2020年6月21日 PJA NEWS)

タイ)ウタパオ空港拡張契約締結、タイ3位の空港へ 成田空港が運営協力

2020年6月19日、タイ政府のEEC(東部経済回廊)開発事務局とUAIC(U-Tapao International Aviation Company、ウタパオ国際空港)は、ウタパオ国際空港の拡張工事契約で約2900億バーツ(日本円で約一兆円)の大規模な契約を、3社からなるジョイントベンチャー締結しました。

この契約締結の式典で、タイのプラユット首相も参加して式典が開かれました。

パタヤ現地メディアのThePattayaNewsが伝えています。

(写真:ThePattayaNews)

受注したジョイントベンチャーは、バンコクエアウェイズ社が45%と最大の出資をし、次いでBTSグループホールディングスが35%の出資、タイのゼネコン大手のシノタイが20%の出資をする、3社によるジョイントベンチャーです。

計画は複数のフェーズに別れており、今回の契約は第1フェーズにあたります。

第1フェーズでは、新たに旅客ターミナルを2024年までに完成させて、旅客の受け入れ能力を1590万人に上昇させる計画です。(注記:現在のウタパオ国際空港の旅客受け入れ能力は約300万人です。)

これにより、タイ高速鉄道の3空港を結ぶ”EEC路線”と連結する計画で、このウタパオ国際空港の拡張整備計画はタイのEEC(東部経済回廊)開発計画の目玉の一つです。

過去記事)
タイ高速鉄道)EEC路線、CP率いるコンソーシアムが契約
https://pattayaja.com/2019/04/27/4153/

(写真は高速鉄道イメージ)

ウタパオ国際空港はこの計画で、タイで第3位の規模の国際空港となる見込みで、計画の最終フェーズは2055年まで計画されています。

ただし、実際の開発にはタイ海軍からの土地の引き渡しや、適切な土地の確保などが必要な事から、1年から1年半は実際の工事は始まらないものと見られています。

このフェーズは約2900億バーツの投資計画で、タイ政府はこのウタパオ国際空港の拡張の後の最初の5年で、3050憶バーツの税収と約15000人分の雇用が新たに生まれる事が期待されている事を語っています。

報道されている概要は上記の通りです。

尚、この発表の式典でバンコクエアウェイズ社のにプティポン社長は「日本の成田空港が、出資はしないがパートナーとして、ウタパオ国際空港の運営に協力する」と語り、日本の成田空港が国際水準の高いサービスクオリティを実現するために協力する計画を明かしました。

タイのEEC開発計画においては、目玉の一つのタイ高速鉄道の3空港を結ぶ「EEC路線」は、中国企業が中心となって開発が進められる予定となっており、2023年までの完成を目指しています。

しかし現状は以下の通り、タイ政府のソムキット副首相が発言しタイメディアやロイターが報じた「日本の銀行がソフトローンで出資する」という話も、当の日本のJBICがこのような決定を否定していることから、先行きは不透明な状況となっています。

タイ高速鉄道)EEC路線、ロイター報道「日本の銀行が融資」!実情は?
https://pattayaja.com/2019/10/31/7288/

今回、ウタパオ国際空港の拡張工事は上記の通り、タイのバンコクエアウェイズが45%、BTSグループが35%、シノタイが20%を出資するジョイントベンチャーが契約を締結し、問題の中国企業が入っていない事は、安全保障上も良いニュースでしょう。出資がなくとも、日本の成田空港が運営協力となれば、高い水準のサービスクオリティも期待できそうです。

以下記事でお伝えしている通り、EEC開発は現在、サプライチェーンの脱中国を目標とする米国政府や米国企業からも関心が非常に高まっています。

タイ)米大使「安全で信頼ある、セキュアなサプライチェーンがタイに」
https://pattayaja.com/2020/05/24/11578/

(Michael George DeSombre米国大使の語った概要
資料:在タイ米国大使館)

実際にEEC関連エリアでの不動産開発の現場では、欧米、特に米国企業からの問い合わせや相談も増加しており、この大きな変化は現場では強く感じられます。

EEC開発は、以前は外資系はほとんどが日本企業という状況でしたが、脱中国の動きが加速する中で、米国の注力も大きくなっています。

このような中で、目玉の一つのウタパオ国際空港の拡張工事契約を締結したジョイントベンチャーから中国企業の名前が無くなった事は、米国や日本としては安全保障上のリスクも低下する、良いニュースと言えます。

しかしながら、依然としてEEC開発の目玉の一つというべきタイ高速鉄道の”EEC路線”については、以下の過去記事でもお伝えしている通り、中国共産党政府が「一帯一路」の一環と位置付けて開発をしており、そこに日本のJBIC(日本国際協力銀行)などの日本の政策銀行が融資をするとロイター通信などに伝えられている状況にあります。

PJA NEWS)タイ高速鉄道)EEC路線、ロイター報道「日本の銀行が融資」!実情は? (2019年10月31日)
https://pattayaja.com/2019/10/31/7288/

このような状況のままでEEC開発が進められた場合、3空港はもちろんのこと、レムチャバンとラヨーンの港、さらにセタヒップの海軍基地も含めて結ぶ高速鉄道路線を中国共産党政府に軍事的に悪用される事は容易に察せられ、お世辞にも米国政府の言う「安全で信頼あるセキュアな」サプライチェーンとはなりません。

日本も脱中国を進めている最中にありますが、タイのEECにおいても、この現状を理解し脱中国の取り組みを進め、日本にとっても安全で信頼あるセキュアなサプライチェーンにする事が急務となっています。

PJA NEWSでは、日本にとっても重要な現状の問題を正確に伝えるために、以下に過去記事の重要な箇所を再掲します。

タイ高速鉄道EEC路線、日本から見たポイント

本高速鉄道路線の計画は日本人としての視点で見ると、日本企業も多くが関与するEECエリアの開発が進むのは嬉しいものの、開発はタイと中国の企業が中心となるコンソーシアムで行われるものであり、しかも中国政府が同路線を「一帯一路」の一環だと位置付けている路線です。この中国の主張を、日本政府が明確に否定している最中にあります。

PJAニュース過去記事)中国政府「タイでの日中協力事業は一帯一路の一環」日本政府は否定(2019年3月9日)
https://pattayaja.com/2019/03/09/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E6%94%BF%E5%BA

本路線については、タイや中国、日本に加えて、米国も注目をしています。
タイは日本と同様に米国の軍事同盟国であり、高速鉄道路線は軍事上の補給や軍事力の移動の路線ともなるものです。その高速鉄道路線が、中国の軍事輸送網でもある「一帯一路」の一環としてタイ東部に開発されれば、米国の安全保障に大きな脅威となるためです。しかも本EEC路線の沿線にはバンコクやラヨーンの3空港だけでなく、レムチャバンやラヨーンの巨大な港湾施設、セタヒップの軍港が含まれており、軍事上の重要性が非常に高いのです。

この現状を考えれば、日本の政策金融機関が巨額の融資で協力するためには、中国の一帯一路の一環として開発するという中国共産党政府の主張する「位置づけ」を、日中両国政府で議論するなどして見直す事が必要ではないでしょうか。

(2018年10月、安倍首相訪中時の講演
写真:<日本>首相官邸)

加えて、今後仮に日本の政策金融機関であるJBIC(日本国際協力銀行)が融資をしたとしても、建設を落札したのは中国やタイ企業が中心のCPグループのコンソーシアム、さらに路線では土地の収用が問題となっており、路線を建築するタイ東部などでは以下の過去記事の通り汚職問題の蔓延をタイ政府が解決のために尽力をしている最中にあります。

この取り組みと解決が進み、JBICが融資する巨額な日本からの資金が適切に使われ、かつ日本のJBICなどの権利が投資後も守られるようにしなければいけませんから、この進捗がどこまで進むか、冷静に見極める事が必要でしょう。

PJA NEWS)タイ)PACC、レイモンランド開発のUnixxでの贈収賄疑惑を捜査 (2019年9月13日)
https://pattayaja.com/2019/09/13/6358/

PJA NEWS)タイ)省庁の公職を贈賄で取引、タイ汚職防止機構ACTの事務局長が告発 (2019年9月23日)
https://pattayaja.com/2019/09/23/6541/

PJA NEWS)タイ)汚職問題の撲滅にプラユット首相が取り組み、国際イベントを開催 (2019年9月9日)
https://pattayaja.com/2019/09/09/6262/

PJA NEWS)タイ)DSI(特別捜査局)が17周年、汚職の撲滅を誓う (2019年10月4日)
https://pattayaja.com/2019/10/04/6821/

SRTからCPグループ率いるコンソーシアムに発注されたタイ高速鉄道のEEC路線、今後の具体的な展開に、さらに注目が集まります。

※本記事は、日本の政府機関やロイター通信はじめ、多くの関係者の皆様に取材の御協力をいただいています。
御協力いただいている皆様に、心より御礼を申し上げます。

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※新型コロナの名称「武漢ウイルス」について

現在、新型コロナの一般的な名称について、米国側は「武漢ウイルス」、中国共産党政府は、影響力の大きいWHOが推奨する「COVID-19」を使っています。

PJA NEWS)新型名称は「武漢ウイルス」か「COVID-19」か?米中せめぎ合い
https://pattayaja.com/2020/03/16/9251/

PJA NEWSでは現在、PJA NEWSが引用翻訳している部分を除く、PJA NEWS自身の執筆部分において、米国側の「武漢ウイルス」の表記を採用しています。

そのため引用している他紙報道や政府発表等が、米国側の表記を使っているわけではありません。

※PJAニュースは、パタヤの有力メディアであるThe Pattaya Newsの公式パートナーとして日本語版を配信しています。

The Pattaya News(英語版)The Pattaya News(タイ語版)

 

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