2019年10月25日 PJA NEWS)

タイ高速鉄道)EEC路線をCP連合が契約!2023年の開通を目指す

以下の、タイ高速鉄道のうち、バンコクのドンムアン空港~スワンナプーム空港~ラヨーン空港の3空港を結ぶ”EEC路線”に続報です。

タイ高速鉄道)どうなるEEC路線!?契約期限延長、副首相が不満 (2019年10月13日)
https://pattayaja.com/2019/10/13/7012/

契約の最終期限として延期されていた日の前日となる2019年10月24日、CPグループが率いる企業連合は、落札金額で契約を締結する事に合意した事が発表されました。

タイの大手英字メディアのBangkok Postが次のように伝えています。

Bangkok Post)CP-led consortium signs three-airports train contract (2019年10月24日)
Bangkok Post)CP率いる企業連合、3空港を結ぶ高速鉄道路線の契約を締結
https://www.bangkokpost.com/business/1779144/cp-led-consortium-signs-three-airports-train-contract

(高速鉄道イメージ
本文とは関係ありません)

報道によると、2019年10月24日にタイの大手財閥であるCPグループが率いる企業連合は、3空港を結ぶタイの高速鉄道路線の建設契約に合意し、署名しました。

同日、タイ政府庁舎においてCPグループのSuphachai Chearavanont最高経営責任者と、SRT(タイ国鉄)のWorawut Mala総裁が契約に署名、プラユット首相はじめタイ政府首脳が見守る中で署名が行われ、契約が締結されました。

CPグループ率いるコンソーシアムは10月25日が最終期限と通告されており、これまでに契約ができなければ政府関連の案件からブラックリストに入れられる、さらに政府から保証金の没収や、損害賠償を請求されるという状況の中で、期限までに契約を間に合わせた形となりました。

この路線は、バンコクのドンムアン空港、スワンナプーム空港、ラヨーンの空港の3空港を結ぶ、投資額2240億バーツ、総延長約220kmの路線で、この間を最大時速250kmの高速列車で結ぶ計画です。タイ政府は、この路線をEEC計画の目玉と位置付けています。

タイ政府は24日の契約の際に、2023年の開通を目指しており、路線沿線の発展を期待している事を語りました。

CPグループのSuphachai最高経営責任者は、契約締結後12~24か月のうちに着工し、5年以内の開通をさせる事を語りました。
加えて、路線の駅、ショッピングモール、ホテル、コンベンションセンター、鉄道のリサーチセンターを含む複合施設をバンコクのダウンタウンに約1400億バーツの費用をかけて開発する事を語りました。

この高速鉄道路線の開発において、請け負った企業は今後50年間にわたり高速鉄道システムを開発、運用し、バンコクマッカサンの150ライの土地、チョンブリ県のシラチャの100ライの土地を商業地として開発します。

CPグループが率いるコンソーシアムは、主にCPグループとBangkok Expressway and Metro Plc、中国鉄道建設公司、Ch Karnchang、イタリア – タイ建設Plcなどで構成されています。

報道されている概要は、上記の通りです。

(高速鉄道イメージ
本文とは関係ありません)

長らく交渉が続いており、CPグループ率いるコンソーシアムはタイ政府に最終期限を2度設定される、期限内に契約に至らなければブラックリスト入りや保証金の没収、損害賠償までされるという条件が付けられるなどありましたが、期限ギリギリで契約が締結されたことが報じられています。

ただ、上記のBangkok Postの報道では、CPグループの契約締結のみが報じられており、融資など資金調達については書かれていません。そのため、これまでの報道の通り日本の政策金融機関であるJBIC(日本国際協力銀行)が融資を決定したのか、融資規模はいくらが決定したのかなどは、この報道だけではまだわかりません。

タイ高速鉄道EEC路線、日本から見たポイント

PJAニュースでは以下の過去記事の通り、タイ高速鉄道の中で実現性が高い本”EEC路線”は、政治主導で日中協力事業となった事で、今後どうなるか推移に注目が集まっていました。

PJAニュース過去記事)タイ高速鉄道で唯一実現性の高いEEC路線、政治と現実に隔たり (2018年11月1日)
https://pattayaja.com/2018/11/01/pja-news%E3%82%BF%E3%82%A4%E9%AB%98%E9%80%9F%E9%89%84%E9%81%9

本路線は現状、中国政府が「一帯一路」の一環だと発表しており、日本政府はこれを否定している最中にあります。

PJAニュース過去記事)中国政府「タイでの日中協力事業は一帯一路の一環」日本政府は否定(2019年3月9日)
https://pattayaja.com/2019/03/09/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E6%94%BF%E5%BA

本路線について、CPグループ率いるコンソーシアムが落札し、ついに契約も締結されました。
しかしながら、このCPグループ率いるコンソーシアムは、主にCPグループとBangkok Expressway and Metro Plc、中国鉄道建設公司、Ch Karnchang、イタリア – タイ建設Plcなどで構成されており、
主要な参加企業はタイと中国の企業です。

この路線を現在、中国政府が「一帯一路」の一環だと発表しているわけですから、日本人としてはEECエリアの発展は嬉しいものの、この路線を建設するのに、これまでの報道の通り日本の政策金融機関であるJBIC(日本国際協力銀行)が、仮に2,240憶バーツ(*)という大規模な融資をして開発するなら、中国政府に「一帯一路」の一環だと位置付けられたままで実施するのではなく、タイと日本の協力の為のプロジェクトとして実施して欲しいと思います。

(*)融資規模については、タイのソムキット副首相のコメントとして以下記事で報道されているものを引用しました。

(2019年3月7日 タイ首相官邸にて
日本の国際協力銀行(JBIC)の前田匡史総裁訪問
写真:タイ首相官邸)

加えて、資金を日本の政策金融機関であるJBIC(日本国際協力銀行)が出したとしても、落札したのは中国やタイ企業が中心のCPグループのコンソーシアム、さらに土地の収用が問題で、そこではタイの汚職問題が蔓延しているわけですから、このJBICが融資した巨額な日本からの資金が適切に使われるのか、日本のJBICの権利が投資後も本当に守られるのか、日本側には疑問が残ります。

以下の既報の通り、タイ政府や日本の当局は、このようなタイの汚職問題の蔓延の取り締まりを行っている最中にあります。
日本側から見ると、このような摘発がきちんと行われて問題が改善され、日本からの投資が適切に行える環境となるのか、これを見ながら判断をすることが求められています。

PJA NEWS)タイ)PACC、レイモンランド開発のUnixxでの贈収賄疑惑を捜査
https://pattayaja.com/2019/09/13/6358/

PJA NEWS)タイ)省庁の公職を贈賄で取引、タイ汚職防止機構ACTの事務局長が告発
https://pattayaja.com/2019/09/23/6541/

PJA NEWS)タイ公務員への贈賄で日本で有罪判決 日本版司法取引第一号
https://pattayaja.com/2019/09/15/6388/

タイ高速鉄道のEEC路線、ついに契約の締結が報じられた本路線の今後の展開に、注目が集まっています。

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