2019年9月27日 PJA NEWS)
タイ高速鉄道)採算が見込めない3路線の中止を検討
以下のタイ高速鉄道記事に続報です。
PJA NEWS)タイ高速鉄道)どうなるEEC路線!?10月15日までの契約期限を通告 (2019年9月24日)
https://pattayaja.com/2019/09/24/6579/
タイ高速鉄道のうち、採算が見込めず投資も集まらない3路線のバンコク~チェンマイ間、バンコク~スラタニ間、ラヨーン~トラート間について、タイ運輸省は中止を検討していると、本日の2019年9月27日朝のタイ大手英字メディアBangkokPostが伝えています。
BangkokPost)Govt mulls end of fast train plan (2019年9月27日)
BangkokPost)タイ政府、高速鉄道計画の終了を検討へ
https://www.bangkokpost.com/business/1759399/govt-mulls-end-of-fast-train-plan
報道によると、タイ運輸省幹部はBangkokPostの取材に対し、タイ高速鉄道のうち採算が見込めない3路線のバンコク~チェンマイ間、バンコク~スラタニ間、ラヨーン~トラート間については、計画の中止を検討している事を語りました。
2019年9月20日に経済大臣会議が開かれ、会議ではタイ運輸省の合計1.94兆バーツの巨大インフラ投資プロジェクトが提案されましたが、タイ高速鉄道のうちバンコク~チェンマイ間、バンコク~スラタニ間の路線は、そもそもこの提案にも含まれていなかったということです。
また、運輸交通政策局(OTP:the Office of Transport and Traffic Policy and Planning)の情報筋はBangkokPostの取材に、バンコク~チェンマイ間の高速鉄道は、日本が共同投資に合意しない限り実現は難しい事を語っています。
同路線について、タイ政府は再三にわたり日本政府に共同投資を求めてきました。
2018年10月19~20日には、タイのアーコム運輸大臣(当時)が日本の石井国交相大臣(当時)を表敬訪問しましたが、BangkokPostによると、この折も日本側からは、高速鉄道は国家資産であるから、タイ政府が投資をするべきという趣旨の話があったと伝えています。
2018年10月19日 日本の国土交通省で石井大臣に表敬訪問をするタイのアーコム運輸大臣
(写真:(日本)国土交通省)
このバンコク~チェンマイ間の路線は、現状の計画では約670㎞を結ぶ、想定費用4000億バーツの路線です。
この路線について、日本のJICA(ジャイカ、国際協力機構)により実現可能性の調査が行われましたが、計画では1日あたり約3万人程度の利用者が見込まれるとされていたのに対し、調査結果では約1万人程度と見込まれました。
同路線で運賃収益から黒字化をするためには1日あたり約5万人の乗客が必要であり、とてもではありませんが採算がとれない見込みとなっています。
報道されている概要は、上記の通りです。
日本と進めていたバンコク~チェンマイ間の路線については、PJA NEWSでも以下の通り過去記事で掲載しています。
PJA NEWS)タイ高速鉄道で唯一実現性の高いEEC路線、政治と現実に隔たり (2018年11月1日)
https://pattayaja.com/2018/11/01/759/
日本とのバンコク~チェンマイを結ぶ総延長約700キロの路線も同様に、ローカルエリアへの路線であり、事業としては巨額の赤字が見込まれている事から、日本政府もタイ政府が求める共同出資には難色を示し交渉は難航した。
2018年2月7日、日本とタイの協議の場で、日本政府はタイ政府が求める合弁事業としての共同出資を断り、低利融資での貸付とする案を提案した。これがタイ現地では、日本が共同出資を断ったという点が報道されて反響を呼び、日本もバンコク~チェンマイ間の高速鉄道(新幹線)計画から手を引いていくのではないかという論調がタイ現地で見られた。
このバンコク~チェンマイ間の高速鉄道建設については、その後もタイ政府は、見込まれる赤字の大きさを考えると日本が一緒に出資する形でないと実現は難しいとして、再三にわたり日本側に共同出資を提案していた。
先月の2018年10月19日にはタイのアーコム運輸大臣が訪日し、日本の国土交通省の石井大臣に表敬訪問していたが、タイの現地報道によると、この来日の折もタイ政府は日本政府に共同出資を求めたものの、日本側は難色を示していたとされる。これにより、日本と計画しているバンコク~チェンマイ間の路線の先行きも不透明となっている。
上記の通り長らく紆余曲折を経てきましたが、この路線も、本日の報道によると進める事は極めて難しくなりました。
しかしながら9月20日に行われた経済大臣会議では以下の既報の通り、Anutin副首相によると、プラユット首相がEEC路線について加速するよう指示したという事ですから、このEEC路線については、引き続き注目が集まります。
PJA NEWS)タイ高速鉄道)どうなるEEC路線!?10月15日までの契約期限を通告 (2019年9月24日)
https://pattayaja.com/2019/09/24/6579/
Anutin副首相は、タイ高速鉄道の本路線は、政府のEEC計画において重要な要素であり、この高速鉄道が実現しなければ、EEC計画は実現しないと強調しました。
また、タイ政府は問題が起きても支援をする用意が出来ており、先週の2019年9月20日の経済大臣会議で、プラユット首相も本計画を加速するよう指示した事を語りました。
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