2020年5月20日 PJA NEWS)

1942年の珊瑚海海戦を伝える、米軍の記録映像動画(動画付き)

第二次世界大戦中の1942年、日本海軍と米海軍の間で世界初の空母艦隊同士の戦いとなった”珊瑚海海戦”。

1941年12月の日米開戦の直後は破竹の勢いだった日本軍が、オーストラリアと連合国の連絡路を遮断しようとポートモレスビーの攻略を計画。
これを米軍が阻止しようとして起きた空母艦隊同士の海戦で、日本軍が初めて戦略目標を達成できず、戦略的には敗北を喫した戦いです。

日本軍は軽空母の祥鳳が撃沈され、正規空母の翔鶴が大破。米軍は正規空母のレキシントンが撃沈され、正規空母のヨークタウンが中破の被害を受けました。

戦術的には互角程度の被害となりましたが、この海戦の結果、日本軍はポートモレスビーの攻略を実現できなくなり、オーストラリアの分断に失敗します。また、この後の同年6月5日~7日のミッドウェー海戦に、正規空母の翔鶴、瑞鶴が戦列に加われなくなったという影響も出ました。そしてミッドウェー海戦で、日本軍はついに決定的な大敗を喫して戦局は大きく変わる事となります。

Wikipedia)珊瑚海海戦
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8F%8A%E7%91%9A%E6%B5%B7%E6%B5%B7%E6%88%A6

この珊瑚海海戦、日本軍側は後のミッドウェー海戦への準備で忙しく準備も不十分で、さらに命令系統の不統一や運用の問題など多数の問題を抱えていました。一方で米軍も、日本軍側の暗号はおおむね解読できていたり、レーダーが戦線で活用されているといった有利な面は既にあったものの、運用上の問題は米軍側も相当に多く、双方ともに学ぶべきポイントが非常に多い空母艦隊同士の戦いでした。

ところが、両軍の差が大きくなったのは、この海戦の後の分析や教訓の活用の差でした。

日本軍はこの海戦後も、同海戦はローカルな戦いという程度に扱われる事が多く、教訓が活かされる事が全く不十分でした。まるで、日本海軍の第四艦隊司令長官だった井上成美中将の能力面の問題が主たる敗因だったかのように扱われたのです。

一方の米軍では、初の空母艦隊同士の重要な戦いとして扱われ、その後の分析や、指揮系統など運用の改良をするために尽力がなされました。
特に偵察や情報収集の徹底に米軍は非常に力を入れるようになり、その差がミッドウェー海戦から大きくなっていったと見る事が出来ます。

米軍では今でも、この珊瑚海海戦は教科書の中に必ず載っているほど重要な戦いとなっており、それは日本とは対照的です。
5月の珊瑚海海戦の折には記録映像などが公開されており、今月の5月に米海軍太平洋艦隊が公開した記録映像等の動画が以下のものです。

米軍側からの視点でこの海戦がどう見えていたか、記録映像の内容ともども、とても興味深いものですので、御興味ある方は是非見てみて下さい。

ちなみに米軍は珊瑚海海戦で日本海軍の軽空母「祥鳳」を撃沈しましたが、これを当時は日本の正規空母の翔鶴、瑞鶴と続く「リュウカク」という幻の空母を撃沈したと誤認し、「リュウカク」撃沈と記録していました。これは米軍内で幻の日本軍の空母「リュウカク」撃沈のニュースとなりましたが、後にこれは軽空母の「祥鳳」とわかり、米軍は記録を訂正しています。

(1941年12月20日
日本:横須賀軍港にて
日本海軍の軽空母「祥鳳」
米軍から「リュウカク」と誤認された)

日本軍側も、攻撃隊が「サラトガ(レキシントン)に爆弾10発、魚雷9本命中、ヨークタウンに爆弾8発、魚雷3本以上命中、撃沈確実」と伝え、ヨークタウンを含む正規空母二隻を撃沈したと考えていましたが、実際にはレキシントンのみ撃沈、ヨークタウンは中破でした。

ヨークタウンはその後、米軍の応急修理でミッドウェー海戦に出撃、このミッドウェー海戦で米軍は日本軍に大勝をするものの、ヨークタウンは米軍側で同海戦で唯一、撃沈された空母となりました。

Wikipedia)ミッドウェー海戦
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E6%B5%B7%E6%88%A6

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