2020年9月23日 PJA NEWS)

タイ)米財務省資料のマネロン疑惑、”行方不明多数”の日系デベ物件に注目

以下の、タイのバンコクで、コンドミニアム(マンション)を購入したはずの日本人多数が「行方がわからなくなった」という騒動が起きている事件に続報です。

タイ)コンド購入者の日本人多数が行方不明!?「日本の警察の方に伝えて」
https://pattayaja.com/2020/06/27/12486/

この騒動、2016年頃から聞かれていたものです。

現在、このタイのデベロッパーは日本の大手の上場する不動産デベロッパーと「ジョイントベンチャー」だとし、この日本の不動産デベロッパーが資金供与をしながら、バンコクでコンドミニアム物件の開発を行い一般向けに販売を続けています。

詳細は、以下の前回記事をご覧下さい。(以下はLine News配信版です)

Line News配信版(2020年6月27日)
https://news.line.me/articles/oa-rp11418/3b8e25f0ae57

米国財務省資料によるマネロン疑惑に世界的な反響

※本ニュースについては、本日の2020年9月23日朝に日本のタブロ版にも同趣旨の内容を掲載し、日本のLine Newsをはじめ各ニュースポータル、ニュースに配信されています。

(タブロ版) https://tablo.jp/archives/31667
(楽天インフォシーク版) https://news.infoseek.co.jp/article/knuckles_31667/

一昨日の日本時間の2020年9月21日午前2時、米国で財務省の金融犯罪取締局が、金融機関などから「マネーロンダリングなど疑わしい取引」の通報をまとめた内部文書、いわゆる「フィンセン文書」を、米国のバズフィードニュースが入手、これをICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合:International Consortium of Investigative Journalists)が分析を進めており、世界的なマネーローダリングが行われていた疑惑となっている事の報道が各国で一斉に始まりました。

この報道は日本でも各メディアが一斉に報じています。
アメリカでは各メディアの報道を受け金融機関の信頼に嫌気がさしたためとして、同日の21日にNYダウが一時940ドル安の急落をするほどの反響となっています。

このICIJの分析に、日本からは共同通信と朝日新聞が分析や取材を進めていました。朝日新聞は、このフィンセン文書には約40の日本の企業、個人の取引が含まれている事を伝えています。

以下は、その朝日新聞の報道です。

朝日新聞DIGITAL)世界の大手銀行使ってマネロンか フィンセン文書を調査(2020年9月21日)
https://www.asahi.com/articles/ASN9N7DKGN9HUHBI02R.html

世界各地での麻薬犯罪や汚職などに絡む資金洗浄(マネーロンダリング=マネロン)を示唆する米政府の内部文書を米バズフィードニュースが入手し、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が分析、調査した。世界有数の金融機関が、犯罪行為による資金の出どころを隠すため送金するマネロンに利用されている可能性が浮かび上がった。

「疑わしい取引」は、1999年から2017年までで、総額約2兆ドル(現在の円換算で約209兆円)にのぼる。これほど大規模に資金の流れが明らかになるのは初めてだ。政治家や犯罪者らが違法な資金を世界の主要金融機関の口座を使ってペーパー会社に送金するなどしていた可能性が示された。

 「フィンセン文書」は、トランプ大統領が勝利した16年の米大統領選にロシアが介入したとされる「ロシア疑惑」の捜査の過程で、米議会や捜査を指揮したマラー特別検察官(当時)が米財務省に求めた電子ファイルの一部。そのなかに、ロシア疑惑とは関係のない疑わしい取引情報も大量に含まれていた。

 分析と取材には、日本からは朝日新聞と共同通信が昨年6月から参加し、今年8月からファイルに登場する企業や個人への取材を進めていた。

世界的なマネロン問題で、バンコクで販売中の「日本人多数が行方不明」物件問題に注目

世界的なマネロン疑惑が大きな反響を呼ぶ中で、以下記事でお伝えしているタイのバンコクで、数十人の日本人購入者が忽然と姿を消しているコンドミニアムと、その開発デベロッパーにも大きな注目が集まっています。

(Line News配信版)
タイで不動産を購入した大量の日本人が行方不明に… 「ぜひ日本の警察の方に伝えて!」 (2020年6月27日)
https://news.line.me/articles/oa-rp11418/3b8e25f0ae57

(Tablo配信版)
https://tablo.jp/archives/26066

現在、タイのバンコクでは日本の大手上場不動産デベロッパーが「ジョイントベンチャー」だとしてバンコクでの不動産開発をしており、現在も一般への販売を行っています。

この日本の大手上場不動産デベロッパー。前回記事で記載の通り、これまでに記事内容の通知を経営陣全員への取材で昨年末までに受けており、これを知りながらも開発を続け、資金供与をしていると見られていることから注目が高まっています。記事についての問い合わせも増加しています。

このようにして注目を浴びる、日本人多数が「行方不明」扱いをされ、マネロン疑惑ともなっている本問題。

日本では、このような問題を警察に行っても、警察としてはなかなか大人の「行方不明者」がいても、家族でもない限りは、行方は追いにくいという事情があります。成人した大人が自分の意思でどこかへ失踪しているだけなら、警察がその人が容疑者の事件でもないのに、その人を追ってしまって良いのか?という論点となるからです。

かといって、では当局が成人の「行方不明」事件の疑惑でなく、例えば「脱税」疑惑という切り口で考えたとしても、そうなると日本で管轄する当局は警察ではなく国税と検察となるため、これも組織が異なるため、簡単なものではありません。

このように、日本では捜査当局がなかなか気づきにくい、もしくは動きにくい事を利用して、日本の闇資金のロンダリングの疑惑が起きているとも言えます。

尚、今回の米国財務省の金融犯罪取締局(フィンセン)の事件でも多く指摘されている通り、そもそも不動産デベロッパーが暴力団関係者の排除を十分にしていないと判断されれば、米国財務省などからはマネーロンダリング疑惑により司法的な制裁対象となりうるものです。

これについてPJA NEWSではこれまでの記事でも、米国財務省の担当官の姿勢がわかるコメントを次の通り紹介しています。

米国財務省「ヤクザの性的搾取、武器密輸、ゆすりなどあらゆる犯罪を阻止」

アメリカでは2011年7月、当時のオバマ大統領が国際的な組織犯罪への対策を強化する「国際的組織犯罪に対する戦略」を発表し、国境を越えた犯罪組織の撲滅を狙う大統領令を出しており、これを受けてアメリカの財務省は、暴力団関係と関わった会社には経済制裁を発動しています。当然ながら、この経済制裁はタイを含めたアメリカ国外での問題でも同様に発動され、この経済制裁を受けると、その企業や個人は、米国内の法人、個人との取引が禁止され、さらに米国内の資産も凍結されるという、非常に厳しい制裁を米国財務省から受けます。

2018年10月2日、アメリカの財務省がマネーロンダリングなどにかかわったとして、日本の指定暴力団山口組の幹部4人と関連の不動産会社2社を経済制裁の対象にすると発表しました。その発表の際にアメリカの財務省が出した声明文が、アメリカの財務省とアメリカ政府の姿勢を良く表しています。

「我々はヤクザが管理する企業に狙いを定め、合法的に見える企業の実際の所有権を明らかにしている。
性的搾取から武器密輸、ゆすりなどあらゆる犯罪で(利益を)得ている日本の危険な犯罪組織と幹部らに圧力を強める」

このような国際的な問題を扱う案件の際に、特に米国の当局担当官の方々の国際的な問題に対する意識の高さには、本当に敬服する思いがします。

このような各国の情勢の中で、海外に不動産投資という危険性の高い投資をする以上、日本の不動産デベロッパー各社は目先の株価や資産分散のメリットを追い求めるだけではなく、株主のためにも、その日本企業を信用してくれている多くの法人や個人のためにも、国際社会に貢献するためにも、高い倫理観が求められている事をしっかりと自覚しなければいけません。

PJA NEWSでは本件の取材を進めており、今後続報の予定です。

※本ニュースについては、本日の2020年9月23日朝に日本でタブロ版で配信しています。

(タブロ版) https://tablo.jp/archives/31667
(楽天インフォシーク版) https://news.infoseek.co.jp/article/knuckles_31667/

※本件についての問い合わせ先
当局の方などからのPJA NEWSへのお問い合わせは、以下のPJA NEWS編集部のメールアドレスへ御連絡をお願いします。

本件についての問い合わせの際は、タイトルに「バンコクの日本人多数が行方不明扱いの件」と明記の上で御連絡下さい。
pjanews@pattayaja.com

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※新型コロナの名称「武漢ウイルス」について

現在、新型コロナの一般的な名称について、米国側は「武漢ウイルス」、中国共産党政府は、影響力の大きいWHOが推奨する「COVID-19」を使っています。

PJA NEWS)新型名称は「武漢ウイルス」か「COVID-19」か?米中せめぎ合い
https://pattayaja.com/2020/03/16/9251/

PJA NEWSでは現在、PJA NEWSが引用翻訳している部分を除く、PJA NEWS自身の執筆部分において、米国側の「武漢ウイルス」の表記を採用しています。

そのため引用している他紙報道や政府発表等が、米国側の表記を使っているわけではありません。

※PJAニュースは、パタヤの有力メディアであるThe Pattaya Newsの公式パートナーとして日本語版を配信しています。

The Pattaya News(英語版)The Pattaya News(タイ語版)

 

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