プラユット首相、蔓延する違法賃貸の摘発に憲法44条発動
タイのプラユット首相は、タイで蔓延する違法な短期賃貸の取り締まりと摘発、秩序の維持のために、首相に超法規的な全権を与える憲法44条を発動しました。
タイ大手英字メディアのBangkokPostが伝えています。
BangkokPost)Prayut’s order seeks to bring illegal hotels into line (2019年6月14日)
BangkokPost)プラユット首相の命令、違法ホテルに法的秩序を
https://www.bangkokpost.com/business/tourism-and-transport/1694648/prayuts-order-seeks-to-bring-illegal-hotels-into-line
タイのプラユット首相
写真:タイ首相府
報道によると、タイのプラユット首相は、タイ全土で2万件以上が確認されている違法な短期賃貸を行っている、いわゆる「違法ホテル」について、政府の管理の徹底と旅行者の安全確保を行うために、タイ首相に超法規的な全権を与える憲法44条を発動しました。
命令は、ホテルライセンスなどの適切な許可を得ずに短期賃貸を行っている違法ホテルが蔓延しており、この多くは、火災への消防設備や対応なども不十分な事が多く、ホテルライセンスを有する企業のビジネスを不当に侵害している点を問題視し、これを是正する事に焦点をあてています。
ホテル業法に違反している法人や個人は、地域の担当部門に自主的に申告をし、違反を是正しなければいけません。
各法との整合性は、今後担当諸部門との調整となる見込みです。
報道されている概要は上記の通りです。
一部の大手デベロッパー管理でも蔓延する違法賃貸
首相が憲法44条を発動したことで、タイの違法な短期賃貸の取り締まりはさらに強化される事が見込まれます。
一方で、タイのホテル管理部門のライセンスの発行基準などは、変更がされるかもしれません。
パタヤのあるチョンブリ県では、ホテルライセンスの発行基準を定義する法律が長らく旧法のままとなっており、バンコクとは異なります。このためにパタヤ特有の法的な問題があるのですが、これらも是正される可能性が出てきそうです。
タイ全土では現状、30日未満で賃貸をするにはホテルライセンスなどの短期賃貸許可が必要であり(*)、これを持たずに短期賃貸を行う違法ホテルは違法です。
(*)パタヤ市ではホテルライセンス以外にも、パタヤ市の条例で短期賃貸が許可される制度があります。このように市の条例等でホテルライセンス以外の許可がある場合もあります。
このような適切な許可を得ていないで30日未満の短期賃貸を行う違法ホテルがタイ全土に蔓延しており、これが大きな社会問題となっています。
パタヤでも以下過去記事の通り、タイの証券市場に上場するデベロッパーであるレイモンランド社が、Unixxというコンドミニアムの入り口のロビーにSalesOfficeを開設し、これを2016年に同社経営陣が日系不動産会社に最優先利用権を約して物件に投資をさせながら、同社は2018年にこの履行を突然にせずに、以下のタイ法人の看板を掲げて違法な短期賃貸を実施し、大きな社会問題を起こしていました。
これについて今年の2月6日には当局の合同捜査班が短期違法賃貸などで摘発しましたが、これはPJAが当局に取り締まり要請をし、実施していただいたものです。
PJAニュース)パタヤ)大型コンドUnixxで違法短期賃貸の大規模摘発(2019年2月9日)
https://pattayaja.com/2019/02/09/%E3%83%91%E3%82%BF%E3%83%A4-%E5%A4%A7%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%89unixx%E3%81%A7%E9%81%95%E6%B3%95%E7%9F%AD%E6%9C%9F%E8%B3%83%E8%B2%B8%E3%81%AE%E5%A4%A7%E8%A6%8F%E6%A8%A1%E6%91%98%E7%99%BA/
(Ezi Trip Stay Co.,Ltd.の看板、2018年9月撮影)
(Unixxの同オフィス前の写真<強制捜査前の2018年末>)
タイでも違法な短期賃貸は多くありますが、大手企業の管理物件で摘発され逮捕されるのは珍しく、この摘発も現地で反響を呼んでいます。
このように、一部のタイ大手企業では、大手企業の管理の物件でも蔓延している違法賃貸。
これがどう変わるのか、今後の推移に注目が集まっています。
※レイモンランド社は、日本の東京建物(東証一部8804、代表者:代表取締役 社長執行役員 野村 均)と、バンコクで個人向けに販売する住宅物件として「Tait12」「THE ESTELLE」などを共同事業として開発しています。事件について、東京建物が以下のような報道対応を行っており、これが特にタイ在住の日本人に波紋を広げています。
PJAニュース)バンコク:東京建物の報道対応が波紋 (2019年4月2日)
https://pattayaja.com/2019/04/02/%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%82%A
タイへの投資において日本人や日本企業に被害が広がらないよう、タイ政府においても、日本の法人、個人の投資家の保護と、そのための取り締まりが求められています。
バンコクのトンローに掲げられた「THE ESTELLE」の看板
写真:PJAニュース バンコク
バンコクのトンローに掲げられた「THE ESTELLE」の看板
写真:PJAニュース バンコク
PJA NEWS)三菱地所が”あの”レイモンランド社と共同事業、波紋が広がる (2019年5月31日)
https://pattayaja.com/2019/05/31/%E4%B8%89%E8%8F%B1%E5%9C%B0%E6%89%80%E3%81%8C%E3%81%82%E3%81%AE%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E7%A4%BE%E3%81%A8%E5%85%B1%E5%90%8C%E4%BA%8B%E6%A5%AD/
PJA NEWS)シラチャ等で大規模不動産倒産か!?詐欺かと騒然 (2019年2月26日)
https://pattayaja.com/2019/02/26/%E3%82%B7%E3%83%A9%E3%83%81%E3%83%A3%E7%AD%89%E3%81%A7%E5%A4%A7%E8%A6%8F%E6%A8%A1%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3%E5%80%92%E7%94%A3%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E3%81%8B%EF%BC%81%EF%BC%9F%E8%A9%90%E6%AC%BA%E3%81%8B/
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