2020年2月22日 PJA NEWS)

続報:米国政府とEU、タイ新未来党への解党命令に懸念の声明

昨日の2020年2月21日の午後、タイの憲法裁判所が、タイの第三党で若年層から特に支持のある新未来党の憲法違反を認定し、解党命令を出した以下のニュースに続報です。

PJA NEWS)タイ憲法裁、新未来党に解党命令!幹部16人は政党活動10年禁止 (2020年2月21日)
https://pattayaja.com/2020/02/21/8761/

昨日の上記記事で予想した通り、米国政府とEUが解党命令に対する懸念を本日の2020年2月22日、声明で発表しました。

以下が、在タイ米国大使館からの米国政府の声明です。

在タイ米国大使館:声明 (2020年2月22日朝発表)
https://th.usembassy.gov/statement-on-the-dissolution-of-the-future-forward-party-in-thailand/

米国政府は、タイの憲法裁判所が2020年2月21日に新未来党の解散を命じた判決に懸念を表明します。

米国政府は、世界中の民主的な制度の実現を強く支持しており、タイでも民主的に選出されたタイの現在の議席を高く評価しています。米国政府は、タイの特定の政党を支持や支援をするわけではありませんが、2019年3月24日のタイの選挙では、新未来党に600万人以上の有権者が投票をしています。この新未来党を解散する決定は、それらの投票した600万人以上の有権者の正当な権利が奪われかねないものであり、タイの選挙制度の中で、この600万人以上の人の声を誰が代表するのかの疑問をわかさせるものです。

また、EUは昨日の2020年2月21日のうちに、新未来党の解党命令について、政治における多様性の欠如を懸念する声明を発表しました。

以下が、その声明です。

EU)Thailand: Statement by the Spokesperson on the dissolution of the Future Forward Party
タイ)新未来党の解党命令についての報道官声明 (2020年2月21日)
https://eeas.europa.eu/headquarters/headquarters-homepage_en/74992/Thailand:%20Statement%20by%20the%20Spokesperson%20on%20the%20dissolution%20of%20the%20Future%20Forward%20Party

タイの主要野党の1つである新未来党への本日の解党命令は、タイの政治的多様性が後退した事を意味しています。新未来党は、2019年3月の総選挙で600万以上もの票を獲得しています。

政党の解散、または国会議員の活動禁止は、昨年にタイで始まった多様性を回復するプロセスに反しています。タイの政治空間は、すべての国民に開かれたままでなければなりません。

民主国家における政府は、合法的に選出された全ての議会議員が、選出された政党に関係なく、議会の任務を遂行し続けることができることを保証することが重要です。

EU(欧州連合)は、2019年10月14日に EU外交問題評議会で強調した通り、基本的人権や自由、民主的多様性などの問題を含めて、タイとの関与を拡大する用意があります。

また、アムネスティ・インターナショナルは昨日の2020年2月21日、地域局長のニコラス・ベケリンの声明を発表しました。

Amnesty)Thailand: Authorities must reverse dissolution of opposition Future Forward Party
Amnesty)タイ政府は新未来党への解党命令を取り消さなければならない

https://www.amnesty.org/en/latest/news/2020/02/thailand-authorities-must-reverse-dissolution-of-opposition-future-forward-party/

同声明で、タイ政府は新未来党の解党命令を覆し、タイ国内の表現の自由、結社の自由について真の国民の権利を回復しなければならないと強調しています。

このように、米国政府やEU、アムネスティなどは即座に声明を出し、懸念の表明などがされています。

昨日の発表を受けてから、西側各国とも相当に反応が起きていましたから、やはり政府としての声明の発出などとなっています。

日本人としては、本当に民主主義を大切にする国や組織は、タイの昨日のニュースを受けて、タイの民主主義を守り、タイの人々の権利を救済するために、ここまで迅速に対応できるものだという事も含めて、その姿勢が勉強になります。

批判する資格のある者は、救済の志を持つ者だ。(*)

エイブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)<米国代16代大統領>

救済の志を持たないなら、批判する資格がない。

私たちは、批判する資格があると言えるほど、救済の志を持てているでしょうか。

(*)原文は”He has a right to criticize, who has a heart to help”

エイブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%A

アメリカ合衆国の代16代大統領となった政治家、弁護士。アメリカ合衆国初の共和党所属の大統領です。

1863年11月9日、ゲティスバーグ国立戦没者墓地の開会式において行われた演説では、戦没者を追悼して「人民の人民による人民のための政治を、地上から決して絶滅させないために、われわれがここで固く決意する」という、アメリカの民主主義の基礎となる演説をした事で有名です。

リンカーンはアメリカ合衆国南部の奴隷制に反対していました。そのためリンカーンの大統領当選はアメリカ南部諸州の反発を招き、アメリカ合衆国を二分する南北戦争に結びついてしまいましたが、リンカーンは北部連邦をまとめあげ、南北戦争を北軍の勝利へと導きました。しかしアメリカ南部連合の総司令官ロバート・エドワード・リー将軍が降伏してわずか6日後の1865年4月15日、首都のワシントンのフォード劇場で観劇中に、南部連合支持者のジョン・ウィルクス・ブースの凶弾に倒れました。この暗殺により、リンカーンはアメリカ史上で初の暗殺された大統領となりました。

リンカーンは南部の奴隷制に反対した一方で、アメリカ原住民のインディアンに対しては強い迫害の姿勢を見せていました。民族浄化と言われるロング・ウォーク・オブ・ナバホや、ダコタ戦争を始めとする多くのインディアン戦争という民族浄化は、リンカーン政権下において行われたものでした。

南北戦争の時代は、アメリカでもインディアンに対しては酷い対応であったという一面も表しています。

Wikipedia)ロバート・エドワード・リー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BBE%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%BC

Wikipedia)ジョン・ウィルクス・ブース
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%BC%E3%82%B9

Wikipedia)ロング・ウォーク・オブ・ナバホ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%8A%E3%83%90%E3%83%9B

Wikipedia)ダコタ戦争
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%B3%E3%82%BF%E6%88%A

 

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