2020年8月12日 PJA NEWS)
バンコク)Grab本社前で、ドライバー500人以上が抗議!社会問題に
以下の、パタヤでもGrabのドライバーが100人以上集まり、待遇の改善を求めてストライキを実施しているGrab問題のニュースに続報です。
続報:パタヤ)Grabドライバー100人以上がストライキ!遅延、未配が頻発(2020年8月6日)
https://pattayaja.com/2020/08/06/13349/
昨日2020年8月11日、タイの首都バンコクでもGrab本社前に、Grabのドライバーが500人以上集まり、Grab社の不当な行為に抗議の声を上げました。
パタヤ現地メディアのThePattayaNewsが伝えています。
(※写真はパタヤでのストライキの模様です。
2020年8月5日午後
パタヤのBigCサウスパタヤ店裏で
ストライキを行うGrabドライバー
写真:ThePattayaNews報道)
昨日の2020年8月11日の午前10時頃から、Grab本社の入るバンコクのThanaphumタワー前に、500人以上のGrabドライバーが集まり、Grab社によるドライバーへの不当で不公正な様々な行為について抗議の声を上げました。
抗議の声を上げているドライバーたちによると、彼らはGrab社のドライバーとして働いている間、Grab社から不当で、労働者の事を顧みない対応をされたと訴えており、Grab社に至急改善をするよう要求しています。
具体的には、GrabのドライバーたちはGrab社のジャケットや配達用のカゴを強制的に購入させられるなどしており、また事故の際も、ドライバーに十分な保険もなく、福利厚生も不十分で、従業員の命を顧みない姿勢でいるとして、Grab社への抗議が行われています。
抗議者のGrabドライバーのPornthep Chatchawanamornkulさんはメディアに、Grab社は問題となっている事について可及的速やかに改善をしてほしいと語っています。
本社前での抗議が始まってから約一時間後、Grab社は役員名で、この抗議の声を正式に書面で受け取り、今後7~10日の間に対応をすることを約束したということです。
報道されている概要は上記の通りです。
Grab社によるGrabドライバーへの対応の酷さを受けて、これに抗議するストライキや抗議は昨年から長く行われているもので、パタヤでも以下の過去記事などの通り発生しています。
パタヤ)Grabドライバー150人以上がストライキ!待遇改善求め (2019年11月19日)
https://pattayaja.com/2019/11/19/7623/
続報:パタヤ)Grabのタクシーがストライキ続行! (2019年11月24日)
https://pattayaja.com/2019/11/24/7692/
今月も冒頭の前回記事の通りパタヤでは8月5日午後に、Grabのドライバーたち100人以上が集まり、武漢ウイルスの影響でデリバリーの業務は多忙になっているが、収入が伸びておらず、これでは生活できないとして、報酬の増額を求めています。ドライバーたちは具体的には、一回につき30バーツの報酬を35バーツに増額するよう要求しています。
Grab社はこれまで、増額ではなく、別の特典の提供などをしてきましたが、この特典は使いづらく、ドライバー達は報酬の増額を求めてストライキをしています。
(2020年8月5日午後
パタヤのBigCサウスパタヤ店裏で
ストライキを行うGrabドライバー
写真:ThePattayaNews報道)
また、ドライバーたちは武漢ウイルスの影響で、生活コストも高くなっており、しかも皆が減収する中ではチップをくれる利用者も激減しており、現在の収入では家族をまともに養うことができないと訴えています。
PJA NEWSでも以下の過去記事などでお伝えしている通り、インターネット上でのマッチングでサービスを行うGrab社は、労働力も極端に安い金額で購入しようとする傾向があり、これにより従業員(契約者)の報酬が異常に安くなり生活ができなくなる、また簡単にGrabのドライバーとなれる事で、窃盗や強盗、強姦といった犯罪が誘発されるといった問題のリスクが高まり治安問題が起きてしまっている事を伝えてきました。
パタヤ)Grabドライバー150人以上がストライキ!待遇改善求め
https://pattayaja.com/2019/11/19/7623/
さらに、タイではGrabのようなネットのサービスにより低価格でサービス提供がされる一方で、許認可で管理されているバイクタクシーの仕事を、Grabドライバーが無免許で奪っているとして騒動も頻発しています。
バンコク)Grabバイタクに、地元バイタクが大喧嘩!衝撃動画が話題に(動画付き)
https://pattayaja.com/2020/03/03/8921/
(2019年11月26日夜
PJA事務局前
Grabとバイタクのドライバーの大喧嘩現場
写真:The Pattaya News)
昨日からのバンコクでの500人以上のGrabドライバーによるストライキも、ドライバーの待遇改善を求めているものです。
ネットで”労働力の最安値”が探される時代、抗議の在り方の変容
貧富の格差が巨大になった18~19世紀ごろの欧米では、工場などで働く従業員が団結してストライキなどを行い、待遇改善を求める事は有効な方法でした。
しかしながら現在のGrabのように、労働力もインターネットで「最安値」を探して契約するビジネスモデルになると、ストライキを数百人がしても、他の誰かがストライキに参加しないで契約してしまえば、Grab社としては労働者の入れ替えをするだけで良くなるため、かつての18~19世紀の労働争議のような効果は期待できないかもしれません。
このようなストライキや抗議が現代に、どのように効果を発揮するのか、注目が集まりそうです。
PJA NEWSでは、以下を再掲します。
Grabのような格差の行きすぎに思う、社会的な視点も含めた改善の必要性
かつて18世紀~19世紀は、貧富の格差の行きすぎや搾取の酷さを、労働組合の結成と団結しての戦い、そして民意を受けた国が社会主義的な手法も入れることなどで、改善がされてきました。
この頃には、それを改善するために尽力する経済学者としてマーシャルやケインズも現れ、新たな経済理論も多く提唱され、経済学も社会に貢献するために大きな発展を遂げました。
PJA NEWSの過去記事でも、マーシャル(アルフレッド・マーシャル)について以下記事などで紹介してきました。
現代のIMF(International Monetary Fund, 国際通貨基金)などが設立されたのも、マーシャルの教え子であるケインズや、ハリーホワイトの功績によるものです。
筆者は、卒業した大学が商学、経済学などを専門とする一橋大学だった事もあり、経済学は学生時代には基本的な概要ぐらいは勉強してきました。
その勉強をした折に、しみじみと思った事ですが、こういう格差が酷くなり、可哀そうな人が多くなってしまう時代には、経済学も哲学というべき側面が強くなり、行きすぎた搾取や貧富の差に苦しむ人を助けたいと思う人の気持ちが集まって、経済学は大きな改善と進歩がされてきたのです。それは、過去の経済学の進化の歴史が表しています。
現代において、新たなツールも使った事で、また行きすぎてしまっていると感じられる資本主義と格差の酷さは、タイに限らず各国において、どうやって社会的な視点で改善するかを考えないといけない状況にあるのではないかとも思います。
そんな事を考えると思い出す、ケインズが晩年近くに語った言葉があります。
ケインズは常々、経済学は哲学であると語っていました。そのケインズが弟子たちに語った言葉です。
「その時代の中心となっている経済学がすでに役に立たないとはっきりしたのならば、その時こそ君たちがあらたに有益な経済学を打ち立てなさい。
既存の経済学が、どんなに権威ある経済学者のものでも決して恐れるな。相手がたとえアダム・スミスであれ、カール・マルクスであれ、このジョン・メイナード・ケインズであれだ。」
(ジョン・メイナード・ケインズ:Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BA現代においては、既存の経済学を打ち破り、社会的な平等性を確保するための経済理論も必要とされているのではないか。
このようなニュースや現実を見ていると、ケインズの言葉なども思い出して、その必要性を思わされます。
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客室例<17階パタヤ湾ビュー>)
※新型コロナの名称「武漢ウイルス」について
現在、新型コロナの一般的な名称について、米国側は「武漢ウイルス」、中国共産党政府は、影響力の大きいWHOが推奨する「COVID-19」を使っています。
PJA NEWS)新型名称は「武漢ウイルス」か「COVID-19」か?米中せめぎ合い
https://pattayaja.com/2020/03/16/9251/PJA NEWSでは現在、PJA NEWSが引用翻訳している部分を除く、PJA NEWS自身の執筆部分において、米国側の「武漢ウイルス」の表記を採用しています。
そのため引用している他紙報道や政府発表等が、米国側の表記を使っているわけではありません。
※PJAニュースは、パタヤの有力メディアであるThe Pattaya Newsの公式パートナーとして日本語版を配信しています。
The Pattaya News(英語版)The Pattaya News(タイ語版)
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