2020年3月20日 PJA NEWS)
タイ)日本人は出ていけ、刺身には菌!理解を求め梨田大使が手紙
中国の武漢から広まっている新型コロナウイルスの「武漢ウイルス」が蔓延する中、タイでは日本人に対しても、「日本人は帰れ」と言われたり、「日本の刺身には菌がついている」という噂が広まったりするなど、風評被害というべき事案も頻発しています。
この状況を受けて、在タイ日本国大使館の梨田大使が、タイ国民の皆様に理解を求める手紙を書きました。
この手紙は2020年3月16日にタイのマティチョン紙、翌17日にデイリーメール紙に掲載されています。
PJA NEWSでは以下に、手紙の日本語版の全文を掲載します。
「日本大使からの手紙ータイの皆様は心配しないで、笑顔でいてください」
親愛なるタイの皆様へ、
本日はタイの皆様に御理解頂きたいこととお願いがあり、一筆認めました。
新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、各国とも水際対策の強化や感染拡大の防止に努めていますが、残念ながら世界的に広がりつつあります。タイにおいては、保健省を始め、国民が一丸となって対策に取り組み、これまで確認された感染者は3月11日現在53名にとどまっています。日本大使として、こうしたタイ政府の取り組みと国民の努力に心から敬意を表します。一方、日本での感染者は、3月11日現在543名ですが、安倍晋三総理自身がリーダーシップを発揮し、感染拡大予防の観点から具体的な措置を機動的に取っており、現時点では大規模な感染拡大が認められる地域はありません。
こうした状況下、先日、新しいタイ保健省布告により、日本が危険感染症地域に指定されたとの誤った報道が一部で流れました。当地に滞在する日本人として、こうした誤情報により日本人が風評被害を受けることをとても懸念しています。実際、新型コロナウイルスを巡っては、これまでも当地日本人から当館に対し、(1)日本人代表がタイの取引先の会社に行った際に日本人は帰れと言われた、(2)日本人だという理由だけでホテルをキャンセルされたり、タクシーの乗車拒否をされた、(3)日本の刺身には菌が付いているとの噂が広まっているなどといった報告が寄せられています。もちろん、これらは限定的と思いますが、いずれもタイに強い好意を持っている在留邦人からの言葉だけに、とても複雑で、心が痛む思いです。
実際には、当地に居住する日本人や日本人旅行者は、タイ保健省の指導に従い、細心の注意を払って感染予防に取り組んでいます。私自身、当館の職員が日本から戻ってきた場合には14日間の自宅勤務を指示していますし、大半の日本企業や日本人学校でも右を実践しています。
「まさかのときの友こそ真の友」という言葉があります。日本とタイの600年にわたる長い交流の歴史、伝統的な友好関係を通じて、私はタイの皆様が日本の「真の友人」であると確信しています。タイの皆様におかれては、医学的、科学的根拠に乏しい風評に惑わされることなく、いつもの大らかな心と優しいほほ笑みで、これまでと同じように日本人に接して頂けるように、心からの御理解と御支援をお願い致します。
タイ、マティチョン紙掲載
梨田大使からの手紙)
今回の武漢ウイルスの蔓延のような非常事態に陥ると、誰でも不安にもなりますし、風評被害や差別的な話が出てくる事もあります。これはもちろんタイや日本に限ったものではなく、被害の大きい欧州などではアジア人への差別や暴行事件も頻発するようになっています。
そんな時だからこそ、お互いに冷静になり、きちんと理解をして信頼をすることが大切なのだということを、伝えてくれる手紙です。この手紙を見て、筆者はダライ・ラマの以下の言葉を思い出しました。
私たちは社会的な生き物だということを忘れてはいけません。
社会的な生き物には真の協力が必要です。
信頼し、友情を感じるからこそ協力できる。信頼、愛情、誠意を持って協力することです。
ダライ・ラマ14世(*)
私たち日本人も、冷静につとめて、理解と信頼を大切にしないといけません。
(*)ダライ・ラマ14世(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%9E14%E4%B8%96
(ダウンロード用) <PJA NEWSのサーバーからのダウンロードとなります>
2020年3月16日:マティチョン紙掲載版
20200316_matichon2020年3月17日:デイリーメール紙掲載版
20200317_dailynews
※新型コロナの名称「武漢ウイルス」について
現在、新型コロナの一般的な名称について、米国側は「武漢ウイルス」、中国共産党政府は、影響力の大きいWHOが推奨する「COVID-19」を使っています。
PJA NEWS)新型名称は「武漢ウイルス」か「COVID-19」か?米中せめぎ合い
https://pattayaja.com/2020/03/16/9251/PJA NEWSでは現在、PJA NEWSが引用翻訳している部分を除く、PJA NEWS自身の執筆部分において、米国側の「武漢ウイルス」の表記を採用しています。
そのため引用している他紙報道や政府発表等が、米国側の表記を使っているわけではありません。
※PJAニュースは、パタヤの有力メディアであるThe Pattaya Newsの公式パートナーとして日本語版を配信しています。
本ニュースの元記事のタイ語版、英語版等は、以下でご覧下さい。
The Pattaya News(英語版)
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