2019年10月2日 PJA NEWS)
タイ)ワイズの対応に批判殺到「タイの方々は日本人を楽しませる”物”ではない」
追記)本記事のタイ語版を、PJA NEWS Thaiに掲載しています。
タイの方に御紹介いただく際は、わかりやすいように以下のタイ語版をご紹介下さい。<PJA NEWS Thai>
(สำนักข่าวไทย) นิตยสาร WiSE รับมือกับคำวิจารณ์มากมายเรื่อง “คนไทยไม่ใช่ของเล่นของคนญี่ปุ่น”
https://pattayaja.com/2019/10/09/6939/
タイで日本人向けに発行されているフリーペーパーのワイズ(Wise)が、タイの一般女性に「時代錯誤のイタイ女」「老け顔」などと侮辱する連載を行って大きな問題となっている以下のニュースに続報です。
PJA NEWS)タイ)フリーペーパーWiseが一般女性に「イタイ女」「老け顔」!炎上 (2019年9月30日)
https://pattayaja.com/2019/09/30/6709/
日本人も含めて、このような問題を起こしているワイズへの批判は続いています。
その中に、以下のタイで語学学校をされている日本人の方が書かれた記事で、本事件の経緯と問題点がまとめられている記事がありますので、この記事をご紹介します。
「タイ人を騙して笑い者にする日本人たち」 (2019年9月27日)
https://note.mu/sabaithailang/n/nb353a2f21857
バンコクで発行されている日系フリーペーパーのワイズが、タイ人の若い女性に声をかけて写真を撮り、それを紙面上で「いくらきめても時代錯誤のイタイ女」などと誹謗中傷というべき記事を書いて、日本人向けに配信していました。
ネットのツイッターではバンコク駐在員らしき日本人が記事をシェアしてツイートし、「毒舌でかなり笑ったw」(原文の通り)と配信され、笑い者にしていました。上記記事の作成者の方により被害者の顔にはぼかし処理がされていますが、実際のツイッターの投稿では女性の顔も実名も晒されていました。これを、日本の方が「最悪」と批判してツイートしているのが、以下のツイートです。
(画像は上記記事より
ボカシ等は上記記事で被害者保護の為に加工)
ワイズでは、こんな記事を日本人向けに長年にわたり配信していました。
そして指摘されている記事には以下の通り、「別ショットや過去のバンビーナたちをWEBに掲載中!」として、この女性の記事を見たければ「ワイズビズ」という、このワイズの日本企業向けビジネス媒体へ誘導するよう広告までつけて掲載されていました。
(画像は上記記事より)
これについて、上記で紹介した記事は次のように指摘します。
タイの善良な一般人を、取材目的を伏せて騙し討ちにし、発行部数3万部の印刷媒体でこき下ろす。
さらに、スマホで再スキャンした画像をTwitterに晒して、「かなり毒舌で笑ったw」などと日本人同士で笑い者にする。
『卑劣』です。
どうせ日本語が分からないからいいだろw、とでも思っているのでしょうか。
そして上記で「かなり毒舌で笑ったw」とツイートしていたアカウントの、以下の別のツイートを紹介。
「言ってる事とやっている事が真逆の日本人」と指摘しています。
海外で働く人にとって最も大切なマインドは、
✔︎現地の方をリスペクトする
✔︎現地の方の生活をリスペクトする
✔︎現地の方の文化をリスペクトするであって、この3点をリスペクトして初めて欲しい仕事・情報・人脈が回ってきます。
我々は「現地で働かせてもらっている立場」に過ぎません。
— やまさん??バンコク駐在員 (@yamasanlife) September 25, 2019
被害にあった女性の中には、病気になってしまった人も?
記事では、5年以上前の2014年2月6日に個人ブログで書かれた以下の記事で、ワイズの被害にあった女性の中には、ブログ作成者の教え子のタイ人女性もおり、病気になってしまったという事が書かれていた事を指摘しています。
バンビーナ・きもちわりーな(2014年2月6日)
https://ameblo.jp/toruohayashi53231/entry-11766346093.html
タダ単にファッションの批評をするだけなら何も問題はない。しかしこの人間はわかりもしないその人の内面を勝手な想像で切って捨てるのだ。たとえば「男好きなんでしょ。」とか「影で何やってるかわからない顔ね」とか、なんでお前がそんなこと偉そうに言えるんだよとこのコーナーは読まずにすっ飛ばしていた。
それなのに何故わざわざテーマに取り上げたかと言うと、昔の教え子が被害にあったからだ。
彼女は「そんなこと言ったつもりはないのにー」とフンガイしていた。
つまりインタビューが捏造されていたのだ。それをバンビが揚げ足をとってコメントしていたのだ。そして彼女は病気になった。
そして記事では、ワイズの現在の対応にも疑問を投げかけています。
ワイズは日本から批判が殺到したのを受けても、配信した謝罪は以下の9月27日付けのツイートぐらいなのです。
【弊誌掲載のコラム「ちゃお!バンビーナ」について】
行き過ぎた「辛口批評」に関して、ご本人を含め不愉快な思いをさせてしまった皆様に深くお詫び申し上げます。現在、ご本人と直接連絡をしております。当該コーナーは中止・削除したこともあわせてご報告させていただきます。週刊ワイズ— Weekly_WiSE (@WeeklyWiSE_bk) September 27, 2019
ハイ!本件はこれにて終了
某バンコク駐在員氏も、ツイ消しして「なかったこと」に。
つまり、知らんぷり。
これでいい‥‥のか?
このようなワイズの対応についても、「タイの方々は日本人を楽しませる”物”ではない」といった批判がツイッター上でもされています。
実際のツイッターで投稿されている内容を、いくつか以下に引用します。
タイの方々は日本人を楽しませる”物”ではない。執筆者含め責任者一同そのような意識がなかったか考えてみてください
―あいJP(@jvniI0WFNqoe9PY) September 27,2019
<Twitterのツイートより>
謝罪の仕方が企業対応として、一メディアとして甘過ぎる。ホームページも見たけれど何のお詫びの言葉もねえじゃねえかよ。火消しっていう言葉知っていますか?お前らのような日本人・日系企業がいるから僕らタイ人からも舐められるんですよ。
— wabros (@wabros2) September 29, 2019
是非、執筆者の顔写真付きで、本紙面にお詫びを希望。
(中止した、と言って終わりにするのは良くないぞ。お詫びを掲載すべし)どんなふざけた奴が、暴言記事を書いたのか、明らかにしてもバチは当たらない。
(辛口批評!?トンデモナイ。ただのタイ人に対する冒涜記事だよ)
— 社長は、たこ (@kuchiso) September 27, 2019
筆者は前回記事でも以下のように指摘した通り、ワイズのこれらの記事は非常に大きな倫理上の問題がある内容と考えています。
今回指摘されているWiseの問題は、違法性は勿論、倫理上の問題もないタイの一般女性に、「Wise」の取材に協力までしてもらって、その人にメディアが外見について誹謗中傷を繰り返して報道していたのですから、今まで問題にならなかったのが不思議なくらいの酷い内容です。
これは例えば、日本で海外メディアが日本人女性に取材して、その海外メディアが報道で、外見や容姿をもとに「イタイ女!」「老け顔!」と日本人女性に酷い誹謗中傷をして報道していたら、日本人はどう思うのか。さらに言えば、そんな報道をされた日本人女性があなたや家族だったら、どう思うのか。それを考えれば、このwiseの内容の酷さがわかりやすいと思います。
タイの法律事務所も、違法性の高さを指摘
では、このワイズの記事について、そもそもタイの法的な問題はないのでしょうか?
タイのバンコクの法律事務所に取材した所、ワイズの記事はタイの法律でも違法性が高い点を指摘し、次のようにコメントしています。
「このワイズの一連の記事で、特に病気になってしまったタイの若い女性などが被害を訴えれば、名誉棄損等の違法性は相当に高いと考えられます。
もちろん法的にはワイズの記事による誹謗中傷と、それにより被害女性が精神病等の病気になったという因果関係の証明が診断書などで必要となりますが、これが事実なら、医師も診断書を出してくれるのではと考えられます。
名誉棄損等の違法性の他にも、そもそも人権侵害などではないかという問題も考えられる酷い内容です。」
日本法で言えば、これで診断書があると精神病でも傷害罪も視野に入れる事ができるので、その点は少しタイと日本で法的な運用の事情が異なる点かもしれません。
タイのメディア記者が驚き
「日本メディアでは、こんな記事が配信されていたの!?」
筆者も周囲の友人たちのうち、タイメディアで記者をするタイ人の方など複数人にワイズの記事を翻訳し、見てもらいました。
するとタイ人の方々からは口々に、驚きの声が上がり、ある記者の方は「日本メディアがタイ人女性について、こんな記事をバンコクで配信しているとは全く知らなかった」と驚いていました。
このような記事が、多くの日本企業が広告費などでお金を出して配信される日系の大手フリーペーパーのワイズという紙面で配信されていた事。さらに、こんなタイ人女性たちの記事をもっと見たければ「ワイズビズ」という、日本企業のビジネスサイトを見るように誘導されている事を説明すると、さらに驚いた様子でした。
多くのタイ人の方にとっては、日本企業や日本人が、このような記事を日本人同士で配信していること自体が、相当に意外な事のようでした。
その上で逆に質問を受けたのは「日本人は、これを見て一体何が面白いのですか?」とか、「5年以上前の2014年に、実際に被害にあったタイ人女性が病気になったという事も指摘されているのに、日本では問題にもならなかったのですか?」など。
正直、筆者も日本人として、答えるのも恥ずかしく、タイの人に申し訳ない気持ちになる質問でした。
このような問題となっている、タイで日系フリーペーパー最大手の「ワイズ」の問題。
この問題を引き起こす背景には、ワイズに限らず一般論として、そもそもタイの人々を見下している人間が一部にはいるという根本的な問題もあるのでしょうし、加えてフリーペーパー業界特有の体質として、あまりにも安易に収益を求めすぎる拝金主義というべき体質の問題があると思います。
この体質的な問題が、改善される時は来るのでしょうか?
日本人としては、親日国のタイで、日本人として恥ずかしいと感じさせられる問題です。
個人としては、このような問題が無くなるように、自身や周囲を含めて「人のふり見て、我がふり直せ」という意識を持って、自分たちを見直す事が大切なのではないでしょうか。
また日本の企業も、このようなメディアに広告などを載せれば、自社がどのような「広告主」としえ見えるのか、相当に注意をする事が必要となっています。
追記)本記事のタイ語版を、PJA NEWS Thaiに掲載しています。
タイの方に御紹介いただく際は、わかりやすいように以下のタイ語版をご紹介下さい。<PJA NEWS Thai>
(สำนักข่าวไทย) นิตยสาร WiSE รับมือกับคำวิจารณ์มากมายเรื่อง “คนไทยไม่ใช่ของเล่นของคนญี่ปุ่น”
https://pattayaja.com/2019/10/09/6939/
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