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PJA NEWS)タイの格差を是正する!?”公共福祉提言”が話題





2018年12月18日

PJA NEWS)タイの格差を是正する!?”公共福祉提言”が話題

今朝のタイ現地英字紙メディアのNationに、タイの格差を是正するために重要な、市民団体による社会福祉の提言が掲載されています。

Nation)Universal welfare ‘crucial’ to curb thai unequality (2018年12月18日)
Nation)タイの格差是正に”重要な”公共福祉政策
http://www.nationmultimedia.com/detail/national/30360601

記事の副題には「市民団体、各政党に公共福祉政策を促す」と書かれています。

記事の概要は以下の通りです。

昨日、タイの社会正義擁護などを行う市民団体が、タイの格差問題を是正するためには、国家予算と福祉制度が改革される必要があるとの提言を発表しました。

この提言は主要政党に対して実施され、タイの格差問題の是正のためには、タイの公共福祉政策の改善、税制の変更、予算管理の改善が必須だとして、この取り組みを求めています。

タイの格差問題は深刻化しており、最近もクレディ・スイスのレポートが、タイは世界で最も不平等な国であり、人口の1%の富裕層が国の資産の66.9%を所有していると指摘しています。

(参考)PJA NEWS過去記事
タイは世界一の格差社会!?Credit Swiss調査結果(2018年12月7日)
https://pattayaja.com/2018/12/07/pja-news%e3%82%bf%e3%82%a4%e3%81%af%e4%b8%96%e7%95%8c%e4%b8%80%e3%81%ae%e6%a0%bc%e5%b7%ae%e7%a4%be%e4%bc%9a%e3%81%ab%ef%bc%81%ef%bc%9fcredit-swiss%e8%aa%bf%e6%9f%bb%e7%b5%90%e6%9e%9c/

市民団体のWe Fair Networkは、タイの格差問題を是正するために、次のような概要の政策案を提案しました。

格差是正のための政策案概要
(We Fair Network)

1)教育

-義務教育に、月3000バーツの補助金

-高等教育に、別途月3000バーツの補助金

-一人当たりの生活保護支給、年に10万バーツ

-一人当たりの義務教育補助金、年に1.6万バーツ

-教育制度への別途追加補助金

2)医療

-各医療保険制度、保証制度を、1制度に統合

-一人当たりの医療保険補助金、年に8000~8500バーツ

3)住居

-自宅の土地、建物購入のための低利融資制度の実現

-1行政地区(タムボン)あたりに、最低1000世帯の公共住宅の提供

-1農家世帯あたり、最低15ライ(タイの土地の大きさ、約24㎢)の農地利用の実現

-先進的な土地課税の実現

4)就労

-最低賃金500バーツの実現(インフレ率により今後も随時調整)

-賃金のベースアップが、毎年に2パーセント以上

-社会保障制度を、(近年増加している)自営業者にもメリットがあり、かつ保護されるものに変更

-育児休暇を男女ともに、180日以上提供

5)社会的な格差是正

-障害者に補助金を月に3000バーツ

-性転換者を社会保険の対象に

-福祉や社会保障が、性産業従事者、特殊民族、少数民族を保護の対象に

-公共の公園、図書館、ミュージアムの増加

 

必要合計予算 1.4兆バーツ

税収増加のための提案

-特別経済地域への直接投資への、低税率の実現

-株への30%の課税

-税控除の削減

-先進的な土地税の課税

-相続税の課税

-70パーセントの軍事費の削減

-公務員の年金の削減

-公務員への特別医療保険への予算の削減

-VAT(消費税)の税率の上昇

-貧困層へ限定されていた福祉予算の取りやめ

上記のような政策提言を行ったWe Fair Networkは、合わせて、タイの格差問題に総合的に対処するために、(特定の層にのみ適用される制度ではなく)、効率的で統一された福祉制度を実現することが必要だと述べました。

また、貧困層のみを対象とした社会福祉を対象とした、これまでの取り組みは誤っていると警告しました。

上記が、報道されている概要です。

 

今回の政策案は、市民団体が各政党に送ったものなので、当然ながら実現可能性などは検討されていませんし、必要予算の想定根拠なども非常に貧弱なものです。ですので、そこをついて否定的に言うのは簡単です。

しかしながら、そのような「実現の方法」を考えるのは、「実現したい事」や「実現するべき事」を検討した後なので、その前の目指すべき姿を考える段階の話として議論がされているものです。

市民団体側も、だからこそ選挙前に、特定の政党ではなく、全政党に提言したものでしょう。

全政党に言われれば、その反応は他党と比べられる事になりますし、その対応を回答すれば、その回答は本当に実現しようと考えている政党のものかどうか、国民には非常にわかりやすいものとなります。

 

現在のタイは、少なくとも先進国が中心となる国際標準と比較して、富の再配分が少ない事は事実です。

相続税も異様に控除額が大きく税率も低く、不動産の固定資産税は現状2020年1月から導入予定となっていますが、これも実現するかは不透明さが残っています。

このような税制だと貧富の差が固定してしまい、それが格差の固定化となって、タイの社会問題となっています。

 

貧困は暴力の最悪の形態である。

格差という暴力が、貧困を生み出す。

かつて、非暴力で差別の撤廃を訴えたインドのマハトマ・ガンディーが語った言葉の一つです。

そのような貧困をなくし、生まれながらの格差を是正する取り組みが、これからのタイでどのように行われるのか、興味がわくニュースです。

マハトマ・ガンディー(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%8F%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC

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