2019年10月21日 PJA NEWS)

タイ)タナトン党首と香港活動家の写真、タイ世論は「心配ない」、米は香港人権法案可決

以下の、タイの中国大使館が、タイの第三党である野党の新未来党のタナトン党首が香港の民主活動家と会った事に対し非難するコメントを発表しているニュースに続報です。

PJA NEWS)タイ)中国大使館、タナトン党首が香港民主運動家に協力と非難(2019年10月11日)
https://pattayaja.com/2019/10/21/7115/

この中国大使館のコメントについて、タイのNIDA(the National Institute for Development Administration、タイ国立開発行政研究院)がタイで世論調査を実施した所、影響を心配しないとする声が多数派となりました。

タイ大手英字メディアのBangkok Postが昨日、次のように伝えています。

Bangkok Post)Most not worried by China’s complaint about Thanathorn: poll (2019年10月20日)
Bangkok Post)NIDA世論調査で、タナトン党首への中国政府の批判に心配していない意見が多数派
https://www.bangkokpost.com/thailand/general/1776239/most-not-worried-by-chinas-complaint-about-thanathorn-poll

写真はJoshua Wong氏のFacebookより

NIDAの世論調査は10月15日~17日の3日間、18歳以上のタイ全土の様々なエリア、学歴、職業の対象者1270人に実施されました。

この調査で、上記のタナトン党首が香港の民主活動家のJoshua Wong氏との写真について、どう思うかを尋ねました。

この質問は複数を選ぶ選択式で質問されました。回答率が高い順で、以下の通りとなっています。

29.84%:一般的な、普通の写真だと思う
25.04%:Joshua Wong氏を知らないので、ノーコメント
18.11%:二人の個人的な関係を表しているだけで、タイ中関係には影響しないと思う
17.01%:タナトン党首は不適切な行動をしていると思う
12.99%:同じイデオロギーを共有する二人の問題だと思う
 6.61%:タイ中関係に影響すると思う
 4.49%:ノーコメント
 2.83%:タイ中政府の片方もしくは両方に反対する、協力関係を表していると思う
 1.73%:この写真で、中国人観光客が減少しかねないと思う
 1.65%:この写真により、中国人観光客も減少し、不幸な結果をもたらすと思う

上記の通り、複数回答式でもトップの上位3位は全て、普通の写真で影響しないと思うといった結果となり、タイ中関係を心配しないとする声が多数派で、「タナトン党首は不適切な行動をしていると思う」という声は、複数回答式で約17%、第4位にとどまっていました。

報道されている概要は上記の通りです。

上記の通り、NIDAの世論調査によるとタイ世論は本問題について、心配していないという声が多数派です。

一方、米国は下院が2019年10月15日、香港で行われている中国共産党政府の民主活動家への弾圧に対して「香港人権・民主主義法案」を可決、中国への圧力を強めています。ロイター通信が次のように報じています。

ロイター)米下院、香港人権法案を可決 対中圧力強める (2019年10月16日)
https://jp.reuters.com/article/hongkong-protests-usa-idJPKBN1WV037

米下院は15日、香港が高度な自治を維持しているかどうか米政府に毎年検証することを求める「香港人権・民主主義法案」など中国への圧力を強める4つの法案および決議案を可決した。

法案・決議案は全て、超党派の支持を得て全会一致で可決された。民主・共和両党は、中国により強固な姿勢で臨み、香港で4カ月続く抗議デモを支援することが必要だとの認識で一致した。

香港人権・民主主義法案は、香港への優遇措置継続の是非を判断するため、一国二制度に基づく高度な自治を維持しているかどうか、米国務長官に毎年検証することを義務付ける内容となっている。

また、香港警察がデモ隊に対して使う可能性のある軍用品などの輸出を禁止する法案「Protect Hong Kong Act」も可決した。

上院での採決日はまだ未定だが、法案が可決されればトランプ大統領に送付され、トランプ氏が署名すれば成立する。上院の外交関係委員会関係者は、数週間以内に上院本会議で採決されるとの見通しを示した。

さらに、香港と米国の関係に関する拘束力のない決議も可決。決議は、中国政府の香港への干渉を非難し、香港市民の抗議する権利を支援するとしている。

上記の通り、米国政府は拘束力のない決議も可決して中国共産党政府の香港への干渉を非難し、香港市民の抗議する権利を支援する事を明確にしています。

このような問題となっている中国共産党政府が、タイの中国大使館を通じて行った声明に、タイ世論の多数派は「心配ない」と考えているという世論調査結果が出て報道されています。

中国政府が大使館発表で、外国であるタイの政治家個人を非難するという行動に大きな波紋がタイ国内でも広がっていましたが、タイ世論は冷静な反応をしていると捉えるべきではないでしょうか。

中国大使館が声明で、タイのタナトン党首の行為を「きわめて誤った行為」と非難した本ニュース。

しかしながら国際感覚において、そもそも一国の大使館が、香港で抗議デモをする一般市民を弾圧している側の政府機関として、市民と写真を撮影しただけの外国の政治家個人を非難する声明を出す方が、遥かに非常識な「きわめて誤った行為」ではないでしょうか。
これを、
今や大国となった中国の在タイ大使館が公式コメントで行っているのです。

こんな中国共産党政府だからこそ、独立を求める香港の民衆が、拳銃で撃たれても、なお戦っているのがわかります。

PJA NEWSではこれまで、中国共産党政府に侵略された国の国民がどうなっているのか、それを伝えるウイグル族の記事を以下のように掲載してきました。

中国共産党政府は現在、日本に対しても尖閣諸島の領有権を主張し、沖縄や北海道などへも進出の意図が明らかな状況にありますから、以下のウイグル族の方々の姿や、香港の人々の姿は、日本人の明日の姿となるかもしれません。

PJA NEWS)中国共産党に侵略された悲惨、その告発を日本人が漫画に(漫画付き) (2019年9月9日)
https://pattayaja.com/2019/09/09/6254/

<日本語版:漫画>
「私の身に起きたこと」
https://note.mu/tomomishimizu/n/nfd4c33d0fcdf

PJA NEWS)”中国に消された”国の実情を漫画に!「その國の名を誰も言わない」 (2019年9月23日)
https://pattayaja.com/2019/09/23/6560/

「その國の名を誰も言わない」
作:清水ともみ

困っていると知りながら

助けを求められるのを待っている人間は

助けを断るのと同じくらい冷酷である。

ダンテ・アリギエーリ(*)

イタリアで最も偉大と評価されるダンテ・アリギエーリの言葉です。
この言葉の意味を考えさせられる現実が、香港でも起きています。
日本もタイも米国の同盟国です。日本だけでなくタイでも、香港の問題にどう向き合うべきか、世論の注目も集まりそうです。

(*)ダンテ・アリギエーリ
イタリア・フィレンツェ出身の哲学者であり、同時にイタリアで最も偉大と評価される詩人<1265~1321年>。
ルネッサンス文化の先駆け的存在。

ダンテの代表作といえば、多くの人が歴史の授業で習うのは代表作の叙事詩「神曲(La Divina Commedia)」で、主人公のダンテが古代ローマの詩人ウェルギリウスと共に地獄(Inferno)、煉獄(Purgatorio)、天国(Paradiso)を旅するストーリーは有名です。

ダンテの有名な作品には、他にも詩文集「新生(La Vita Nuova)」があります。

この、ダンテの代表的な初の詩文集「新生」によると、ダンテは9歳の時の1274年5月1日、春の祭りのCalendimaggio(カレンディマッジョ)に行った際に、同じ年の少女Beatrice Portinari(ベアトリーチェ・ポルティナーリ)に出会って、魂を奪われるかのような恋をしました。繰り返しますが、わずか9歳の少年の頃の話です。

それから9年後の18歳となったある日、ダンテはペアトリーチェと聖トリニタ橋のたもとで再会しました。しかし、ペアトリーチェは会釈したのみで、会話はありませんでした。それ以来、ダンテは熱病のようにベアトリーチェに恋焦がれ、これを人から隠すために別の女性への詩を送るなどしていたといいます。このような不審な行為から、ダンテは変人という風説が流れ、ペアトリーチェからは嫌われて会釈すらされないようになって、ダンテは深い失望の底に落ちたといいます。

その後、ダンテは許嫁のジェンマ・ドナーティと結婚、ペアトリーチェは銀行家と結婚して、数人の子供を持ちましたが、1290年に24歳で病死しました。

彼女の死を知ったダンテは狂乱しますが、その後は生涯をかけて詩の中にベアトリーチェを永遠の存在として賛美していく事を誓います。

そして生前のベアトリーチェの事をうたった詩をまとめて詩文集を出しました、それが「新生(La Vita Nuova)」です。

その後、生涯をかけた代表作の「神曲(La Divina Commedia)」の三篇を執筆しましたが、その中でベアトリーチェを「天国で主人公のダンテを助ける永遠の淑女」として描きました。

このように、9歳の初恋を一生をかけて詩集に入れるほどの感受性を持つ人間だからこそ、イタリア最大の詩人となったのだと思います。このような感受性があるダンテだからこそ、普遍的な言葉を多数残しています。

その言葉の一つが、上記で取り上げた言葉です。

一方で、一般人の感覚で言うと、ダンテと結婚した許嫁の奥さんのジェンマはなんだか可哀そうですから、当時の世論からすると印象は悪いでしょうね。

ただ、その感受性を持って作られた作品が後世の現代には高く評価され、イタリア最大の詩人と評価されるに至っているわけです。

(Wikipedia)ダンテ・アリギエーリ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%BB%E

(PJA NEWS過去記事)

新疆ウイグル、収容者数百人を目隠しで護送か、動画流出(動画付き)
https://pattayaja.com/2019/10/07/6890/

在日米軍、河野新防衛相と強固な日米関係を相互確認
https://pattayaja.com/2019/10/08/6916/

米トランプ大統領、今秋に訪泰へ プラユット首相の要請受け
https://pattayaja.com/2019/09/27/6639/

パタヤ)PJA、米国海軍協会サイアム会長から表敬訪問
https://pattayaja.com/2019/08/29/6061/

バンコク)Chiefs of Defense会議開催、米軍やタイ軍など33ヵ国参加
https://pattayaja.com/2019/08/27/6037/

米海軍、対中国の新型ミサイル艦をインド太平洋方面へ配備
https://pattayaja.com/2019/09/06/6187/

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