2019年6月22日 PJA NEWS)

米の人身売買報告書、タイは取り締まり強化が評価され第二ランクに

2019年6月20日、アメリカのポンペイオ国務長官は2019年度の人身売買報告書を発表しました。

発表された報告書は以下のものです。

2019年度人身売買報告書(米国国務省) 2019年6月20日
(PJA NEWSのサーバーからのダウンロードURLです。)
2019-Trafficking-in-Persons-Report

日本はJKビジネスなどの取り締まり強化が評価、第一ランク維持も改善の必要性指摘

世界各国の人身売買の現状を評価した本報告書、日本はJKビジネスなどについて取り締まりを強化している点が評価され、4つあるランクのうち一番上のランクを維持しましたが、一方で福島原発事故の除染処理現場などで、外国人が給料も支払われずに働かされた事例などが指摘されており、改善が必要と指摘されています。

これについては日本でも昨日の2019年6月21日の夜に、以下のように報道されています。

MBS NEWS)米の人身売買報告書、日本は最上ランク維持も改善指摘<動画付き> (2019年6月21日)
https://www.mbs.jp/news/zenkokunews/20190621/3705762.shtml

日本についての記述内容を確認してみると、上記発表資料のトピックスであるP10の上部にも、2017年に日本政府の当局は全国114か所のJKビジネスの実施場所を特定し、14か所を摘発し閉鎖したことなどを評価してある事が書かれています。日本についての詳細は上記資料のP262~P266などに記載されており、かなり詳細かつ正確に情報をまとめてある事がわかります。

その上で、日本については当局の尽力が評価されている事、また日本の上記ニュースに書いてあるような福島原発事故についても言及されていますが、他にも中国や東南アジアの各国のケースなどで、日本の「外国人技能実習制度」などを使って日本に送られた労働者が、十分な職や、もしくは給料、社会保障などが与えられないケース、ブローカーなどに借金を背負わされるケースなどがある事も指摘されています。

全般的には日本の評価は、当局のJKビジネスなどの取り締まりは高く評価されているものの、改善するべきポイントがあるという趣旨でまとめられています。それは外国人技能実習制度で来日する外国人の保護もあるでしょうし、今は路上でリクルートされた一般の女性がAV女優として強制出演させられ性行為などをさせられる人権侵害がホットトピックとなる中で、これも注目を浴びていくでしょう。
アメリカの方々と人権侵害などの話をする折に、日本のAVへの強制出演の話をすると、そんな出演を断ったら膨大な違約金だなんて性奴隷というべき契約内容を、日本の社会では有効だと認めて強要させていたのですか!?と驚かれる事が多くあります。

タイは人身売買取り締まり強化が評価、第二ランクを維持

本報告書はタイについては、2015年10月からは人身売買防止のための担当当局を設置し取り締まりを強化しており、摘発数も増加していることなどが評価されています。その結果、第二ランクの維持となりました。報告書でもP21の下部にトピックスで取り上げられ、タイ政府による摘発の強化が評価されています。

タイについての詳細は報告書のP453~P458に書かれており、報告書では全般的にタイの評価は上記趣旨でまとめられています。

ただ、タイの場合も東南アジア周辺国からの労働者の事例で「タイに出稼ぎ」という形で搾取される構図が多く報告されており、さらなる摘発と改善が必要な状況にある事も記載されています。

本報告書での他の各国の位置づけは以下の通りで、最低ランクには北朝鮮やロシア、中国、サウジアラビア、シリアなどが位置付けられています。

(各国の位置づけ、第一ランク、第二ランク、第二ランク注意国、第3ランクと4段階に分類
画像は報告書のP48より)

米ポンペイオ国務長官「被害者はNY市の人口の3倍、被害防止の為に協力を」

(報告書冒頭の米ポンペイオ国務長官のメッセージ)

本報告書で、アメリカのポンペイオ国務長官は、世界の人身売買の被害者数は約2490万人にのぼり、これはニューヨーク市の人口のほぼ3倍に匹敵する数である事を指摘しています。
その上でポンペイオ国務長官は、世界各国が被害の防止と被害者の救出のために、協力をする事の必要性を訴えています。

上記の米国国務省から発表された資料を見ていると実感しますが、人身売買にはさまざまな形があります。

日本においては、上記の国務省報告書に記載されている通りJKビジネスなどは取り締まられているものの、AVへ強制出演させられ搾取される事件などはまだまだ取り締まりはこれからですし、海外から日本に来てくれている技能実習生が、日本で十分な給料や保護がされていない、ブローカーなどからの搾取が防止されていないといった問題も多発しています。

日本やタイも含め各国ともに、このような被害を蔓延させないために、まず出来る事からでも取り組みをしていく事が求められています。

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