2020年6月28日 PJA NEWS)
タイ)国立カセサート大学、偽「臨時講師」の日本人に注意!日本で資金集めも
2020年6月20日、タイの国立大学の名門カセサート大学のバンケン校人文学部東洋言語学科日本語学科が、公式のFacebookで、ある日本人がカセサート大学の「臨時講師」だと肩書きを語り、Twitterでも書き込んでいた問題について以下のとおり発表を行いました。
以下は、実際に同カセサート大学日本語学科が公式Facebookに掲載した発表文です。
発表されているタイ語の日本語仮訳は以下の通りです。
本学科の「非常勤講師」であることをTwitterに書き込んだ者について
カセサート大学バンケン校人文学部東洋言語学科日本語学科発表
本校日本語学科は、Twitter添付画像の日本人について、本校は認知していません。
一緒に写っている元本校日本人講師は、現在は本校に所属していません。
この日本人講師と、添付画像の日本人が一緒に写っている写真をオンラインメディアにて確認していますが、その上でカセサート大学バンケン校人文学部日本語学科の
タイ人教師全員は、オンラインメディアにあるこの日本人と全く面識がなく、この人物は一切当校とは関係がなく、この者を非常勤講師として招いたことは断じてありません。上記の問題に加えてその日本人が学科の日本人教師と写真を撮ったことについては、その者は実際に学科の教師だったが、すでに退職しており確認できません。
そして、彼が働いている間、その教師がこの者を勝手に講師として招待したことは当校とは関係なく、自分自身が担当したクラスに個人的な招待だと考えます。
本学科の許可はありませんでした。
本学科の非常勤講師として実際に招待する場合は、教育課程の教師の委員会の承認を得て、人文学部長に代わって招待状を発行する必要があります。しかしながら本学科は、この日本人を学科の非常勤講師にすることを承認したことありせん。よって本学科は、当該日本人および元日本人非常勤講師教師の行動には、関与または責任を負いません。
カセサート大学
バンケン校人文学部東洋言語学科日本語学科
この発表、同カセサート大学の「臨時講師」だという肩書を、ある日本人が書き込んで問題となっている事を受けての発表です。
タイの国立大学が、このような発表を行う事は非常に稀です。
PJA NEWSではカセサート大学の同学科の関係者に取材しました。
カセサート大学側は、国立大学の名前が「臨時講師」としてある日本人が使っている問題を受けて内部調査をし、「臨時講師」なんて肩書を与えた事もないし、そもそも同大学とも一切関係もない事を確認して、これによる被害が広がらないように注意喚起として掲載したということです。今後の対応については現在、大学内で検討中ということでした。
タイの国立大学が注意喚起の発表まで行っている、日本人による本問題。
この問題について、PJA NEWSではタイの弁護士に取材しました。
弁護士が指摘「虚偽の肩書で日本で「資金集め」、タイで重罪の可能性」
タイの弁護士は本件について、タイでは特に国立大学など、国の機関や大学の肩書などで虚偽を語る事は、相当に重罪となる可能性があると指摘しています。
タイは王国であり、例えば公務員や警察、国立大学などの国立機関などは「国のもの」、つまり王様のものである事から、その肩書を虚偽で語る行為は重い罪で罰せられるべきという考えで、法律で定められているためです。この点は、日本の法律とは大きく異なります。
本問題について、タイの弁護士はPJA NEWSの取材に次のように語っています。
「本件は、カセサート大学としては被害届や告訴状を刑事事件として警察に出すことができます。
タイで、このような発表を名門大学が行う事は極めて稀であり、社会的な影響力も大きいため、警察に報告や相談があれば、警察としては動きたい案件となるのではないでしょうか。本件で、虚偽の大学の「臨時講師」の肩書を語っていた日本人は、この肩書をインターネットに掲載しながら、日本のクラウドファンディングを利用して一般の人から「資金集め」をして、金銭を集めていました。
それを考えると、タイで実際に刑事事件化する場合には捜査機関としては、国立大学の名前を無断で悪用していたという事実だけでなく、それを悪用して、日本のクラウドファンディングで資金を集めていた、詐欺罪の容疑の方が事件化しやすいのではないでしょうか。」
弁護士の指摘する通り、この虚偽の肩書を使っていた日本人は、日本の株式会社CAMPFIRE(キャンプファイヤー)が提供するクラウドファンディングで資金集めを実施していました。それを考えると、詐欺罪を構成する可能性があるのではないかという指摘です。
タイの刑事裁判においては、PJA NEWSでは何度か書いていますが、タイの刑事裁判では日本と異なり「包括一罪」として罪数が数えられる事はありません。
そのため、例えば詐欺罪のように、被害者が多数いる事が多い事件の刑事裁判においては、その懲役刑の量刑は被害者数に比例して大きくなるため、非常に重い罪となりえるのです。
具体的には、タイの弁護士によると詐欺罪で被害金額が一定以下であれば、タイの刑法146条によって懲役は最大1年、罰金は最大2万バーツで、その片方ないし両方の範囲内で判決が下るのですが、被害者が一定数以上いる場合、その懲役刑は被害者数に比例して長くなり、10人いれば懲役は最大10年、100人いれば懲役は最大100年になるのです。
そのため、例えば以下のタイ大手英字メディアのバンコクポストでも報道されている通り、今月も詐欺罪に問われたバンコクのシーフードレストランを経営するタイ人の男の刑事裁判の判決では、懲役1446年という判決も出ています。
BangkokPost)Seafood restaurant execs get 1,446 years for cheating(2020年6月10日)
BangkokPost)シーフードレストラン経営者に、詐欺罪で懲役1446年
https://www.bangkokpost.com/thailand/general/1932584/seafood-restaurant-execs-get-1-446-years-for-cheating
もっとも、刑事裁判の判決でこのような長期の懲役刑が下っても、実際にはタイでは刑務所に収容できる期限があるため、実際に刑務所に入る期間は現実的な年数となります。
このように、タイの弁護士が指摘する通り、日本のクラウドファンディングで資金が集められていた点により、このような虚偽の肩書を語る日本人はタイで重罪となる可能性があります。
この問題について、PJA NEWSではクラウドファンディングで同資金集めを行っていた日本の株式会社CAMPFIRE(キャンプファイヤー)に取材しました。取材した所、同社はまさかこんなことにクラウドファンディングが使われているとは思っていなかったようで、取材への対応もとても良いものでした。
同社はPJA NEWSの取材に、本件については募集期間は終了したものの、幸いにもこの日本人への入金はまだされていないため、一度これを停止して事実確認・調査を進める事を語っています。また、同社は本件に関わらずに、リスク回避ができるよう体制の強化は必至であり、検知・審査のスキームを強化している事を語っています。
このように、クラウドファンディングの運営会社も現在、対応をしている所にあります。
日本人が、タイの国立大学であるカセサート大学の肩書を虚偽で使った本事件。
カセサート大学も被害が広がらないように公式発表をした事で、大きな騒動となっています。
今後の展開の推移に注目が集まっています。
タイの国立カセサート大学は、以下記事でもお伝えしましたが、PJAでもペットを飼っている多くの人がお世話になっている、とても良心的で高度な治療をしてくれる、大規模な大学の動物病院も運営されている大学です。
パタヤ)ビーチや海が非常に綺麗に!20年ぶりの綺麗さ カセサート大教授
https://pattayaja.com/2020/06/23/12369/
そのカセサート大学の肩書を、日本人が虚偽で語って資金集めをしていたとは、なんとも恥ずかしい日本人の問題で、日本人としては申し訳ない思いとなる問題です。
PJA NEWSでは引き続き取材を続けています。
※カセサート大学バンケン校人文学部東洋言語学科日本語学科の公式Facebookページ
https://www.facebook.com/kasetjapanese/
※PJAニュースは、パタヤの有力メディアであるThe Pattaya Newsの公式パートナーとして日本語版を配信しています。
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