2021年3月8 PJA NEWS)

超高温でも電子機器が利用可能に!世界初のマクセル社の全固体電池量産

日本のマクセル株式会社が「未来の電池」と言われる、世界初となる硫化物系の「全固体電池」の量産を実現した事が、海外からも大きな注目を集めています。

前回記事:
ワクチンの超低温輸送、日本マクセル社の世界初の全固体電池量産に注目!
https://pattayaja.com/2021/02/03/18437/

「全固体電池」とは、従来のリチウムイオン電池では電解質に危険な液体を使っていたものを、電解質を固体にした新型の電池です。

従来の電池と比べて格段に小型で大容量化が可能な上に、リチウムイオン電池のように危険な液体の電解質を使う必要がなくなり、破裂や発火の危険性もなくなり安全性も高まり、電池の形状も自由となります。また、長寿命であり、温度変化にも非常に強くなるという特徴があります。

全固体電池に共通する特性

構造や形状が自由。薄型など、柔軟な電池が実現
小さな層を重ねることで小型・大容量化が可能
固体なので丈夫。寿命が長くて熱や環境変化に強い
高速充放電が可能

ビジネス+IT)「全固体電池」をやさしく解説、従来の電池との違いや実用化の見通しは?
https://www.sbbit.jp/article/cont1/37046 より

全固体電池には硫化物系と酸化物系があり、大容量化が可能な硫化物系が本命と言われています。

この硫化物系の全固体電池を世界で初めて今年から量産化するのが、マクセル社の「コイン型全固体電池」です。

このマクセル社の全固体電池、超高温でも利用できることから、これまで電池が使えなかった場所で電池が使えるようになり、生産の現場や私たちの生活を、大きく変えてくれる見込みです。

(「コイン型全固体電池」
写真:マクセル株式会社)

このマクセルの全固体電池について、PJA NEWSでは開発したマクセル株式会社を取材しました。

取材に答えてくれたのは、マクセル株式会社で全固体電池を開発するマクセル株式会社のエナジー事業本部、開発部の山田將之氏です。

(マクセル株式会社
エナジー事業本部
開発部 山田將之氏) 

超高温から超低温で利用可能!さらに高容量で長寿命

(ここからQ&A形式)

Q:「コイン型全固体電池」の利用可能温度は?

A:利用推奨温度としては、マイナス50度からプラス125度で利用できます。

これは推奨という意味であって、実際にはマイナス60度で試験をしても利用は可能でしたので、さらなる超低温、超高温でも、用途によっては利用できます。

Q:「コイン型全固体電池」の寿命は?

A:20年の寿命があります。実際に加速度試験(製品を意図的に劣化を進めて、製品寿命を検証する試験)の結果では、50年が経過しても90%以上の容量を維持しており、極めて長寿命です。

(マクセルのコイン型全固体電池の寿命
上記の「PSB」のグラフがコイン型全固体電池
※「LIB」は、従来のリチウムイオン電池の意
資料:マクセル株式会社)

Q:想定される利用分野は?

A:マクセルの「コイン型全固体電池」は、小型で高容量、耐熱性も非常に高く、長寿命である事が特徴です。

このことから、これまで高熱により電池が使えなかった場所、例えば自動車のエンジン部分や屋根、タイヤなどでも使え、ここで電子機器のセンサーなどを稼働させる事も可能となります。このことから、たとえばタイヤの状態を管理するTMS(タイヤモニタリングシステム)などでも電池が利用可能となります。

他にも、例えば工場の自動生産システムであるFA(Factory Automation)のアームの部分や、半導体製造設備などは、非常に高熱となり、従来は電池が使えない場所でしたが、ここでも電池が利用が可能になり、センサーなどが利用できるようになります。

また、使う場所が高温になるのではなく、工場で生産する際に、リフロー(はんだ付け)、減菌処理、樹脂加工などの工程で高温となることから、電池がこれまでは組み込めなかった物も多くあります。これも、この全固体電池なら利用できるように変わります。

(「コイン型全固体電池」のサイズ
写真:マクセル株式会社)

Q:マクセルが、世界初の硫化物系の全固体電池の量産が出来た理由は?

A:マクセルが他の全固体電池のメーカーと違う点として、リチウムイオン電池とマイクロ電池の両方を実用してきた電池メーカーであるという点があります。

硫化物系の全固体電池の量産には、そこで培ってきた独自の技術を活用する事が必要でした。

この独自技術により、マクセルは硫化物系の全固体電池の世界初の量産を実現しているのです。

(ここまでQ&A形式)

(マクセルの全固体電池の差別化ポイント
「分散技術」「塗布技術」の独自技術により
硫化物系の全固体電池の量産を実現した。
資料:マクセル株式会社)

上記の図などを見てもらうと、マクセルが電池、磁気テープで培ってきた「分散技術」、そしてリチウムイオン電池(LIB電池)、耐熱セパレータで培ってきた「塗布技術」の独自技術を活用する事で、マクセルが硫化物系の全固体電池を開発できている事がわかります。

つまり、これまでの分野での技術を研鑽してきた日本のマクセル社だからこそ出来たのが、マクセルの全固体電池なのです。

尚、全固体電池市場においては、電気自動車用の大容量の硫化物系の全固体電池は、現在は大手自動車メーカーなどが開発していますが、これは現段階では量産化はしていません。

他に、小容量の全固体電池にはMLCC(積層セラミックコンデンサー)のメーカーなどが量産化している酸化物系の全固体電池はありますが、これはセル容量が小さい酸化物系の全固体電池であって、全固体電池の本命の容量の大きく出来る硫化物系のものとは異なります。

このようにして、硫化物系の全固体電池の世界初の量産を実現したのは、日本のマクセル株式会社となりました。

今後の展望について、マクセルの山田氏は次のようにコメントしています。

(マクセル株式会社
エナジー事業本部
開発部 山田將之氏) 

「これからの日本は、ますますの過疎化、そして労働人口の減少に見舞われます。

このような状況の中で求められる、メンテナンスフリーを実現できる長寿命で、高容量で安全で、形も自由な、新しい電池を作りたいという思いで開発をしています。

マクセルは、電池の技術を通じて社会の発展、安心、安全に貢献しつづける会社でありたいのです。このような開発により、マクセルは社会において”なくてはならない存在”でありたいと思います。」

生産現場、私たちの生活を変える マクセルの全固体電池に注目

(写真:マクセル株式会社)

高い耐熱性をもち、安全で、高容量で、長い寿命で、小型の硫化物系の全固体電池を世界で初めて量産を実現したマクセル株式会社。

この実現の背景には、これまでの磁気テープやマイクロ電池、リチウムイオン電池などで培ってきた独自技術と、未来を良い形にしたいというマクセル社の思いがありました。

「未来の電池」である全固体電池に世界的な注目が集まる中で、日本企業のマクセル社が独自の技術で活躍し、世界初の商品を量産することで、これまでは電子機器が使えなかった多くの分野を使えるように変えています。

このマクセル株式会社の新商品に、世界から大きな注目が集まっています。

このマクセルの全固体電池の開発事例は、このような技術の研鑽を積み重ねてきた他の多くの日本企業にとっても、開発において参考となる事例ではないでしょうか。

※マクセル株式会社の全固体電池のより詳細やお問い合わせ先は、以下のオフィシャルサイトをご覧下さい。

マクセル株式会社)コイン型全固体電池
https://biz.maxell.com/ja/rechargeable_batteries/allsolidstate.html

PJA NEWSでは、海外でも活躍し注目されている日本企業の取り組みをお伝えし、海外からの日本企業の取り組みへの反響や評価を日本語記事でお伝えすることで、日本企業の取り組みの応援をしています。

過去記事)
タイ)ホンダ、感染を防止する「陰圧ベッド」をタイで生産、日本では移送車
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タイ)乗用車上半期、ホンダがシェア29.2%でトップに!
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PJAより)
在タイ邦人の影響と支援要望調査 御意見を
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パタヤ)今日から規制緩和!UnixxのJPグループ月間賃貸半額を5月末まで延長!(PR)
https://pattayaja.com/2021/02/01/18377/


※画面フルサイズ表示は、以下のYouTubeから
https://www.youtube.com/watch?v=S0oFjJ2bCDs

(JP’s Unixx Residence Club
客室例<17階パタヤ湾ビュー>)

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https://pattayaja.com/2020/12/25/17040/

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北海道宗谷和牛の特上すき焼き肉(400g)
1250バーツ
写真:Tasty)

(写真:Tasty提供
ThePattayaNews報道)


(動画はPJA会員のYouTube「KuLost FPV」さん撮影
動画のフルサイズ表示(You Tube版)はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=YI1xMMxtPTU )

 

※新型コロナの名称「武漢ウイルス」について

現在、新型コロナの一般的な名称について、米国側は「武漢ウイルス」、中国共産党政府は、影響力の大きいWHOが推奨する「COVID-19」を使っています。

PJA NEWS)新型名称は「武漢ウイルス」か「COVID-19」か?米中せめぎ合い
https://pattayaja.com/2020/03/16/9251/

PJA NEWSでは現在、PJA NEWSが引用翻訳している部分を除く、PJA NEWS自身の執筆部分において、米国側の「武漢ウイルス」の表記を採用しています。

そのため引用している他紙報道や政府発表等が、米国側の表記を使っているわけではありません。

※PJAニュースは、パタヤの有力メディアであるThe Pattaya Newsの公式パートナーとして日本語版を配信しています。

The Pattaya News(英語版)The Pattaya News(タイ語版)

TPN National News(英語版)

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