2020年2月27日 PJA NEWS)
タイ)独占取材!米軍の慈善活動に自衛隊が参加、米軍から称賛の声
以下記事の通り、タイでは今週の2020年2月25日から軍事演習「コブラゴールド」が開催されています。
タイ)軍事演習「コブラゴールド」開催!パタヤにも米海軍が(動画付き)
https://pattayaja.com/2020/02/26/8810/
この軍事演習には米軍を中心として、タイ軍や日本の自衛隊、インドネシア軍、マレーシア軍、シンガポール軍、韓国軍、中国軍、インド軍などが参加するアジア最大級の合同軍事演習で、参加する各国の精鋭部隊がタイに結集しています。
この開会式が開かれる前日の2020年2月24日、記念すべきイベントがタイのパタヤの児童保護施設で、米軍と自衛隊とで協力して行われました。これは、以下の過去記事で事前に御案内していたイベントです。
過去記事)
PJA NEWS)パタヤ)米軍、米海軍協会、PJA等が児童保護施設でチャリティー、自衛隊も参加! (2020年2月18日)
https://pattayaja.com/2020/02/18/8739/
米軍が児童保護施設の子供たちに向けて行うチャリティー活動に、日本の自衛隊も参加。日米で協力して児童保護施設の子供たちを支援する取り組みが実施されたのです。これについて米軍からは、日本の自衛隊の参加を称賛する声が上がっています。
この現地の動きを、米軍の広報官の方以外では筆者のみが主催の米国海軍協会サイアムから取材許可をもらって独占取材という形で取材しました。その現場の模様をお伝えします。
パタヤの児童保護施設への慈善活動が行われた背景
タイのパタヤはタイ東部にあるビーチリゾートで、もともとはベトナム戦争が激しかった頃に米軍が保養地とした事で開発が進んだ歴史のある町です。
このためベトナム戦争が激しかった1960年代頃には、米兵との子供が孤児となって、孤児が多くいる街となっていました。
それから約60年が経過した今は、米兵との孤児らしき子供などパタヤで見る事はほとんどありませんが、米軍や米国政府は今でもパタヤの孤児を保護し教育などを提供するため、児童保護施設への寄付やチャリティー活動などを定期的に実施しています。
現在のパタヤの児童保護施設には、当時とは違った理由で孤児となった子供たちが多くいます。
これは子供たちの現状を見にいくとわかる事ですが、日本人を含めた外国人男性が、夜の街で子供を作って、母親と子供を捨てさり、子供が育てられずに孤児となってしまって、ハーフの子供らしき孤児たちがかなりの数いるのです。
また、貧しい国からタイに出稼ぎに来た労働者の子供が貧しさから孤児となる、障害のある子どもが捨てられて孤児となるといったケースなども多く見られます。
このような現実がある事から、PJA(パタヤ日本人会)では、日本政府や、米国政府や米軍、日本のNPO法人、タイ政府など、多くの方々と協力して、児童保護施設の子供たちへの寄贈やチャリティー活動を実施しています。
ファーザーレイ財団の児童保護施設で
PJAからのクリスマスプレゼントを開ける様子
写真:PJA NEWS
昨年の2019年からは、日本のNPO法人SB Heart Stationと協力して、日本の子供たちから、もう成長して使えなくなったお下がりの靴やスポーツ用品などをパタヤの児童保護施設の子供たちにプレゼントする取り組みもしています。
<日本の子供たちからの、お下がりの靴のプレゼントの様子>
PJA NEWS)パタヤ)PJAが孤児院へ寄付 NPO法人と共に日本から靴など多数贈呈 (2019年8月26日)
https://pattayaja.com/2019/08/26/6002/
そんな中、今月の2020年2月25日からアジア最大級の軍事演習「コブラゴールド」が開催される事になり、日本からも在日米軍が約4000名も参加され、タイに来られる事となりました。
これに際して米海軍協会側から、日本の自衛隊の方も来られるなら「日本の海上自衛隊の艦船にお伺いして、米海軍と同様にお食事のプレゼントでも」というお話をいただいていました。これは米海軍協会が主催し、米海軍の各艦船に例年実施されているもので、それを日本の自衛隊にもというお話です。
しかしながら筆者から日本大使館側に連絡してみると、日本の自衛隊のコブラゴールドには艦船の派遣はなく、実施できない事がわかりました。
そこで筆者としては、主催の米国海軍協会など米軍側と相談し、それなら筆者も寄付などを行っているパタヤの児童保護施設への、米軍により例年行われている慈善活動に、日本の自衛隊の方々もご招待して、日米で協力して児童への慈善活動をする事をしてはと提案しました。
これを受けて米軍側から日本側へ招待が実施され、日本の自衛隊も応じてくれて、パタヤの児童保護施設で米軍と自衛隊とが参加して日米共同での慈善活動が実現したものです。
日本の子供たちからのプレゼント、米軍と自衛隊と日米で協力して寄贈
2020年2月24日、パタヤの児童保護施設のファーザーレイ財団の児童保護施設で慈善活動が実施されました。
参加したのは、米国側は米海軍で最新式の実質空母で、日本の佐世保に配備されている強襲揚陸艦USS Americaの乗組員たちと、米国海軍協会サイアム、日本側は在タイ日本国大使館の富永駐在防衛官と防衛相統合幕僚監部からの自衛隊員4名、そしてPJAの筆者です。
このファーザーレイ財団の児童保護施設では約850名の、乳児から18歳以下までの子供たちが生活、学習しています。
日本の自衛隊からは、子供たちに素敵な自衛隊グッズのプレゼントが贈られました。
ファーザーレイ財団代表のPaul牧師はこれを受けて、日本の自衛隊の方からの初の寄贈に、とても喜んでくれていました。
ファーザーレイ財団の児童保護施設へ、自衛隊からのプレゼント
写真:PJA NEWS)
ファーザーレイ財団の児童保護施設へ、自衛隊からのプレゼント
写真:PJA NEWS)
そしてPJA(パタヤ日本人会)からは寄付金の贈呈が行われ、合わせて日本の埼玉県のNPO法人「SB Heart Station」から贈られた、日本の子供たちが使えなくなったお下がりの運動靴やスポーツ用品などが寄贈されました。
これを慈善活動に訪れた米海軍第七艦隊のUSS Americaの乗組員の皆さんも、この日本の民間からのプレゼントは凄い!と驚いてくれていました。そして米軍と自衛隊と、日米で協力して児童たちへの寄贈を実施しました。
ファーザーレイ財団へ米軍、自衛隊、PJAでの寄贈の様子)
写真:PJA NEWS)
ファーザーレイ財団へ米軍、自衛隊、PJAでの寄贈の様子)
写真:PJA NEWS)
日本では少子化が進み、子供たちは成長して靴などが使われなくなると、お下がりを渡す相手がいない事も多く、ほとんどが捨てられています。
しかし、パタヤの児童保護施設の子供たちは、日本の子供たちが履いているような高価な靴なんて買えるわけもなく、これをプレゼントする事は、とても喜んでもらえる事なんです。
児童保護施設では、プレゼントしてもらった山のような靴から、自分に合うサイズで好きなものを、自由に受け取っていく事ができて、子供たちは大喜びしてくれます。
そして米軍、自衛隊ともに、ファーザーレイ財団で子供たちの現状について勉強し、そして子供たちとのレクリエーション活動に参加しました。
児童保護施設の現状理解を米軍、自衛隊と共同で行っている様子
写真:PJA NEWS)
子供たちと米軍、自衛隊とのレクリエーション活動の様子
写真:PJA NEWS)
子供たちと米軍、自衛隊とのレクリエーション活動の様子
写真:PJA NEWS)
このようにして、アジア最大級の軍事演習「コブラゴールド」の機会を活用して、米国と日本、米軍と自衛隊とが現地の児童の為に協力し、日本の子供たちからのプレゼントも届けて、慈善活動が実現し実施されました。
米海軍は、同日にファーザーレイ財団の児童保護施設と、パタヤ孤児院(Pattaya Orphanage)で、子供たちの勉強などを教える慈善活動も実施。男女の米兵が、子供たちに勉強を優しく教えました。
慈善活動を行う米海軍第七艦隊の乗組員
写真:PJA NEWS)
慈善活動を行う米海軍第七艦隊の乗組員
写真:PJA NEWS)
今回の活動を実際に現地で参加し、自衛隊の方々は筆者の取材に、次のようにコメントしています。
在タイ日本大使館 富永駐在防衛官
写真:PJA NEWS)
「大変印象的な活動でした。
特にアメリカ軍の皆様はこのような地域での活動をしっかりされているのがわかり、われわれ自衛隊としても、同様に活動をしていかなければいけないと感じました。」
(日本)防衛省統合幕僚監部 田中二等海佐
写真:PJA NEWS)
「子供たちを守る事は、大人としての使命だと思います。
そのためのこのような活動にたずさわる事が出来て、本当に良かったです。
またこのような機会に、是非参加したいです。」
日本の自衛隊の参加に、米軍から称賛の声
今回、筆者が米海軍を取材した所、自衛隊が米軍の活動に参加した事を称賛する声が上がりました。
以下が実際のコメントです。
米海軍第七艦隊 USS America
ジャクソン大尉
写真:PJA NEWS)
(自衛隊の本日の慈善活動参加について)
「日本の自衛隊が参加してくれたことに、とても感謝しています。日本の自衛隊がこのような機会を通して、タイのこの地で実際に姿を現してくれる事は、タイとのパートナーシップだけでなく日本とのパートナーシップをも強固にするものであり、米海軍もとても重要視していることです。
勿論、これは一般の海軍兵員においても同様です。
日本の自衛隊が米軍と共に、このファーザーレイ財団の児童保護施設で、ともに現状を学んで、ともに協力して地域貢献の活動をする事は、非常に重要な意味があります。」
(日本の子供たちからの、お下がりの靴のプレゼントについて)
「日米の協力関係の中で、日本の子供たちや日本の皆様からの御支援をいただいている事に深く感謝いたします。
この靴のプレゼントは、とてもユニークなものです。私たち米海軍は艦船でタイを訪れていますが、子供たちに寄贈できる靴というのはありませんから、日本の皆様からの暖かい気持ちと行動に感激しています。
タイのこの場所で、日本の皆様と共に慈善活動が出来る事は本当に素晴らしい事です。」
また、日本の佐世保を母港とする米海軍第七艦隊の旗艦、USS Blue Ridgeの乗組員の方々も、同じタイミングでパタヤの「パタヤ孤児院(Pattaya Orphanage)」を訪れていました。
Blue Ridgeのブロック・テイラー広報担当官は筆者の取材に、次のように答えました。
Brock Taylor広報担当官)
(本日の地域慈善活動について)
「子供たちがものすごく元気なのが印象的でした、子供たちからエネルギーをもらって、一緒に遊んだり学んだりしています。ここでの活動はとても刺激的で、活動が出来て幸せです。」
(日本の自衛隊の本日の参加について)
「自衛隊が参加してくれた事は、本当に素晴らしい事です。
米軍と自衛隊は強固な信頼関係を構築しています。この信頼関係を、タイでの子供たちへの慈善活動にも広げて協力をしていく事は、日米の全てを良くしていく取り組みです。
このタイで、支援が必要な人に、自衛隊と一緒に支援をしていくという事をとても嬉しく思います。」
日本は民間でも、チャリティーなどを行う行動を
米国政府が出資して設立した児童保護施設のHuman Help NetworkのディレクターRadchada Chomjinda氏は、この寄贈について、筆者のインタビューで次のようにコメントしていました。
Human Help Network ディレクター
Radchada Chomjinda氏
写真:PJA NEWS)
「私が子供だった頃、私の家は貧しくて、安いTシャツなどはともかくとしても、良い靴なんて高くて買えなかったんです。その時は、近所にお金持ちの子供がいたから、その子が成長して使えなくなって捨てる靴があったら、お願いだから捨てずに、私にちょうだいといつもお願いをしていました。
でも、今回の日本の子供たちからいただいた寄贈の素晴らしい所に、そんなお願いを子供たちにさせる事もなく、日本の子供たちや皆さんが、自らお下がりの靴をプレゼントしてくれた事があると思います。
これなら、貧しい子供たちに「要らない靴を下さい」と人にお願いをさせる事もなく、子供たちは自分の好きなお下がりの靴をもらっていく事ができます。
だから、本当に嬉しいプレゼントで、日本の皆様に是非御礼を伝えたいです。本当にありがとうございます。」
彼女の言う通り、そもそも子供に「お下がりの靴でいいから欲しい」なんて、そんな事を言わせてはいけないと思うのです。
イタリア文学において最も偉大な詩人と評されるダンテ・アリギエーリの言葉に、こんな言葉があります。
「困っていると知りながら、
助けを求められるのを待っている人間は、
助けを断るのと同じくらい冷酷である。」ダンテ・アリギエーリ(*)
こんな言葉を思い出させられる一幕でした。
日本はこれまで、一般の人はあまりチャリティー活動をする文化がないと言われる事が多くありました。
しかし現実には、助けを求めている子供というのは多数いるのです。
そのような恵まれない子供たちに、日本では捨てるぐらいしかなかったお下がりの靴を、綺麗に洗って海外の子供たちにプレゼントするという取り組みは、日本の子供たちに金銭的な負担をかける事もなく出来る、有意義な取り組みの一つだと思います。
このような取り組みが、米軍や自衛隊のご助力ももらえて海外で行われる事で、少しでも日本という国のイメージも良くなってくれたらと思います。
日本人としても、より積極的に、このような取り組みを出来るようになっていきたいと思います。
最後に、日本の警視庁公安部のOBで、筆者の所属するPJA(パタヤ日本人会)の岩掽(イワハエ)会長は、この活動について次のようにコメントしています。
「PJA(パタヤ日本人会)では、皆がタイで暮らし、タイでお世話になっているわけですから、タイの社会に貢献する活動の一環として、パタヤの児童保護施設への寄付や寄贈を行っています。
今回、これが米軍の取り組みと合流し、日本の自衛隊の方々にも参加いただいて、日米の協力の元で非常に良い形になっている事を大変嬉しく思います。
今後もPJAはタイ王国の皆様のためにも微力ながらも尽力していきますので、更に皆様のお力をお借りできますよう宜しくお願い申し上げます。」
末尾に、本取組は、日本国内から子供たちへの靴などを寄贈いただいた多くの方々をはじめ、日本、タイ、米国の政府や軍など多くの方々にご助力を多くいただいて、パタヤの児童保護施設の子供たちのために実現できているものです。
この場をお借りして、御協力をいただいているすべての方に、厚く御礼を申し上げます。
PJA(パタヤ日本人会)
事務局長 福留 憲治
※PJA NEWSでは現在も、米軍などへ取材を続けています。
既に佐世保から来泰したUSS Green Bayなどの活動も取材していますので、続報を今後もPJA NEWSでも掲載の予定です。
※NPO法人「SB Heart Station」の靴の寄贈については、以下をご覧下さい。
https://sbheartstation.com/support/
※報道機関等の方々へ
本記事内容は児童保護施設の子供たちへの寄付を促進するための趣旨で、是非ご紹介の掲載をお願いします。
本記事内の写真や、他に撮影した動画や写真も多数あります。これについてはPJA NEWSへ御連絡いただければ、基本的に再掲載の許可を無償で御連絡しますので、一度PJA NEWSの以下御連絡先へ御連絡をお願いいたします。
PJA NEWS連絡先(電子メール)
pjanews@pattayaja.com
(*)ダンテ・アリギエーリ
イタリア・フィレンツェ出身の哲学者であり、同時にイタリアで最も偉大と評価される詩人<1265~1321年>。ルネッサンス文化の先駆け的存在。ダンテの代表作といえば、多くの人が歴史の授業で習うのは代表作の叙事詩「神曲(La Divina Commedia)」で、主人公のダンテが古代ローマの詩人ウェルギリウスと共に地獄(Inferno)、煉獄(Purgatorio)、天国(Paradiso)を旅するストーリーは有名です。
ダンテの有名な作品には、他にも詩文集「新生(La Vita Nuova)」があります。
この、ダンテの代表的な初の詩文集「新生」によると、ダンテは9歳の時の1274年5月1日、春の祭りのCalendimaggio(カレンディマッジョ)に行った際に、同じ年の少女Beatrice Portinari(ベアトリーチェ・ポルティナーリ)に出会って、魂を奪われるかのような恋をしました。繰り返しますが、わずか9歳の少年の頃の話です。それから9年後の18歳となったある日、ダンテはペアトリーチェと聖トリニタ橋のたもとで再会しました。しかし、ペアトリーチェは会釈したのみで、会話はありませんでした。それ以来、ダンテは熱病のようにベアトリーチェに恋焦がれ、これを人から隠すために別の女性への詩を送るなどしていたといいます。このような不審な行為から、ダンテは変人という風説が流れ、ペアトリーチェからは嫌われて会釈すらされないようになって、ダンテは深い失望の底に落ちたといいます。
その後、ダンテは許嫁のジェンマ・ドナーティと結婚、ペアトリーチェは銀行家と結婚して、数人の子供を持ちましたが、1290年に24歳で病死しました。
彼女の死を知ったダンテは狂乱しますが、その後は生涯をかけて詩の中にベアトリーチェを永遠の存在として賛美していく事を誓います。
そして生前のベアトリーチェの事をうたった詩をまとめて詩文集を出しました、それが「新生(La Vita Nuova)」です。その後、生涯をかけた代表作の「神曲(La Divina Commedia)」の三篇を執筆しましたが、その中でベアトリーチェを「天国で主人公のダンテを助ける永遠の淑女」として描きました。
このように、9歳の初恋を一生をかけて詩集に入れるほどの感受性を持つ人間だからこそ、イタリア最大の詩人となったのだと思います。このような感受性があるダンテだからこそ、普遍的な言葉を多数残しています。
その言葉の一つが、上記で取り上げた言葉です。一方で、一般人の感覚で言うと、ダンテと結婚した許嫁の奥さんのジェンマはなんだか可哀そうですから、当時の世論からすると印象は悪いでしょうね。ただ、その感受性を持って作られた作品が後世の現代には高く評価され、イタリア最大の詩人と評価されるに至っているわけです。
(Wikipedia)ダンテ・アリギエーリ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%AE%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AA
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