2020年7月4日 PJA NEWS)
続報:タイ)国立カセサート大の偽「臨時講師」発表、背景にはタイ人女性への不当行為か
以下の、2020年6月20日にタイの国立大学の名門カセサート大学のバンケン校人文学部東洋言語学科日本語学科が、公式のFacebookで、ある日本人がカセサート大学の「臨時講師」だと肩書きを語り、Twitterでも書き込んでいた問題について発表を行ったニュースに続報です。
タイ)国立カセサート大学、偽「臨時講師」の日本人に注意!日本で資金集めも (2020年6月28日)
https://pattayaja.com/2020/06/28/12517/
前回記事でも指摘した通り、タイの国立大学がこのような発表を行う事は稀です。
PJA NEWSでは、このような発表を行った背景を調べていくと、日本人としてなんとも恥ずかしい実態が明らかとなってきました。
この「驚くべき実態」。
舞台は日本人を主要顧客とするバンコクの繁華街にあるバー「W」に移ります。
このバーで、時給わずか30~40バーツで働くタイ人女性の従業員と、「W」の日本人幹部B氏とのLine上の会話です。
日本人幹部のB氏が、クレジットのレシートの写真を投稿して「Who did this〇〇?」
タイ人女性「〇〇様です。」
日本人幹部B氏「〇〇」
タイ人女性「ごめんなさい」
日本人幹部B氏「罰金、マイナス100バーツ」
タイ人女性「なぜですか」「毎日、給料をカットされてしまいます。(涙)」
日本人幹部B氏「This is serious problem, no need stupid answer」
タイ人女性「分かりました、本当にごめんなさい」
上記は表現のみわかりやすくしています。
実際のLineメール上のやり取りは以下のものです。
(ツイッター上で告発された画像)
他にも、バー「W」の幹部B氏から、タイ人女性の従業員へ課されていた罰金は、こんなものもあったといいます。
(ツイッター上で告発された画像)
日本人幹部のB氏が、Line上でカウントダウンを開始しています。
時間記録を見ると、2時22分~23分のわずか1分程度の間に5カウントをし、これまでにレスがないと、100バーツの罰金にするとしているのです。
この後のやり取りの後、タイ人女性は日本人幹部のB氏に「わかりました、ごめんなさい。」と謝罪しています。
このバンコクにある日本人向けバーの「W」では、このようにわずかな時給で働てもらっているタイ人女性たちから、日本人幹部がささいな事で罰金だとして給料から天引きしたりしていました。このような罰金は他にもあり、同様にささいな事で、こんな罰金を重ねていたといいます。
もちろん、このような罰金を従業員から天引きする行為はタイでも違法であり、禁止されている不法行為です。
こんな行為を行っていた、バー「W」の日本人幹部B氏。
調べてみるとB氏は、以下記事で取り上げた、タイ人女性へわいせつな行為をする事を競うナンパ動画を公開していて、タイ現地ですさまじい批判を浴びている2名の「A氏、B氏」の、B氏でした。
タイ)日本人の中年男性2名がタイで”ナンパ動画”!タイ世論で批判殺到
https://pattayaja.com/2020/05/31/11787/
※尚、上記記事のうちA氏は、以下記事の通り謝罪文をPJA NEWSに寄せて発表しています。
タイ)日本人によるタイでの”ナンパ動画”問題、日本人A氏が謝罪文を公開し反省
https://pattayaja.com/2020/06/03/11852/
このB氏による日本人向けのバー「W」での上記の通りの実態は、タイ語に訳されてタイ国内でも大きな批判を浴びています。
タイ人の方のものと見られる、このような実態を批判するタイ語のツイートには、リツイートが本記事執筆時点で約2万4700もされて拡散しており、タイの方々の間で大きな批判が起きているのです。
そんな批判の声が大きくなる中で、タイの国立大学であるカセタート大学のバンケン校人文学部東洋言語学科日本語学科に、このB氏が幹部を務めるバー「W」の経営者の日本人「C氏」が、同大学の「臨時講師」だという肩書をTwitterなどのインターネット上に公開して大学名を使っているという情報が入ります。
そこでカセサート大学の同学科では内部調査を実施。
バー「W」経営者の日本人C氏が、タイの国立カセサート大学の講師として認めた事実など一切ない事を確認し、被害が拡大しないように、2020年6月20日にC氏は実際にはカセサート大学とは一切関係ない事を発表しました。
これが、前回記事で報じたタイの国立カセサート大学の発表です。
タイ)国立カセサート大学、偽「臨時講師」の日本人に注意!日本で資金集めも
https://pattayaja.com/2020/06/28/12517/
本学科の「非常勤講師」であることをTwitterに書き込んだ者について
カセサート大学バンケン校人文学部東洋言語学科日本語学科発表
本校日本語学科は、Twitter添付画像の日本人について、本校は認知していません。
一緒に写っている元本校日本人講師は、現在は本校に所属していません。
この日本人講師と、添付画像の日本人が一緒に写っている写真をオンラインメディアにて確認していますが、その上でカセサート大学バンケン校人文学部日本語学科の
タイ人教師全員は、オンラインメディアにあるこの日本人と全く面識がなく、この人物は一切当校とは関係がなく、この者を非常勤講師として招いたことは断じてありません。上記の問題に加えてその日本人が学科の日本人教師と写真を撮ったことについては、その者は実際に学科の教師だったが、すでに退職しており確認できません。
そして、彼が働いている間、その教師がこの者を勝手に講師として招待したことは当校とは関係なく、自分自身が担当したクラスに個人的な招待だと考えます。
本学科の許可はありませんでした。
本学科の非常勤講師として実際に招待する場合は、教育課程の教師の委員会の承認を得て、人文学部長に代わって招待状を発行する必要があります。しかしながら本学科は、この日本人を学科の非常勤講師にすることを承認したことありせん。よって本学科は、当該日本人および元日本人非常勤講師教師の行動には、関与または責任を負いません。
カセサート大学
バンケン校人文学部東洋言語学科日本語学科
上述の通り、タイの名門国立大学が、このような発表を行う事は稀です。また翻訳者によると、上記の発表文のタイ語の原文はC氏について、きつめの表現で書かれていると語っています。
PJA NEWSではカセサート大学の同学科の関係者にも取材を続けていますが、そこで見えてきたのは、このような発表を行った背景には、上記の日本人のA氏、B氏、C氏、そしてC氏が経営する日本人向けバー「W」などで、ナンパ動画やタイ人女性従業員への不当な罰金など一連の問題が起こされており、これについてタイ国内からの大きな批判が起きている事が背景にあるということです。そして、そのバー「W」の経営者のC氏がタイの名門国立大学の偽の肩書をネットで使っていたことから、通常より厳しい対応となっているようだということがわかってきました。
タイの名門国立大学であるカセサート大学は過去記事でも指摘した通り、バンコクで大規模な大学の動物病院もされていて、筆者も含めてパタヤ在住の日本人でペットを飼っている人も、いつもとてもお世話になっている大学です。バンコクのカセサート大学の動物病院は、非常に良質で専門的な治療を、とても良心的な対応と価格で行ってくれており、日本人も含めて皆がお世話になっている大学です。
この大学の肩書を、バー「W」のオーナーの日本人C氏が、このような批判も浴びる中で、大学の許可も得ずに虚偽で使っていた。それにより国立大学から、このような発表となったとは、日本人として本当に恥ずかしい思いとなる発表です。
こんな行為を行って、バー「W」の経営者で、カセサート大学から発表を受けた日本人C氏は、どう思っているのでしょうか。
C氏はPJA NEWSの取材に次のようにメールでコメントを寄せました。
まず、背景となったと思われるバーWでの罰金については、行われていた事は認めた上で次の通りコメントしています。
C氏は「大きな問題になったこと」を謝罪
「今回、問題となっておりますのは、僕の経営するお店(T店、P店(厳密には妻の店)、PB店)ではなく、フランチャイズ店のT店になります。T店は、僕が経営するお店ではないですが、僕もフランチャイザーとして、管理責任はあります。今回、大きな問題になったこと、謝罪いたします。」
と、”大きな問題になった事について”謝罪しました。その上で
「このLINEメールですが、1~2年前の出来事になり、T店経営者は、この従業員に当時謝罪しております。罰金や給料天引きは許されることではありませんが、このことは、1~2年前に従業員との話は終わっており、この従業員もなぜ今、自分のLINE画像が使われているのか困惑しているようです。T店は、僕とのフランチャイズ契約を解除し、現在は閉店しております。」
とコメントしています。
しかしながら、この問題を起こしていたのは1~2年前で、それに対しT店を閉店したのは先月の2020年6月でした。つまり、この問題があってすぐに閉店したというものではありませんし、再発防止策が十分だったのかという疑問も起きそうなコメントです。
次に、カセサート大学から偽の講師に注意と発表が行われるに至った事について、C氏は次のようにコメントしています。
「当時、カセサート大学に勤務する教師に招かれ、教壇に立たせていただきました。大学の肩書きに関して無知だった僕が、元カセサート大学臨時講師とtwitterのプロフィールに記載したこと、申し訳なく思っております。大学から報酬は貰っておりませんので、正しくは、ボランティア講師という表記が正しかったようです。
当時、僕を招待してくれた教師(肩書き記載が間違っていたらすみません)が、大学とは関係なく個人的に僕を招待したことや、本学科の許可等のことは、僕は何も分かりません。そして、教壇に立ったことで、それを利用しようということも考えたこともありません。
ですが、大学側が、承認もしておらず、関与していませんって言われるのは、僕は実際に教壇に立ちましたが、承認してないということですので、しょうがないことかと思います。」
と、勘違いだったから申し訳なく思っている。また、大学が承認していないというのだから”しょうがないこと”かと思うとコメントしています。
その上で、C氏は次のようにコメントしています。
「そして、僕のクラウドファンディングのページを見ていただいたら、わかりますが、元カセサート大学臨時講師と記載して、支援は集めておりません。」
と、偽の肩書について、資金集めに使う明確な意図がないとする主張を寄せています。
この点について、PJA NEWSではタイの弁護士に取材しました。
タイの弁護士が指摘「裁判での論点は明確な故意の立証ではなく、被害の立証」
タイの弁護士は本件について、前回記事でも掲載した通り、タイでは特に国立大学など、国の機関や大学の肩書などで虚偽を語る事は、相当に重罪となる可能性があると指摘しています。そしてタイの弁護士は、このC氏のコメントについて次のようにコメントしています。
「C氏はコメントを見ると、大学の虚偽の肩書を資金集めに使う意図はなかった、もしくはC氏をカセサート大学に呼んだ日本人の問題だから自分には責任はないという主旨の主張をされているようです。
これについては、そもそもタイの刑事裁判においては、本件では明確な故意の有無は全く重視されないでしょう。
タイの刑事裁判では、例えばナイフで人を刺し殺した殺人犯の裁判でも、被告人は「殺すつもりはなかった」とか「手が滑って殺してしまった、刺すつもりもなかった」などと主張するのが普通なんですから、そもそもこのようなケースで故意の立証を重視する事はありません。裁判で重視されるのは、ナイフで人を刺したという行為そのものだけです。
今回のケースは、インターネット上の肩書で、タイの国立大学の「臨時講師」という肩書を大学の許可もなく虚偽で掲載していたわけですから、この行為のみが問題なのであって、それに対して故意の意図の明確さを主張しても、刑事裁判では論点にもならないでしょう。
むしろ裁判官が重視する論点は、被害が起きているかどうかの方でしょう。この点は、被害者の証言など立証が欲しい所です。
今回は、このように偽の大学の「臨時講師」という肩書をインターネット上に書き込んで、同時期に日本のクラウドファンディングで資金が集められているわけですから、この資金を出した人が1人でも「タイの国立大学の臨時講師もしていた人なんだから、ちゃんとした人だと思った」等と証言すれば、それで詐欺罪として成立する可能性は高まります。その意味で、現在は調査中となっているクラウドファンディングの資金が振り込まれた方が、犯罪としては成立しやすいという事になると思います。」
つまり、日本のクラウドファンディング会社がC氏に、このように大学の虚偽の肩書をインターネット上に公開していた時期に集められた金銭を支払えば、それが被害として確定し、タイで詐欺罪として成立しかねないという事になるという主旨の説明でした。
上記の上でタイの弁護士は、タイの裁判所のあくまで一般論として、次のようにコメントしています。
「タイの裁判は日本と異なり、裁判官の裁量の幅は非常に大きいんです。
タイの裁判官は、タイの司法資格はタイ国籍が必須ですから、必ずタイ人の裁判官になりますが、上記の通り外国人の日本人の幹部がタイ人女性に酷い罰金を科していた実態のあるバー「W」の経営者の日本人のC氏が被告人で、しかもタイの名門国立大学のカセサート大学がこのような発表までしているとなると、刑事裁判でも裁判官はC氏に対し相当に心証を悪くしてしまいかねず、罪もより重く判断されやすいのではないでしょうか。」
日本人が、タイの国立大学であるカセサート大学の肩書を虚偽で使った本事件。
カセサート大学も被害が広がらないように公式発表をした事で、大きな騒動となっています。その背景には、A氏、B氏、C氏やバー「W」の問題が、タイ世論から大きく批判されている事がある実態がわかりました。
日本人としては、あまりにも情けない問題です。
C氏は上記の通りのコメントを発表していますが、これでタイの世論は許してくれるとなるのでしょうか。親日国のタイで、日本人へのイメージは回復するのでしょうか。
タイでは現在、「こんな日本人は、タイから出て行ってほしい」とする動きが広がり、見かねた日本人とタイ人の女性たちによるオンラインの署名運動まで起きており、その署名が約2万5千人も集まっています。
このようにして、親日国となってくれた今のタイで、日本人のイメージが低下してしまいかねない問題が発生しています。
パタヤでも先月の2020年6月3日、日本人のホームレスの方がタイ警察に保護され、タイ政府のパタヤ市、警察、日本政府のバンコクの日本国大使館、そして私たちPJA(パタヤ日本人会)とで協力して保護が行われたニュースがありました。これはパタヤ市の公式の発表でも伝えられ、現地で反響もあったニュースの一つとなりましたが、そのFacebook上のイイネは約2200です。
このような尽力をタイ政府と日本政府が協力して行って、それを評価してもらえることがあっても、それよりも遥かに大きな日本人イメージへの悪評が、一部の日本人による問題によって起こされてしまうとしたら、日本人としてはあまりにも悲しい問題ではないでしょうか。
日本人としては、自分たちの問題を引き締め、このような酷い行為を見て見ぬふりをするのではなく、日本人社会が批判しすぐに対処するという風に、改善しなければいけません。
※カセサート大学バンケン校人文学部東洋言語学科日本語学科の公式Facebookページ
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※PJAニュースは、パタヤの有力メディアであるThe Pattaya Newsの公式パートナーとして日本語版を配信しています。
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