2019年9月23日 PJA NEWS)
”中国に消された”国の実情を漫画に!「その國の名を誰も言わない」
※本記事では、漫画を描かれた清水ともみさんから許可をいただいて、漫画の1ページ目の画像を掲載しています。
追記)ポンぺオ米国務長官の2019年9月22日の中国政府への非難について追記しました。(2019年9月24日)
中国の共産党政府が、新疆ウイグル自治区などで少数民族であるウイグル族に対して行っている虐待等行為が、世界的な批判を集めています。
その実態を告発したウイグル族の女性の方の告発を、日本人の方が漫画にされて、日本語と英語で公開され大きな反響を呼んでいます。
この漫画の「私の身に起きたこと」~とあるウイグル人女性の証言~ (2019年8月31日)を、PJA NEWSでは以下の過去記事で掲載しました。
PJA NEWS)中国共産党に侵略された悲惨、その告発を日本人が漫画に(漫画付き) (2019年9月9日)
https://pattayaja.com/2019/09/09/6254/
PJA NEWSは日本語で掲載しているため、反響は主に日本人の方からの反響となりますが、上記記事は結構な反響がありました。
中国共産党に侵略された民族の一つ、ウイグル族に、一体中国共産党は何をしているのか、ウイグル族の人々は、どのような目にあっているのか。
それに驚いたという反響が多く、日本人では知らない方がいかに多いかがわかる反響でした。
漫画を描かれた清水ともみさんですが、中国共産党政府に”消された国”について、漫画を発表されていますので、その漫画「その國の名を誰も言わない」をご紹介します。
「その國の名を誰も言わない」
作:清水ともみ
(上記をクリックすると漫画のページに移動します)
この漫画は日本語のみですが、まだご覧になった事がない方は、是非ご覧になってみてください。
東トルキスタン共和国という国が中国共産党政府に侵略され、中国に統合されて国が消されてしまいました。
その”消された国”の国民が、現在はどのような状況になっているのかを漫画で描いています。
漫画で描かれている、カシュガルの空港の「臓器移動用の特別通路」とは、以下の写真などで告発されている通路です。
中国の病院では臓器移植が盛んですが、中国の国内では臓器のドナー登録者は非常に少なく、有名無実というべき実態で、まともなドナー登録制度は機能していません。
にもかかわらず、2017年に中国は臓器の提供件数、移植件数は世界二位となったと発表するに至っているのです。
(*)中国国家衛生健康委員会医政医管局の郭燕紅副局長、2018年7月「第9回全国臓器提供および移植フォーラム」で発表
尚、中国の臓器移植の実際の数は、発表数よりも遥かに大きいという指摘もあり、実態は世界一位と言われています。
では、その臓器移植につかわれる”臓器の出所”はどこか、そこが大きな疑問となっているのです。
この問題を調査している国際機関などの報告書によると、以前は法輪功の信者などが多かったようですが、今は漫画で描かれているように、ウイグル族の人の臓器などが増えていると指摘されています。
中国でのウイグル族の人権問題については、PJAニュースでも以下の過去記事のように、同地区から逃げ出してくることに成功した東トルキスタン人の人がFacebookに投稿した「串焼きの刑」と俗に呼ばれる拷問の動画が世界的に話題になっているニュースなどを取り上げてきました。
中国が少数民族へ「串焼き」拷問、動画も流出し非難殺到!世界的な問題に(2019年2月26日)
https://pattayaja.com/2019/02/16/2800/
(流出した新疆ウイグル自治区で少数民族に行われている拷問の様子、同Facebookより)
以下の自由時報の報道によると、上記過去記事の動画は中国の新疆ウイグル自治区を脱してトルコにたどり着いた東トルキスタン人がFacebookに投稿したものです。
自由時報)中国政府が少数民族に行う「串焼きの刑」に世界が驚愕(2019年2月10日) <中国語のニュースです>
https://news.ltn.com.tw/news/world/breakingnews/2694842
このような民族抹殺というべき行為が、かつてのナチスのホロコーストよりも大規模に、中国共産党政府により現在も行われているのです。
漫画の最後に、新疆ウイグル自治区の「再教育施設」や「職業訓練施設」と名付けられている収容所の実態について、米国のマイク・ペンス副大統領の発した言葉の日本語訳が掲載されています。
「中国国民党は百万人以上のウイグル人を施設に収容し24時間体制で洗脳している。
自国民を抑圧する方向に大きく舵を切った」
(米マイク・ペンス副大統領
写真は2018年2月8日、日本の横田空軍基地での演説の様子
写真:米国防総省 撮影:米空軍Matthew Gilmore空士長)
前回記事でもお伝えした通り、米国は本問題について許さないとする姿勢を貫いています。
このマイク・ペンス副大統領の言葉は、米国がこの問題をいかに重要に考えているのかを表す言葉の一つです。
そして、上記の漫画で描かれている中国共産党政府による少数民族への抹殺の問題は、なぜ米国が中国共産党政府を危険視しているのか、その理由がわかる問題です。
なお、マイク・ペンス副大統領は昨年末の2018年10月4日にワシントンの政策研究機関「ハドソン研究所」で、トランプ政権の中国政策について演説した際に、日本の領土である尖閣諸島について「尖閣諸島は日本の施政権下にある」と強調、中国に対抗していく姿勢を打ち出し、日本の国土を守る姿勢を明確に打ち出してくれている人物です。
そして今月の2019年9月6日、米のホワイトハウスのミラー副大統領副報道官は、マイク・ペンス副大統領が中国に関する政策演説を今秋、ワシントンの政策研究機関「ウィルソン・センター」で行うことを明らかにしました。
この秋の政策演説は、中国の習近平体制による新疆ウイグル自治区での人権抑圧や香港情勢などで習体制を批判する内容になるとみられており、人権・民主化問題でも中国に全面的圧力を加えていく立場を鮮明に打ち出すと見られています。
また、米ホワイトハウスの上記発表と同じ日の今月6日、米のポンペイオ国務長官はカンザス州の大学での講演で、今月中旬からニューヨークで行われる国連総会で、中国による新疆ウイグル自治区での住民弾圧に関し、各国に「中国糾弾」を呼びかけていく考えを明らかにしました。
ポンペイオ国務長官は、中国共産党政府の新疆での住民弾圧は「今世紀の世界における最悪の汚点になる可能性がある」と指摘し、「米国は彼らに自由がもたらされることを望む。ことは彼らの基本的かつ誰にも奪うことのできない権利に関わる問題だ」と強調しました。
(2019年度の人身売買状況報告書の
米ポンペイオ国務長官のメッセージ
PJA NEWS「米の人身売買報告書、タイは取り締まり強化が評価され第二ランクに 」
2019年6月22日を再掲)
そして2019年9月22日、ポンぺオ米国務長官は本問題について中国政府を強く批判しました。
以下の通り共同通信や日本のテレビがニュースで伝えています。
共同通信)米長官、中国の宗教弾圧を非難「信仰や文化を抹殺する試み」(2019年9月23日)
https://this.kiji.is/548682324376568929
【ニューヨーク共同】国連総会出席のためニューヨークを訪れたポンペオ米国務長官は22日、中国政府によるイスラム教徒の少数民族ウイグル族に対する弾圧について「自国民のイスラム教の信仰や文化を抹殺する試みだ」と強く批判した。カザフスタンなど中央アジア5カ国の外相との会談で述べた。中国の反発が予想される。
中国は、自治区でウイグル族を強制収容していることを「テロ対策」だと正当化している。
ポンペオ氏は、弾圧は「テロとは無関係だ」と中国の主張を否定した上で「全ての国々が、中国のウイグル族に対する政策に反対すべきだ」と訴えた。
このようにして、新疆ウイグル自治区での住民弾圧の実態は米国を中心に、世界的に糾弾されているのです。
日本では、この問題はこれまで、多くは報道されてきませんでした。
日本の報道機関の側にその理由を聞くと、もちろん中国共産党政府が取材を妨害する、報道すると中国政府や関係者からの様々な圧力があるという事情があります。
それに加えて、少なくとも日本では、ウイグルの問題に詳しい人間を見つけるのが非常に困難であること。
加えて、取材を進めるとわかるのですが、このウイグル族の側と主張する人々も日本では右翼系の団体や、一部には在日朝鮮人系の人間が作った新興宗教団体などに取り込まれてしまっている事例が多くあり、報道がしにくいからです。
そのため、日本では知られる事はあまりない問題でした。
しかしながら、日本ではそういう事情があっても、今この問題が実際に新疆ウイグル自治区で起きており、米国を中心に助けようとする動きが大きくなる中にあり、日本での報道も増えてきている印象があります。
日本としては少なくとも、まずメディアは何が起きているのかをより多く報じ、日本人それぞれが実情を知って、日本としてどのように行動するべきなのか、議論をする事が必要なのではないでしょうか。
日本の外務省も、人権の普遍的価値について大切にすることを、次のように記載しています。
外務省「人権外交」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken.html
人権及び基本的自由は普遍的価値であること。また,各国の人権状況は国際社会の正当な関心事項であって,かかる関心は内政干渉と捉えるべきではないこと。
かつて、ホロコーストを行ったナチスドイツの総統のアドルフ・ヒトラーは、ナチス・ドイツが「倒すべき敵」について、このように述べていました。
「悪意はないが無批判で無関心な、
あるいは現状維持にだけ興味を持っている無数の大群が、
われわれに対立している。」
アドルフ・ヒトラー
Wikipedia)アドルフ・ヒトラー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%92%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%BC
この「無批判で無関心な、現状維持にだけ興味を持っている無数の大群」が、ナチスドイツに倒され、支配され、ホロコーストをされるに至ったのです。
無批判で、無関心で、現状維持にだけ興味を持つ事。
それがいかに危険な事か、わかる言葉ではないでしょうか。
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