払わなければいけないのです。

当然ながら、このような違法短期賃貸に反対するUnixxの住民たちは、多数の苦情の手紙を、Unixxを管理するレイモンランド社が設置した管理会社や地元のバンラムン区でホテルライセンスを管理する部門へ提出し、住民運動になってきています。

反対する住民の方々は次のように語っています。

「管理事務所にいくら言っても、違法短期賃貸を取り締まる事もしていない。レイモンランド社が開設したイージートリップ社が行っているからだ。」

「管理事務所に言いにいって、セキュリティーの問題があるだろうと言ったら、管理事務所の人間がパソコンを開いて、違法短期賃貸のどの利用客が、どの部屋にいつ入ったかも知っているから、セキュリティーを保っていると言って、一覧表の画面を見せてきた。実際には違法短期賃貸をやっているのをわかりながら、管理事務所は取り締まりもせず、違法行為をやらせているんだ。」

「管理会社のセキュリティーの人間が、携帯の画面を見せてくれた。深夜や早朝にイージートリップ社の違法短期賃貸の利者者がいる場合、携帯に誰が違法短期賃貸のチェックイン、チェックアウトをするかの指示が送られていて、それを受けて管理会社のセキュリティーが、違法短期賃貸のチェックインやアウトを手伝っているんだ。」

つまり、このレイモンランド社の物件を買ってしまった住民たちは、管理費用をレイモンランド社系の管理会社に支払うと、その費用で違法短期賃貸がされて、さらに被害を拡大させているという状況になってしまっているというのです。

このイージートリップ社は今でもブッキングドットコムで以下のように堂々と集客をしています。

イージートリップ社の利用しているUnixxのブッキングドットコムのアカウント予約画面
https://www.booking.com/hotel/th/unixx-south-pattaya-by-ez-stay.ja.html

筆者も状況を受けてホテルライセンス管理部門に、他の住民の方々と苦情書類を出しておきました。この部門はバンラムン警察署の隣にある合同庁舎の中の部門で、ホテルライセンスの違法行為の取り締まりを実施しています。

すると先週末に、同部門から筆者に報告書が送られてきました。

その書類の内容の概要は

違法な短期賃貸は発見できなかったので、取り締まりができない。

役所としては、住民同士で年に1度ぐらい話し合いをする事を勧めます。」

という内容でした。
然ながら、以下で予約できる違法短期賃貸が、見つけられないわけもありません。

イージートリップ社の利用しているUnixxのブッキングドットコムのアカウント予約画面
https://www.booking.com/hotel/th/unixx-south-pattaya-by-ez-stay.ja.html

しかも、捜査機関が住民の多くから苦情が出ている内容について、捜査もまともにしないとする書面を出してくるとは、職務怠慢も酷いものです。

パタヤと言えばタイのチョンブリ県の田舎ですから、住民たちから見れば、役所がレイモンランド社ら側から賄賂をもらって隠蔽しようと田舎の役所がしてきたものとしか思えないものです。
これにより、このレイモンランド社の物件を買ってしまったオーナーたちは、今度は管理費用が贈賄罪にあたる賄賂に使われてしまったのではないかという状況になってしまっているのです。

しかし、パタヤのあるチョンブリ県はEECエリアの中心的な県でもあり、日本からも含めて海外からの投資も多い場所です。
こんな風に公務員が露骨に賄賂で無茶苦茶な事をし、外国人の権利が賄賂で守られないのであれば、投資なんてあまりにもリスクが高い行為となってしまいます。

そのため、このようなタイの公務員への贈収賄など、汚職や腐敗の問題は深刻な被害をタイの国に与えるようになっているのです。

PACC(タイ公的汚職防止機関)
(画像:PACC)

そこで本件は、レイモンランド社ら側による贈収賄疑惑事件として、タイのプラユット首相直轄のタイ公的汚職防止機関(PACC)へ筆者から御連絡し、取り締まりの要請を実施しました。

PACCとは、2015年にタイのプラユット首相により設立された直轄組織で、汚職防止をミッションとしています。

タイ政府はプラユット首相が2015年7月10日、タイの汚職防止法の改正法を施行し、タイで蔓延する汚職、腐敗の問題の解決に取り組んでいます。その改正法施行の折に、プラユット首相がトップとして直轄するPACCがNACCと共に設立され、タイの汚職問題の解決のために尽力しています。

以下は別媒体のプレジデント・オンラインでの筆者の過去記事ですが、以下の過去記事の通りPJA(パタヤ日本人会)ではこれまでも、他のPACCの汚職容疑事件の取り締まりで御協力をしています。

President Online)日本人がカモに「タイの投資詐欺」全手口
https://president.jp/articles/-/27707

PACCの対応は非常に迅速で、既に本件への捜査に着手してくれています。

また、PACCはコメントで「PACCでは、汚職問題の摘発に尽力していますので、日本の企業、個人の皆様も、問題があればPACCに是非御相談下さい。」とコメントしています。

タイに日本の企業や個人が投資するにあたって汚職や腐敗が蔓延していると、投資をしても外国の法人、個人の権利が守られなくなり、投資はリスキーなものとなり投資する会社や個人は減少してしまいます。

タイ政府も汚職問題の解決のために尽力してくれていますので、タイに住む外国人としても、このような動きを応援していきたいと思います。

尚、今回のPACCへの取り締まり要請はPJAとは関係なく、筆者の個人名で実施しましたが、PACCも含めてタイの各当局への要請等は、PJAでも会員向けに支援を実施していますので、会員の企業や個人の方は言葉の問題もなく御相談しやすくなっています。

レイモンランド社の共同事業先である、日本の東京建物の回答

PACCの捜査も始まったレイモンランド社やその関係会社などですが、以下の過去記事の通り同社は日本の上場企業であるデベロッパーの東京建物と、バンコクで「Tait12」「THE ESTELLE」という2物件を共同開発し、これを一般の人向けに販売しています。同社は他にも日本の三菱地所と、一般の人向けに販売しているわけではありませんが、共同事業を発表しています。

バンコク:東京建物の報道対応が波紋
https://pattayaja.com/2019/04/02/3745/

以下は過去記事で掲載した、バンコクの日本人街、トンローで撮影された東京建物の名前が入った、レイモンランド社の物件の看板です。

このように、一般の人が「東京建物」の名前で、それなら安心だろうと思って買うような宣伝が実施され、一般の人が購入しているのです。

この2物件は勿論、今も東京建物の名前を使って販売が続けられています。

(バンコクの日本人街 トンローにて
東京建物社とレイモンランド社の看板
写真:PJAニュース<バンコク>)

看板を見ても以下の通り、このレイモンランド社の名前と、東京建物社の名前が掲載されています。

(バンコクの日本人街 トンローにて
東京建物社とレイモンランド社の看板
写真:PJAニュース<バンコク>)

しかしながら、パタヤのUnixxでこのような問題を引き起こしているレイモンランド社の物件を、一般の人が東京建物の名前を信用して購入して、本当に大丈夫なのでしょうか?

筆者は日本の東京建物社に、本記事の脅迫事件が発生した後の時点で以下の趣旨で4月に質問をし、今年の5月に回答をいただいています。その折の東京建物の回答をご紹介します。

1.(レイモンランド社物件で、違法短期賃貸の摘発や脅迫事件が発生している事について)ご感想とコメントをお願いいたします。

東京建物社回答:
弊社は本件に関与しておりませんので、コメントする立場にございません。

2.現在、貴社はレイモンランド社とバンコクで共同事業としてコンドミニアム開発をされており、上場企業が株主から集めた公的性の高い資金をレイモンランド社に投資し、御社の名前を大々的に使って一般の方向けに販売をされるとして進めておられますが、このようなレイモンランド社の違法行為を含む問題を防ぐために、どのような対策を取られているのでしょうか?

東京建物社回答:
弊社は全ての事業において関係法令や社内基準に則り適正に事業を推進しており、
本件についても同様です。何卒ご理解ください。

この回答を東京建物が5月に行った後に、被害はさらに拡大し、本記事でお伝えしている贈収賄疑惑事件までが起きているのです。
このような東京建物の回答を受けて、東京建物の物件だからと信用してしまった人が、安心できるのでしょうか。

尚、タイでは贈収賄などの汚職の問題はありますが、現在タイのプラユット政権は、この問題を解決するために尽力しています。筆者としては、その事実はここに明記しておきたいと思います。

本件は引き続き、今後の動きや展開を続報の予定です。

参考過去記事)

タイ)汚職問題の撲滅にプラユット首相が取り組み、国際イベントを開催
https://pattayaja.com/2019/09/09/6262/

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